報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「リサに迫る刺客」

2020-10-10 21:04:47 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月9日07:00.天候:雨 東京都墨田区菊川 斉藤絵恋のマンション]

 霧崎:「御嬢様方、朝ですよ。起きてください」

 絵恋専属のメイド、霧崎真珠が起こしに来る。
 曰く付きのメイドであるが、少なくとも絵恋の前では粛々とメイドの仕事をこなす。

 絵恋:「ううーん……。朝だって、リサさん」
 リサ:「うん……今起きる……」

 ベッドから起きて、顔を洗いに行く。

 絵恋:「リサさん、シャワーにしましょ」
 リサ:「ん」

 バスルームに行って絵恋はパジャマ、リサはTシャツと短パンを脱ぎ始める。

 絵恋:「リサさん、昨夜はありがとね」
 リサ:「いい。やっぱり『味』はサイトーの方がトップ。またよろしく」
 絵恋:「もちろんよ!」

 2人の少女は一糸纏わぬ姿になると、バスルームに入った。

[同日08:35.天候:雨 同地区内 東京中央学園墨田中学校・東校舎1階3年3組]

 担任教師:「今日から高等部による部活動の勧誘が始まります。それまでは一斉に行われているのですが、今年にあってはコロナ禍の影響もあり、高等部の部員が個人的に勧誘することになりました。中等部の卒業まで、あと半年切っています。この学園はいわゆる高校受験はありませんが、高等部から新たに入学してくる人もいますので、けして油断してはいけませんよ」

 朝のホームルームで担任教師からこのような話があった。

 リサ:「中高一貫なのに、高等部から入って来る人もいるんだ」
 絵恋:「そう。そして逆に中等部を卒業して、別の高校に進学する人もいるのよ」
 リサ:「なるほど」
 絵恋:「リサさんは一緒に高等部に行くよね?」
 リサ:「愛原先生からは高等部の話をされるから、そうだと思う」
 絵恋:「良かったぁ。高等部も一緒に行きましょうね」
 リサ:「うん」

 朝のホームルームが終わり、1時限目の授業が始まるまでの間、少しの時間がある。
 その時間を利用して、別のクラスの加藤がやってきた。
 中等部の新聞部の部長である。

 加藤:「斉藤さん、ちょっといいかな?」
 斉藤:「愛の告白ならお断りですわよ」
 加藤:「いや、違うんだ。うちの部員が特ダネを持って来たんだ。その……」

 加藤はリサをチラチラ見た。

 斉藤:「んもう!何なのよ!」

 斉藤は苛立った様子で席を立った。
 そして加藤と2人、廊下を出る。

 斉藤:「一体なに?」
 加藤:「キミが女子が好きな女子だってことは分かってる。だけど、愛原さんはやめておけ」
 斉藤:「何でよ!?私の勝手でしょ!?」
 加藤:「そうなんだ。本来はそうなんだ。だけど、愛原さんはダメだ」
 斉藤:「だからどうして!?」
 加藤:「これを見てくれ!」

 加藤は斉藤にデジカメの画像を見せた。
 そこにはリサが斉藤や小島など、複数の女子生徒を西校舎3Fの女子トイレに連れ込み、そしてそこから出て来る所が映し出されていた。

 加藤:「しかも、これは何だい?」

 個室の隙間からリサの触手が見え隠れしていた。

 加藤:「部員が聞いたそうだ。愛原さんに連れ込まれた子は、その……エッチな声を上げていたと。うちの部員達が特ダネとして発表すると言っている。だけど、これが本当なら愛原さんは化け物ということになるぞ。それは本当なのか?」
 斉藤:「ちょっと!なに盗撮してんのよ!?」
 加藤:「違う。これは特ダネ写真だ。撮影したのは女子部員だから、盗撮じゃない」
 斉藤:「いや、盗撮でしょうよ、これは!」

 斉藤が騒いだものだから、周囲の注目を集めた。

 生活指導教師:「こら!もうすぐ授業が始まるってのに、何を騒いでるんだ!!」
 斉藤:「先生、こいつ盗撮です!女子トイレを盗撮してました!」
 加藤:「違う!俺はカメラを預かっただけだ!盗撮したのは……あっ!」
 斉藤:「皆、聞いた!?盗撮を認める発言したわよ!!」
 男子生徒A:「新聞部の奴ら、最近しつこい取材してやがると思ってたが……」
 男子生徒B:「ついに盗撮か……」
 男子生徒C:「東京中央学園の東スポって呼ばれてますから」
 女子生徒A:「慧妙のアポ無し折伏隊より悪質よね」
 女子生徒B:「性犯罪者よ、性犯罪者」
 生活指導教師:「加藤!1時限目の授業は出なくていい!生活指導室まで来い!」
 加藤:「違うんです、先生!」
 生活指導教師:「最近、新聞部の取材姿勢について苦情が来ているそうじゃないか!その辺も併せて話聞かせてもらうからな!」

 こうして加藤は生活指導教師に連行されていった。

 小島:「斉藤さん、凄いのね。新聞部を追い返しちゃった」
 斉藤:「ま、まあね!私に掛かれば、マスコミもカネで買収しちゃうわよ」
 リサ:「いや、今の買収じゃないと思う」
 斉藤:「とにかく、リサさんを守れて良かったわ」
 リサ:「私の……こと?」

 斉藤はこっそりリサに耳打ちした。

 斉藤:「あのトイレのこと、新聞部に盗撮されてたのよ。だからリサさん、学校で『捕食』はもうやめよう」
 リサ:「分かった。サイトー、ありがとう」
 小島:「愛原さん、斉藤さん。もし良かったら今日、一緒に帰らない?」
 斉藤:「ええっ?」
 リサ:「んん?」
 小島:「リサさんにアレされてからお腹の調子がいいの。おかげで甘い物も好きに食べれるようになった。美味しいお店見つけたから、授業が終わったら急いで行こう」
 リサ:「おー!スイーツ!」
 斉藤:「ま、まあリサさんも喜んでるみたいだし、1回くらいなら付き合ってあげてもいいわよ。リサさんの触手仲間としてね」
 小島:「いいね!もうすぐ卒業だけど、今からでも仲良くしましょ」

[同日15:30.天候:雨 同中学校・西校舎1階事務室窓口]

 女子生徒:「こんにちは。すいません、上野キャンパスから来た女子剣道部の者ですが……」
 事務職員:「はいはい。高等部の生徒さん?」
 女子生徒:「はい。部活動の勧誘に来ました」
 事務職員:「それはご苦労様。じゃあ、こちらに名前と部名と連絡先を書いてくださいね」
 女子生徒:「はい」

 その高校女子剣道部員は、高等部の生徒の印であるダブルのブレザーを着ていた。

 事務職員:「直接、武道館に行くの?」
 女子生徒:「そうですね。まずはこちらの部長達に挨拶して行こうかと」
 事務職員:「はい。じゃあ、訪問先は『武道館』にしておくわね」
 女子生徒:「あ、あと、もしかしたら妹を訪ねて教室に行くかもしれませんので」
 事務職員:「妹さんね。何年何組かしら?」
 女子生徒:「1年5組です」
 事務職員:「1年5組ね。はい、じゃあこちらのバッジを着けてくださいね。帰る時、ここに返して」
 女子生徒:「分かりました」

 女子生徒はにこやかに笑うと、入構者のバッジを着けた。
 そして、まずは武道館に向かった。
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