[10月23日17時00分 天候:晴 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センター→地下研究施設レセプション]
〔上に参ります〕
私と高橋、善場主任はエレベーターで地下施設へ向かった。
本当は私と高橋は、まだ許可が下りていないのだが、何か良いことになった。
というのは、今出動中のBSAA極東支部日本地区本部隊の部隊長が霧生市出身で、私達の活躍を知っていた為、部隊長の権限が利く、レセプションまでならOKということになった次第だ。
それならわざわざ、技術班に電話線を繋いでもらう必要は無い。
地下施設の内線電話を使えば良いだけの話で済む。
善場「さすがは皆さんですね。BSAAからの信頼も絶大です」
愛原「いや、ハハハ……」
高橋「あの化け物を手懐けられたのは、偏に先生の御力です」
愛原「いや、別に大したことは……」
善場主任はエレベーター内のカードリーダーに、セキュリティカードを当てた。
すると、カバーに覆われた地下階へのボタンが現れる。
このカードは、ビジター用の入構証や部屋のカードキーとは全く別物である。
地上階においては、身障者用エレベーターということもあって、アナウンス付きとドア開閉もソフトなのに対し、地下階へはそれが全く考慮されていないのか、アナウンスも無いし、ドアも勢い良くバンと閉まる。
そして、エレベーターが下りる感覚が伝わってきた。
ボタンには、『B』としか書かれていない為、地下何階なのかは分からない。
しばらくして、そのエレベーターが地下階に着床した。
ドアが開くと、白い光に包まれた通路がある。
そこを進むと、レセプションホールがあった。
通路は向こう側にも続いていて、私の感覚が正しければ、本館A棟と繋がるエレベーターがあるはずだ。
で、研究施設側に通じる扉の前には、BSAA隊員が2人、マシンガンとショットガンを持って歩哨に当たっていた。
善場「この内線電話を使うのです」
受付には受付係がおらず、その代わり、ホテルの自動チェックイン機のような端末が置かれていた。
主任は自分のカードをカード挿入口に入れ、画面を操作する。
すると、モニタに白衣姿の男が映った。
見覚えの無い職員だ。
善場「デイライトの善場です。例の話通り、愛原氏の面会です」
特務研究員「分かりました。【何かの規則・用語】に基づき、電話面会を許可します。異存ありませんね?」
善場「はい、ありません」
すると、端末機横の複合機から、何か紙が1枚印刷された。
特務研究員「今お送りました同意書に、御本人のサインを」
善場「愛原所長、こちらにサインを」
愛原「あ、はい」
私はサインをしながら、微笑を浮かべ、眼鏡を掛けているスキンヘッドの研究員に聞いた。
愛原「リサとは直接面会はできないんですよね?」
特務研究員「状態からして、オススメはできませんね」
愛原「リサの現状は、高圧電流を放電する体質になっているだけなんですよね?」
特務研究員「科学調査は順調に進んでいます」
曖昧な答えしか言わない研究員だ。
愛原「同意書にサインしました。それで、これをどうすれば?」
特務研究員「それをこちらの研究室まで、ファックスしてください。原本は、愛原さんの控えです」
複合機の画面には、既に送信先が表示されていた。
どうやら、研究室側から遠隔で操作しているらしい。
私はその研究室の番号を押して、それから同意書をファックスで送った。
高橋「何か、凄いっスね」
愛原「ああ」
特務研究員「同意書のファックスが届きました。それでは、【同意書の内容】に基づき、30分間電話面会を行います」
一旦、端末の画面が真っ暗になる。
そして、次に画面が現れた時、リサが現れた。
リサ「先生!先生!」
愛原「リサ、大丈夫か!?」
高橋「てかリサ、カメラから離れろや!近過ぎるって!」
リサ「お兄ちゃん!?お兄ちゃんもいるの!?」
愛原「ああ。俺と高橋、お前がいる藤野に来ているぞ?何なら、お前がいる研究施設にまで来ているぞ?」
リサ「ほんと!?今すぐ会いたい!ここの人達、『オマエは危険な存在だから、外に出せない』なんて言ってるの!」
愛原「う、うん。まあ、そうだな……」
高橋「オメーが浜町のビルぶっ壊したんだから、そりゃ当たり前だろ」
リサ「好きで電流出したんじゃないんだよ!」
愛原「だろうな。だからさ、どうしてそうなったのかの理由を調査する必要がある。で、今後はその電流が出ないようにしないといけない」
リサ「でもぉ……」
愛原「てか、今は電流出てないんだな?」
リサ「うん。少しずつ、制御はできるようになった。一応、コツを掴んだっていうか……」
リサは右手から火花を散らした。
特務研究員「おっと。そこまでにしないと、端末に電流が流れて壊れてしまいます。そうなると、あなたの調査期間が延びてしまいますよ?」
愛原「制御できるのか?」
リサ「うん」
リサが手を下ろすと、火花は消えた。
愛原「あとは、その姿だな。角2本と尖った耳と長い爪か。これは隠せないのか?前みたいに」
リサ「うん。まだ無理……」
高橋「鬼そのものだな」
リサ「長い髪が鬱陶しい。切りたい」
愛原「長い髪、角2本、電撃……。どこかで見たことあるような……?」
高橋「マンガのキャラクターとか、ゲームのキャラとかだと、デフォな感じっスね」
愛原「そうかぁ……」
話をしていると、あっという間に30分経ってしまう。
特務研究員「はい、それではお時間です」
リサ「ヤダ!もっと話したい!」
特務研究員「規則です」
愛原「リサ!また明日、来るから!」
リサ「きっとだよ!絶対だよ!?」
愛原「分かってる!だから頑張れ!」
私がエールを送った直後、画面が消えた。
善場「お疲れさまです」
愛原「30分は短いですな」
高橋「ムショの面会じゃあるまいし……」
愛原「刑務所の面会の方が、直接対面できるだけ、まだマシかもな」
高橋「あー……確かに」
善場「それでは戻りましょう」
愛原「リサの現状については、リサの口からでしか聞けませんでしたね」
善場「何しろ、国家機密ですから。今のところは完璧な存在であるBOWたるリサを狙う組織は、存在するのですよ」
愛原「そうなんですか」
善場「私が政府機関で働いているのも、それが理由です」
愛原「善場主任……!?」
善場主任は表向きには人間に戻ったことになっているが、体内にはまだGウィルスが形を変えて残っている為、それを調べたい外国の研究機関は沢山存在する。
政府機関で働くことにより、同時に政府から保護を受けられているということである。
リサが学校卒業後、主任の後輩として働くことを打診されているのは、その為だ。
善場「とにかく戻りましょう。宜しかったら、私が把握している状況だけでもお話し致します」
愛原「分かりました」
私達は再び地上階に戻るエレベーターに乗り込んだ。
〔上に参ります〕
私と高橋、善場主任はエレベーターで地下施設へ向かった。
本当は私と高橋は、まだ許可が下りていないのだが、何か良いことになった。
というのは、今出動中のBSAA極東支部日本地区本部隊の部隊長が霧生市出身で、私達の活躍を知っていた為、部隊長の権限が利く、レセプションまでならOKということになった次第だ。
それならわざわざ、技術班に電話線を繋いでもらう必要は無い。
地下施設の内線電話を使えば良いだけの話で済む。
善場「さすがは皆さんですね。BSAAからの信頼も絶大です」
愛原「いや、ハハハ……」
高橋「あの化け物を手懐けられたのは、偏に先生の御力です」
愛原「いや、別に大したことは……」
善場主任はエレベーター内のカードリーダーに、セキュリティカードを当てた。
すると、カバーに覆われた地下階へのボタンが現れる。
このカードは、ビジター用の入構証や部屋のカードキーとは全く別物である。
地上階においては、身障者用エレベーターということもあって、アナウンス付きとドア開閉もソフトなのに対し、地下階へはそれが全く考慮されていないのか、アナウンスも無いし、ドアも勢い良くバンと閉まる。
そして、エレベーターが下りる感覚が伝わってきた。
ボタンには、『B』としか書かれていない為、地下何階なのかは分からない。
しばらくして、そのエレベーターが地下階に着床した。
ドアが開くと、白い光に包まれた通路がある。
そこを進むと、レセプションホールがあった。
通路は向こう側にも続いていて、私の感覚が正しければ、本館A棟と繋がるエレベーターがあるはずだ。
で、研究施設側に通じる扉の前には、BSAA隊員が2人、マシンガンとショットガンを持って歩哨に当たっていた。
善場「この内線電話を使うのです」
受付には受付係がおらず、その代わり、ホテルの自動チェックイン機のような端末が置かれていた。
主任は自分のカードをカード挿入口に入れ、画面を操作する。
すると、モニタに白衣姿の男が映った。
見覚えの無い職員だ。
善場「デイライトの善場です。例の話通り、愛原氏の面会です」
特務研究員「分かりました。【何かの規則・用語】に基づき、電話面会を許可します。異存ありませんね?」
善場「はい、ありません」
すると、端末機横の複合機から、何か紙が1枚印刷された。
特務研究員「今お送りました同意書に、御本人のサインを」
善場「愛原所長、こちらにサインを」
愛原「あ、はい」
私はサインをしながら、微笑を浮かべ、眼鏡を掛けているスキンヘッドの研究員に聞いた。
愛原「リサとは直接面会はできないんですよね?」
特務研究員「状態からして、オススメはできませんね」
愛原「リサの現状は、高圧電流を放電する体質になっているだけなんですよね?」
特務研究員「科学調査は順調に進んでいます」
曖昧な答えしか言わない研究員だ。
愛原「同意書にサインしました。それで、これをどうすれば?」
特務研究員「それをこちらの研究室まで、ファックスしてください。原本は、愛原さんの控えです」
複合機の画面には、既に送信先が表示されていた。
どうやら、研究室側から遠隔で操作しているらしい。
私はその研究室の番号を押して、それから同意書をファックスで送った。
高橋「何か、凄いっスね」
愛原「ああ」
特務研究員「同意書のファックスが届きました。それでは、【同意書の内容】に基づき、30分間電話面会を行います」
一旦、端末の画面が真っ暗になる。
そして、次に画面が現れた時、リサが現れた。
リサ「先生!先生!」
愛原「リサ、大丈夫か!?」
高橋「てかリサ、カメラから離れろや!近過ぎるって!」
リサ「お兄ちゃん!?お兄ちゃんもいるの!?」
愛原「ああ。俺と高橋、お前がいる藤野に来ているぞ?何なら、お前がいる研究施設にまで来ているぞ?」
リサ「ほんと!?今すぐ会いたい!ここの人達、『オマエは危険な存在だから、外に出せない』なんて言ってるの!」
愛原「う、うん。まあ、そうだな……」
高橋「オメーが浜町のビルぶっ壊したんだから、そりゃ当たり前だろ」
リサ「好きで電流出したんじゃないんだよ!」
愛原「だろうな。だからさ、どうしてそうなったのかの理由を調査する必要がある。で、今後はその電流が出ないようにしないといけない」
リサ「でもぉ……」
愛原「てか、今は電流出てないんだな?」
リサ「うん。少しずつ、制御はできるようになった。一応、コツを掴んだっていうか……」
リサは右手から火花を散らした。
特務研究員「おっと。そこまでにしないと、端末に電流が流れて壊れてしまいます。そうなると、あなたの調査期間が延びてしまいますよ?」
愛原「制御できるのか?」
リサ「うん」
リサが手を下ろすと、火花は消えた。
愛原「あとは、その姿だな。角2本と尖った耳と長い爪か。これは隠せないのか?前みたいに」
リサ「うん。まだ無理……」
高橋「鬼そのものだな」
リサ「長い髪が鬱陶しい。切りたい」
愛原「長い髪、角2本、電撃……。どこかで見たことあるような……?」
高橋「マンガのキャラクターとか、ゲームのキャラとかだと、デフォな感じっスね」
愛原「そうかぁ……」
話をしていると、あっという間に30分経ってしまう。
特務研究員「はい、それではお時間です」
リサ「ヤダ!もっと話したい!」
特務研究員「規則です」
愛原「リサ!また明日、来るから!」
リサ「きっとだよ!絶対だよ!?」
愛原「分かってる!だから頑張れ!」
私がエールを送った直後、画面が消えた。
善場「お疲れさまです」
愛原「30分は短いですな」
高橋「ムショの面会じゃあるまいし……」
愛原「刑務所の面会の方が、直接対面できるだけ、まだマシかもな」
高橋「あー……確かに」
善場「それでは戻りましょう」
愛原「リサの現状については、リサの口からでしか聞けませんでしたね」
善場「何しろ、国家機密ですから。今のところは完璧な存在であるBOWたるリサを狙う組織は、存在するのですよ」
愛原「そうなんですか」
善場「私が政府機関で働いているのも、それが理由です」
愛原「善場主任……!?」
善場主任は表向きには人間に戻ったことになっているが、体内にはまだGウィルスが形を変えて残っている為、それを調べたい外国の研究機関は沢山存在する。
政府機関で働くことにより、同時に政府から保護を受けられているということである。
リサが学校卒業後、主任の後輩として働くことを打診されているのは、その為だ。
善場「とにかく戻りましょう。宜しかったら、私が把握している状況だけでもお話し致します」
愛原「分かりました」
私達は再び地上階に戻るエレベーターに乗り込んだ。