報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「リサと電話面会」

2023-03-10 20:37:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月23日17時00分 天候:晴 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センター→地下研究施設レセプション]

〔上に参ります〕

 私と高橋、善場主任はエレベーターで地下施設へ向かった。
 本当は私と高橋は、まだ許可が下りていないのだが、何か良いことになった。
 というのは、今出動中のBSAA極東支部日本地区本部隊の部隊長が霧生市出身で、私達の活躍を知っていた為、部隊長の権限が利く、レセプションまでならOKということになった次第だ。
 それならわざわざ、技術班に電話線を繋いでもらう必要は無い。
 地下施設の内線電話を使えば良いだけの話で済む。

 善場「さすがは皆さんですね。BSAAからの信頼も絶大です」
 愛原「いや、ハハハ……」
 高橋「あの化け物を手懐けられたのは、偏に先生の御力です」
 愛原「いや、別に大したことは……」

 善場主任はエレベーター内のカードリーダーに、セキュリティカードを当てた。
 すると、カバーに覆われた地下階へのボタンが現れる。
 このカードは、ビジター用の入構証や部屋のカードキーとは全く別物である。
 地上階においては、身障者用エレベーターということもあって、アナウンス付きとドア開閉もソフトなのに対し、地下階へはそれが全く考慮されていないのか、アナウンスも無いし、ドアも勢い良くバンと閉まる。
 そして、エレベーターが下りる感覚が伝わってきた。
 ボタンには、『B』としか書かれていない為、地下何階なのかは分からない。
 しばらくして、そのエレベーターが地下階に着床した。
 ドアが開くと、白い光に包まれた通路がある。
 そこを進むと、レセプションホールがあった。
 通路は向こう側にも続いていて、私の感覚が正しければ、本館A棟と繋がるエレベーターがあるはずだ。
 で、研究施設側に通じる扉の前には、BSAA隊員が2人、マシンガンとショットガンを持って歩哨に当たっていた。

 善場「この内線電話を使うのです」

 受付には受付係がおらず、その代わり、ホテルの自動チェックイン機のような端末が置かれていた。
 主任は自分のカードをカード挿入口に入れ、画面を操作する。
 すると、モニタに白衣姿の男が映った。
 見覚えの無い職員だ。

 善場「デイライトの善場です。例の話通り、愛原氏の面会です」
 特務研究員「分かりました。【何かの規則・用語】に基づき、電話面会を許可します。異存ありませんね?」
 善場「はい、ありません」

 すると、端末機横の複合機から、何か紙が1枚印刷された。

 特務研究員「今お送りました同意書に、御本人のサインを」
 善場「愛原所長、こちらにサインを」
 愛原「あ、はい」

 私はサインをしながら、微笑を浮かべ、眼鏡を掛けているスキンヘッドの研究員に聞いた。

 愛原「リサとは直接面会はできないんですよね?」
 特務研究員「状態からして、オススメはできませんね」
 愛原「リサの現状は、高圧電流を放電する体質になっているだけなんですよね?」
 特務研究員「科学調査は順調に進んでいます」

 曖昧な答えしか言わない研究員だ。

 愛原「同意書にサインしました。それで、これをどうすれば?」
 特務研究員「それをこちらの研究室まで、ファックスしてください。原本は、愛原さんの控えです」

 複合機の画面には、既に送信先が表示されていた。
 どうやら、研究室側から遠隔で操作しているらしい。
 私はその研究室の番号を押して、それから同意書をファックスで送った。

 高橋「何か、凄いっスね」
 愛原「ああ」
 特務研究員「同意書のファックスが届きました。それでは、【同意書の内容】に基づき、30分間電話面会を行います」

 一旦、端末の画面が真っ暗になる。
 そして、次に画面が現れた時、リサが現れた。

 リサ「先生!先生!」
 愛原「リサ、大丈夫か!?」
 高橋「てかリサ、カメラから離れろや!近過ぎるって!」
 リサ「お兄ちゃん!?お兄ちゃんもいるの!?」
 愛原「ああ。俺と高橋、お前がいる藤野に来ているぞ?何なら、お前がいる研究施設にまで来ているぞ?」
 リサ「ほんと!?今すぐ会いたい!ここの人達、『オマエは危険な存在だから、外に出せない』なんて言ってるの!」
 愛原「う、うん。まあ、そうだな……」
 高橋「オメーが浜町のビルぶっ壊したんだから、そりゃ当たり前だろ」
 リサ「好きで電流出したんじゃないんだよ!」
 愛原「だろうな。だからさ、どうしてそうなったのかの理由を調査する必要がある。で、今後はその電流が出ないようにしないといけない」
 リサ「でもぉ……」
 愛原「てか、今は電流出てないんだな?」
 リサ「うん。少しずつ、制御はできるようになった。一応、コツを掴んだっていうか……」

 リサは右手から火花を散らした。

 特務研究員「おっと。そこまでにしないと、端末に電流が流れて壊れてしまいます。そうなると、あなたの調査期間が延びてしまいますよ?」
 愛原「制御できるのか?」
 リサ「うん」

 リサが手を下ろすと、火花は消えた。

 愛原「あとは、その姿だな。角2本と尖った耳と長い爪か。これは隠せないのか?前みたいに」
 リサ「うん。まだ無理……」
 高橋「鬼そのものだな」
 リサ「長い髪が鬱陶しい。切りたい」
 愛原「長い髪、角2本、電撃……。どこかで見たことあるような……?」
 高橋「マンガのキャラクターとか、ゲームのキャラとかだと、デフォな感じっスね」
 愛原「そうかぁ……」

 話をしていると、あっという間に30分経ってしまう。

 特務研究員「はい、それではお時間です」
 リサ「ヤダ!もっと話したい!」
 特務研究員「規則です」
 愛原「リサ!また明日、来るから!」
 リサ「きっとだよ!絶対だよ!?」
 愛原「分かってる!だから頑張れ!」

 私がエールを送った直後、画面が消えた。

 善場「お疲れさまです」
 愛原「30分は短いですな」
 高橋「ムショの面会じゃあるまいし……」
 愛原「刑務所の面会の方が、直接対面できるだけ、まだマシかもな」
 高橋「あー……確かに」
 善場「それでは戻りましょう」
 愛原「リサの現状については、リサの口からでしか聞けませんでしたね」
 善場「何しろ、国家機密ですから。今のところは完璧な存在であるBOWたるリサを狙う組織は、存在するのですよ」
 愛原「そうなんですか」
 善場「私が政府機関で働いているのも、それが理由です」
 愛原「善場主任……!?」

 善場主任は表向きには人間に戻ったことになっているが、体内にはまだGウィルスが形を変えて残っている為、それを調べたい外国の研究機関は沢山存在する。
 政府機関で働くことにより、同時に政府から保護を受けられているということである。
 リサが学校卒業後、主任の後輩として働くことを打診されているのは、その為だ。

 善場「とにかく戻りましょう。宜しかったら、私が把握している状況だけでもお話し致します」
 愛原「分かりました」

 私達は再び地上階に戻るエレベーターに乗り込んだ。
コメント (2)
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“私立探偵 愛原学” 「リサの隔離」

2023-03-10 15:29:05 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月23日15時30分 天候:晴 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センターC棟]

 入構手続きを終えた私達は、本館A棟へと向かった。
 今回、リサの事件で、多くの関係者がやってきており、センターの中で1番大きい建物である本館A棟の宿泊施設はほぼ満室状態なのだという。
 しかも……。

 高橋「先生。何か、米軍っぽいのがいますけど?」
 愛原「あれはBSAA北米支部だな。あの、クリス・レッドフィールド氏やジル・バレンタイン氏の所属する支部だぞ」
 高橋「いるんスかね?」
 愛原「いや、いないだろうな」

 クリス氏は“青いアンブレラ”に出向中だというし、ジル氏の動向は不明だ。
 日本では非合法組織の“青いアンブレラ”も、アメリカやヨーロッパでは合法組織なのである。

 BSAA隊員A「何だ?どうしてここに一般人がいる?ビジターカード(入構証)は持っているようだが……」
 BSAA隊員B「日本のリサ・トレヴァーを監視する政府機関の出先機関の、更に業務委託契約者達らしいぞ?」
 BSAA隊員A「何だ?日本はそんなに業務を丸投げしているのか。そんなだから、暴走を抑えられないんだ」

 恐らく彼らが話す英語を日本語に訳すと、上記みたいな感じになるのだろう。
 極東支部だけではなく、北米支部まで飛んでくる状況を作り出してしまったようだ。

 善場「愛原所長」
 愛原「あっ、善場主任」
 善場「ご足労ありがとうございます」
 愛原「いえいえ」
 善場「こちら、C棟のカードキーです。向こうはうるさいので、C棟で話しましょう」
 愛原「あ、はい」

 BSAA隊員達がワイワイガヤガヤやっているA棟と違い、C棟は静かなものだった。
 その際、建物裏手がチラッと見えたのだが、彼らが乗って来たと思われる攻撃ヘリなどの類が見える。
 日本のBSAAではないのは、ヘリにアメリカの国旗が見えたからである。
 C棟のロビーに入り、そこに座る。

 善場「何かお飲み物でも……」
 愛原「あ、いえ、お構いなく……」

 主任がロビーにある自販機で、飲み物を購入する。
 C棟の自販機は、このロビーにあるソフトドリンクのそれしかない。

 善場「彼らが静かになった時、A棟に買い出しに行きましょう」
 愛原「え?」
 善場「申し遅れました。今夜の夕食だけは、現地調達でお願いします」
 高橋「おいおい、マジかよ!先生を何だと思ってやがるんだ!」
 愛原「高橋、静かにしろ。カップラーメンの自販機とか、お菓子の自販機とかありましたね」
 善場「はい」
 高橋「夜飯カップラーメンとは……先生をナメてるぜ」
 善場「食事のことですが、BSAA隊員達は早めに取るようです。恐らく、リサの警戒に当たる為だと思われますが」
 愛原「私達はその後でということですね」
 善場「はい」
 高橋「何だよ!先生を先にしろよ!」
 愛原「高橋。軍人さん達は基本早食いなんだ。彼らに先に食べてもらって、俺達はゆっくり食べよう」
 高橋「はあ……」
 愛原「それで、リサの状態はどうですか?」
 善場「現在、放電体質となった原因を調査中です。リサの体内に何があったのかを徹底的に調べます」
 高橋「で、最悪、殺処分か?」
 愛原「おい!」
 善場「無きにしも非ず、といったところですね。ただその場合、所長方にお願いしている桧枝岐村への調査依頼も中止になりますが」
 愛原「そうなると、その仕事の報酬は……」
 善場「お支払いできないということになります」
 愛原「高橋!何としてでも、リサの殺処分は回避するんだ!」
 高橋「は、はい!」
 愛原「善場主任、私達にできることは何ですか?」
 善場「リサにエールを送ってあげてください」
 愛原「エールですか」
 善場「リサはとても寂しがっています」
 愛原「分かりました。部屋に荷物を置いたら、すぐに向かいましょう」
 善場「あいにくですが、本日は無理かと……」
 愛原「ええっ!?」
 善場「BSAA側から、許可が下りていません」
 愛原「向こうに権限があるわけですか……」
 善場「BOWの生殺与奪の権は、向こうにあります」
 高橋「『生殺与奪の権を、他人に握らせるな!』ですかね?先生」
 愛原「そりゃあ、BSAAに対する業務妨害の現行犯で蜂の巣だな。お前のことだ。さぞ、美味しい蜂蜜が取れるだろう」
 高橋「カンベンしてくださいよ」
 愛原「じゃあ、どうするんですか?リサと会えないようなら、私達、ここに来た意味が無くなりますが……」
 善場「直接会えないのなら、電話すれば良いのです。所長の声を直接聞くだけでも、彼女は安心するでしょう」
 愛原「それはいいですね。でも、それにしたって、研究施設に行かないといけないんじゃ?」
 善場「そこで、日本のBSAAの出番です。今現在はBSAAに権限が渡っています。日本のBSAAが主導権を握っているわけですね。彼らの中には技術班もいますので、彼らの技術で何とかしてもらうわけです」
 愛原「そう上手く行くのですか?」
 善場「私にお任せください」

 主任はそう言うと、自分のスマホを取り出した。
 そして、どこかへ電話する。

 善場「……はい。例の件を、早速お願いします。……はい」

 どうやら、既に根回しはしていたようだ。

 善場「……はい。それでは、後ほど、よろしくお願いします。……はい」

 そして、電話を切る。

 善場「今準備に取り掛かるとのことです。終わるまで多少時間が掛かりますので、先に荷物を置いてきたり、A棟から食料を調達なさって来てください」
 愛原「分かりました」

 私と高橋は部屋のカードキーを手に、エレベーターに乗り込んだ。

 愛原「313号室って、この前泊まった所じゃん!」
 高橋「何かあるんスかね?」
 愛原「監視でもされてるのかな?」
 高橋「えっ!?」
 愛原「だがまあ、仕方が無い。ここは政府の秘密施設なんだからな。日の当たる場所は、研修センターに偽装されているが、そもそもこんな山奥に研修センターってのもおかしい話だ」
 高橋「た、確かに……」

 保養施設としてなら分からなくもないが、その場合はKKRに運営を任せることになるだろう。
 だが、一般客も相手にするKKRが、こんな一般客が来そうに無い場所に保養施設を建てるとも思えなかった。

 愛原「荷物を置いたら、今度は食料の調達だ」
 高橋「ビールとかも買っておきます?」
 愛原「それは……善場主任に聞いておくか」

 尚、本当に確認した高橋だったが、善場主任は冷ややかな顔で、『自己責任でお願いします』と、答えただけだった。
 まあ、そりゃそうだろう。
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