報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「夜の帰宅」

2023-03-24 20:49:02 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月30日20時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 夕食を終えた私達は、やっとこさマンションに帰宅した。

 愛原「おー、荷物来てる」

 マンションの宅配ボックスを覗くと、リサ宛の荷物が届いていた。

 愛原「新しいサイズの制服だな。あと、何だこれは?」
 リサ「多分、わたしが注文したブルマじゃない?」
 愛原「あー……」

 それを持って、マンションの部屋に入る。

 愛原「やっと着いたな」
 高橋「風呂沸かしますね」
 愛原「ああ」
 リサ「先生、早速着てみていい?」
 愛原「そうだな。一応、合わせてみよう」
 リサ「んしょっと……」

 リサはパーカーを脱いだ。
 気が抜けたからか、第1形態に戻っている。

 愛原「ここで着替えるな!自分の部屋で着替えろ!」
 リサ「えー……」
 愛原「えー、じゃない」

 リサは渋々、自分の部屋に向かった。

 高橋「先生、明日の朝飯は魚でいいっスか?」
 愛原「いいよ。魚なんてあるんだ?」
 高橋「冷凍なんで、日持ちは卵よりもいいんスよ」
 愛原「それはいいな。そうしてくれ」
 高橋「うっス。洗濯機回すんで、洗濯物はここに入れてください」
 愛原「宿泊先がビジホなら、コインランドリーで洗っちゃうところなんだがな」
 高橋「まあ、そうッスね」

 私も荷物を片付けていると、リサが部屋から出てきた。

 リサ「先生、見て見て」

 リサは制服の冬服を着ていた。

 愛原「おー、さすが新品はきれいだな」

 モスグリーンのダブルのブレザーに、エンジ色のリボン、冬はグレーのプリーツスカート。

 リサ「因みにブルマも穿いてみた」

 リサはスカートを捲り上げた。
 制服のブレザーよりは、もっと濃い無地の緑のブルマがそこにあった。

 リサ「これもピッタリ」
 愛原「ああ、うん。それは良かった」
 リサ「夏服はまだ無いの?」
 愛原「それはまた後で買おうと思うんだ」

 スカートが夏用のモスグリーンのプリーツスカートなので、これが1番高い。
 半袖のブラウスと盛夏服のポロシャツも似たようなものだ。

 リサ「そうなんだ。あっ、せっかくだから体操服も着てみようかなぁ!」
 愛原「そう?」

 リサが再び部屋に戻る。
 しばらくすると、ジャージを着たリサが出てきた。
 こちらは、明るい緑色である。
 あまり濃い緑だと、芋っぽく見えるからかもしれない。
 中学生くらいまでならそれでもいいのかもしれないが、高校生ともなると……。

 愛原「どう?きつくない?」
 リサ「キツくない」

 リサはジャージの上を脱いだ。
 その下には、半袖の体操服がある。
 丸首と袖の部分は、スクールカラーの緑が縁取りされている。
 ジャージのズボンを脱ぐと、ブルマではなく短パンがあった。

 愛原「まあ、これでもいいっちゃいいんだけどね……」
 リサ「で、ブルマ」

 ブルマだけは学校指定ではない為、同じ緑色なのだが、やっぱりちょっと色合いが異なる。
 今の短パンと同様、無地であるところは合わせているのだが。
 1度は廃止になっているので、当時のメーカーが再販しないのである。
 『魔王軍』がブルマを復活させたが、無地の緑であることだけは共通していて、その色合いやメーカー、ディテールなどはバラバラである。
 リサが最初に購入した緑のブルマも、バレーブルマのようなダーツ線が入っているタイプであった。
 後に、まだ東京中央学園にブルマがあった頃、ダーツ線は無かったということで、リサもダーツ線無しのタイプを購入している。
 かつての写真を見ると、ダーツ線の入っているブルマを穿いていた女子生徒の写真があったので、リサもそれを真似したようなのだが、後の調査で、女子バレー部の当時のユニフォームのブルマだったことが判明している。
 その女子生徒が、どうして体育の授業で、バレー部のブルマを穿いていたのかは不明である。
 ただ、リサが間違うくらいだから、体育用のブルマと大したデザインの違いは無かったのかもしれない。
 だからなのか、女子陸上部のレーシングブルマは、更に目立つラインを入れて区別しているようだ。

 愛原「うん、いいね」
 リサ「短パンは穿かないから、先生にあげる」
 愛原「いやいや。予備に取っておけよ」
 リサ「でも、ブルマも2枚あるし」
 愛原「それでも、必要な時は必要なんだろ?それと、あれは?ブルマが廃止になった代わりに導入された、黒いスパッツ」
 リサ「ああ、あれね」
 愛原「平成後期~令和の今、制服女子のスカートの下といったらそれだろう」

 リサは部屋から一分丈のスパッツを持って来た。

 リサ「これもブルマがあるから、今は要らないんだよね」
 愛原「まあ、あくまでも予備に取っておけよ。私服とかで使う機会もあるんじゃないの?」
 リサ「どうだかねぇ……」
 高橋「おい、リサ。洗濯機回すから、早く汚れた服出せよ」
 リサ「ちょっと待って。先生に匂いを嗅いでもらってから」
 愛原「何でだよ!」
 リサ「え?先生、『教え子の下着を盗んで愉しんだ件について』ってエロ動画……」
 愛原「観てない観てない!」
 高橋「くぉら!リサ!先生をバカにすんじゃねぇ!」

 高橋、リサにゲンコツを食らわせる。

 リサ「いってーっ!」
 高橋「先生、そんな変態動画観ちゃダメっス!」
 愛原「だから、観てねーっつってんだろ!」
 高橋「もし何でしたら俺のオススメ、『アッー!な男子校パラダイス』っつー動画が……」
 愛原「そんなホモビ、余計観ねーわ!」
 リサ「これは先生の下着~。下着はネットに入れて洗う~」
 愛原「男の下着なんて、そんな御大層な扱いしなくていいんだよ。リサの下着こそ、ネットに入れて洗わないと」
 高橋「ちょっと待てや、コラ!先生の下着を洗うのは、不肖の弟子のこの俺の仕事だ!」
 リサ「お嫁さんの仕事でしょ?」
 高橋「誰が嫁だ、コラァ!」
 愛原「ぶっちゃけ、押しかけ女房的な所はあるな」
 リサ「ほら!聞いた!?先生、認めてくれたよ!?」
 高橋「先生、マジっスか!?特異菌に感染してるんじゃないっスか?!」
 愛原「『的な』とは言ったけど、『ガチで』とは言ってないよ。そもそもリサ、婚姻年齢に達していないんだから、法律的にも無理だって」

 民法改正で、女性が結婚できる年齢は16歳から18歳へ引き上げられた。
 リサは10月1日生まれだから、来年がそうなるのか。

 リサ「ぷっくーっ!」

 リサは頬を膨らませた。

〔ピピッ♪ もうすぐ、お風呂が沸きます〕

 愛原「おっと。もう風呂が沸くみたいだな。俺は先に風呂に入らせてもらうよ」
 高橋「は、はい。その服も、洗濯しますんで」
 愛原「よろしく」

 何だか、日常に戻ったようなやり取りだった。
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“私立探偵 愛原学” 「帰りの旅路」 2

2023-03-24 16:16:09 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月30日18時11分 天候:晴 東京都墨田区押上 東武鉄道とうきょうスカイツリー駅]

〔♪♪♪♪。まもなく、とうきょうスカイツリー、とうきょうスカイツリーに到着致します。お出口は、左側です。とうきょうスカイツリーから、京成線、都営地下鉄浅草線はお乗り換えです。……〕

 下車駅が近づいてくる。
 確かに座席は鬼怒川温泉駅から満席に近くなり、私の隣の席も埋まったが、その客は北千住駅で降りていった。
 それ以来、隣の席は空いたままだ。
 後ろの席で、高橋とリサが後ろから無言の圧を掛けていた感はあったが、スルーしておこう。

 愛原「よし。降りる準備するぞ」
 高橋「ハイ」

 今は新しくなった駅のホームに、列車が滑り込んだ。

〔ご乗車ありがとうございました。とうきょうスカイツリー、とうきょうスカイツリーです。京成線、都営地下鉄浅草線はお乗り換えです。……〕

 私達はここで電車を降りた。
 東京でも有名な観光地、東京スカイツリーの最寄り駅であり、日曜日の夕方ということもあってか、駅は多くの利用客で賑わっていた。

 リサ「お腹空いたな……」
 愛原「菊川に着いたら、ファミレスにでも行こうか」
 リサ「おー!」

 お昼にソースカツ丼を食べたリサだが、夕方は夕方で腹が減るらしい。
 再びGウィルスが活性化したことで、エネルギーの消費量が大きくなったか。
 今のリサはGウィルスに、Tウィルスが結合した状態だということも分かっている。
 Tウィルスが死滅したというのは、Gウィルスと結合していない部分。
 寄らば大樹の陰とばかりに、Gウィルスと結合したTウィルスについては死滅していなかった。

 リサ「トイレに行ってくる」

 エスカレーターを下りてコンコースに出ると、リサがトイレに向かった。
 それからしばらくして戻ってくると……。

 リサ「外、風強いからブルマ穿いてきた」
 愛原「ああ、そう」
 高橋「2~3日間穿きっ放しじゃ、臭うんじゃねーの?w」
 リサ「ムッ

 バチッ

 高橋「いってーな!」

 リサ、高橋に強い静電気をお見舞いする。

 愛原「さっさと行くぞ」

 駅の外に出ると、ピュウッと強い風が吹いてきた。
 これは、ビル風だろうか?
 東京スカイツリーの麓にいるが故の……それとも、ただの強い風か?

[同日18時40分 天候:晴 同地区 都営バス業10系統車内]

 駅前のバス停から、都営バスに乗り込んだ。

 リサ「お兄ちゃん。今度はわたし、先生の隣がいい」

 バチッ

 高橋「火花散らして、脅迫すんじゃねー!」
 愛原「まあまあ。今回くらいはいいだろ」
 高橋「はあ……」

 私とリサは2人席に座り、高橋はその前の1人席に座った。

 愛原「い、いいかリサ?このバスは水素燃料で走るタイプだ。水素も火花で引火して爆発する恐れがあるから、電撃はダメだぞ?」
 リサ「先生が浮気しなければ大丈夫だよ」
 高橋「浮気してねー俺、オメーから火花食らったんだが?」
 リサ「お兄ちゃんは別」
 高橋「あー、そうかよ」

〔発車致します。お掴まりください〕

 バスは発車の時刻になると、前扉を閉めて発車した。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは東京都現代美術館前、豊洲駅前、勝どき橋南詰経由、新橋行きでございます。次は言問橋、言問橋でございます。日蓮正宗妙縁寺へおいでの方は、本所吾妻橋でお降りください。次は、言問橋でございます〕

 リサ「本所吾妻橋……」
 愛原「どうした?」
 リサ「あの、鬼斬り先輩が住んでいるところ……」
 愛原「ああ、同じ区内だったな。まあ、バスの中にいれば大丈夫だよ。それに、こんな暗くなる時間だ。そんなに出歩いているとは思えんよ」
 リサ「そうかな……」
 高橋「つーかよ。オメーの電撃をもってすれば、刀程度のヤツ、ビリビリにできんじゃねーの?」

 するとリサ、目を丸くした。

 リサ「むふー!そうか!」
 愛原「あー、ケンカは禁止な。PTA会長代行として、見過ごすわけにはいかん」
 リサ「……はーい」

[同日18時55分 天候:晴 東京都墨田区菊川 都営バス菊川駅前バス停→ジョナサン菊川店]

〔「菊川駅前です」〕

 バスがバス停に到着する。
 私達は中扉かうら、バスを降りた。
 地下鉄の乗り換え駅や、他のバス路線への乗り換えもできる為、下車客はそれなりにいる。
 その分、乗車客も多いのだが。

 愛原「じゃあ、飯食いに行くか」
 リサ「りょ!」
 高橋「うっス!」

 私達は交差点を渡り、ファミレスに向かった。

 高橋「おっ!?」

 路地からボボボと改造マフラーから排気音を吹かして、遊び車が出てくる。
 駐車場の出口は路地に出る形になるので、そこから大通りに出ようとしているわけだ。

 高橋「今どきランエボか。やるねぇ!」
 愛原「そうなのか。最近は外国人が多いらしいな?」
 高橋「そうっスね。埼玉とか千葉とか……あの辺行くと、おめー何人?って感じの外人が乗ってたりします」
 愛原「今の日本人は、カネが無いからな……」

 店の中に入る。

 店員「いらっしゃいませー」
 愛原「3名です」

 というわけで、空いているテーブル席に着く。

 愛原「人数は3名な?」
 高橋「はい」

 テーブルの上のタブレットに、人数を入力する。

 愛原「何がいい?……って、リサはステーキになるよな?」
 リサ「いい?」
 愛原「いいよいいよ。鬼に『肉禁止』なんて言おうものなら、暴走決定だもんな」
 リサ「さすが先生!」

 因みに本所吾妻橋近辺で、栗原蓮華と会うことは無かった。

 愛原「まずはビールだな」
 高橋「うっス」
 リサ「まずはビールだね」
 愛原「リサはドリンクバーにしとけよ?」
 リサ「……はーい」

 高橋がタッチパネルを操作する。

 愛原「俺はハンバーグでいいや」
 高橋「了解っス。ハンバーグっスね」

 注文が一通り終わると、リサはドリンクバーへと向かった。
 ビールはロボットが持ってくるのではなく、これは店員が持って来た。
 アルコールだからだろうか。

 愛原「リサ、明日から学校行くのは大丈夫だな?」
 リサ「うん、大丈夫」

 善場主任の話だと、リサの新しい制服は既にマンションに届いているという。

 愛原「前のサイズの小さい制服はリユースできるようだが、体操服がな……」
 リサ「小さいブルマ穿いて、ハミパンとか、お尻食い込みとか先生好きでしょ?」
 愛原「読者に誤解されるから、やめなさい」
 高橋「いや、もう手遅れっス」

 明日、私と高橋は報告、リサは登校だ。
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“私立探偵 愛原学” 「帰りの旅路」

2023-03-24 10:26:21 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月30日13時30分 天候:晴 福島県南会津郡南会津町(旧・田島町) 会津鉄道会津田島駅]

 道の駅から旧・田島町の街中までは、30分くらいである。
 但し、今はバイパスがあるからスムーズに行けるのであって、旧道の峠は狭く、軽やかに行ける状態ではないのだそうだ。
 街中のガソリンスタンドで給油し、満タンの状態でレンタカー会社に車を返す。
 それから、会津田島駅まで徒歩で向かった。

 愛原「まだ少し時間があるな」

 私は改札口の上の時刻表を見て呟いた。

 愛原「15時ちょうど発、特急“リバティ会津”114号、浅草行きだ」
 高橋「この足で、ねーちゃんとこに報告を?」
 愛原「いや、今日は日曜日だから、報告に行くなら明日だろう。別に、今日来いとも言われてないし」
 高橋「ああ、そうっスね」
 愛原「それより、まだ少し時間がある。駅の中にいればいいだろう」

 駅構内にも物産館はある。
 さすがにホームには行けないようだ。
 何故なら、会津田島駅は列車ごとに改札口を開けるシステムになっており、列車の無い時間帯は改札口が閉じられている。
 地方のローカル駅では、よく見かける光景だ。
 もちろん無人駅ならそんなことはないし、そんなに大きくない駅の、駅員配置駅であるパターンである。
 浅草行きが出ているからか、ここでも東京スカイツリーの案内が出ていた。

 愛原「善場主任にお土産でも買って行くか?」
 高橋「前に、『贈収賄罪に問われますよ』って言われませんでしたっけ?」
 愛原「善場主任も、元鬼なら、酒ガブガブ行けると思うんだけどな……」
 高橋「そういや、あのねーちゃん、全然酔いませんね!?」
 愛原「そうなんだよ」
 リサ「じゃあ、わたしが飲む!」
 愛原「オマエはあと3年待て」
 リサ「えー……。わたし、本当は先生より年上……」
 愛原「人間のままだったらの話だろう?ダメダメ」
 高橋「先生の命令は絶対だぜ?」
 リサ「ぶー……」
 高橋「俺達が自分達用に買えばいいんですよ。で、ねーちゃんも『一杯どう?』みたいな感じで」
 愛原「おっ、それはいいな!高橋、冴えてる!」
 高橋「いやァ……」(〃´∪`〃)ゞ
 リサ「そんなァ……」(∀`*ゞ)
 愛原「リサは褒めてない」

[同日14時50分 天候:曇 同地区 同駅→会津鉄道会津線1144M列車最後尾車内]

〔「15時ちょうど発、特急“リバティ会津”114号、浅草行きの改札を始めます。ご利用のお客様は、改札口までお越しください」〕

 こういう放送が流れて、私達はキップを手に、改札口に向かった。
 自動改札機は無く、ブースの中に駅員が立って、キップを切っている。
 私達もこれでようやく、ホームへ行けるわけである。
 1番線に行くと、3両編成の特急が停車していた。
 途中で前に3両を連結するので、都内へは6両編成で向かうことになる。

〔♪♪♪♪。ご乗車ありがとうございます。この列車は特急“リバティ会津”114号、浅草行きです。……〕

 座席は全部指定席なので、キップが買えれば、席にあぶれることはない。

 愛原「ここだな」

 私は進行方向左側の窓側に座り、リサと高橋はその後ろに座ってもらった。
 まあ、往路と同じ席順である。
 私は座席に座ると、スマホから善場主任に、これから帰京する旨の連絡をメールで入れておいた。
 リサは座席のテーブルを出し、その上に駅で買った飲み物や食べ物を置いている。

 高橋「先生。今回の降りる駅は、とうきょうスカイツリー駅前なんスか?」
 愛原「そう。そこから、バスに乗り換えできるじゃん」
 高橋「ああ!」

 往路は朝早かったので地下鉄で行ったが、帰りはバスならまだ走っている時間帯だし、あとは帰るだけなので、遅延とかも気にする必要はない。

[同日15時54分 天候:曇 栃木県日光市藤原 野岩鉄道・東武鉄道新藤原駅]

 

 列車が新藤原駅に到着する。
 ここから南は、終点の浅草まで東武鉄道の線路になる。
 その為か、ここで乗務員交替が行われ、停車時間も3分ほど取られていた。

 愛原「ちょっと、飲み物買ってくるわ」
 高橋「お供します!」
 愛原「……せんでいい」

 今のところ、まだ私の隣には誰も座っていないが、鬼怒川温泉駅辺りから混んで来る可能性はある。
 だから、まだいないうちに買ってきておこうかと思ったのだ。

 愛原「んん?」

 雨は降っていないのだが、空はどんよりと曇っていて、風も若干強い。
 ホームの自販機に向かう。

 リサ「先生!」

 後ろからリサの声がした。

 愛原「リサ!」
 リサ「わたしもジュース買う」
 愛原「会津田島で買ってたんじゃなかったのか?」
 リサ「ペットボトルの方はまだ残ってるよ。だけど、缶の方がね」
 愛原「何だ、それ……」

 ホームの自販機で私は缶コーヒーを買い、リサはジュースを買った。
 ヒュウッと強い風が吹いている。

 愛原「リサ、スカート気をつけろ。俺以外には見せたくないんだろ?」
 リサ「もちろん。……よく分かったね?今はブルマ穿いてないって」
 愛原「うおっ!?……温泉入る時は面倒だから穿かないとか言ってなかったっけ?」
 リサ「そうだったかな……」

 因みに下がスカートではなく、ショートパンツの時はそもそもブルマを穿かない。
 私達だけではアレなので、高橋にも買って行ってやった。

 愛原「お待たせ。オマエの分も買って来たぞ」
 高橋「あっ、あざっす!下今市駅で買いに行こうと思ってたんスけど……」
 愛原「一服するだけでせいぜいだろう?それに、鬼怒川温泉以南は混むだろうし」
 高橋「はあ……」

〔「お待たせ致しました。15時57分発、特急“リバティ会津”114号、浅草行き、まもなく発車致します。ご乗車になりまして、お待ちください」〕

 乗務員は車掌も交替するので、車掌の声も変わる。
 そして信号も開通したのか、列車は定刻通り、東武鉄道の線路を走り出した。
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