[10月24日15時00分 天候:不明 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センター地下研究施設]
いくらメタリックで明るい照明とはいえ、ずっと地下にこもっていると、何だか感覚が狂うような感じになる。
研究員達は好きでここにいるんだろうが、確かにリサは何日もここに閉じ込められて、大変だろうなぁ。
そう思っていると、新たな実験が行われるとの情報が入った。
それはこの施設の更に下層部分にある空間だった。
善場「この下には、闘技場のような空間があります。BOWの運動能力や戦闘力を確認する為なのですが、リサの電撃がどれくらいの物なのかの実験です」
愛原「ええっ?」
善場「まだ脱走していないハンターがいますので、リサと戦わせます」
愛原「危険じゃないですか?また脱走したりしたら……」
下級BOWたるハンターが、特級BOWのリサに勝てるわけがないから、リサの命の心配はしていない。
それまでもリサは、持ち前の戦闘力でハンターを屠ったことがある。
善場「もちろん、BSAAの協力は欠かせません。BSAAに警備してもらい、万が一のことがあったら、すぐに対処できるようにしておきます」
2階席のような部分にBSAAの狙撃兵を何名か配置しておき、万が一リサが負けたり、ハンターが脱走しようとしたら、すぐにそれで射殺するようにするのだという。
リサはそれでは死なないが、ハンターなら死ぬ。
奇しくも、準備中のリサとはモニタ越しでまた会話することができた。
リサの体には、様々な測定器が付けられている。
これでは戦いにくいのではないかと思うが、ハンターの方も片足には鉄球が取り付けられており、これでだいぶ動きが遅くなるのだそうだ。
今回の目的は、リサの電撃による戦闘データの確保にあり、ハンターとの勝敗ではない。
愛原「リサ、頑張れよ!」
リサ「要するに、わたしの電撃でハンターを倒せばいいんだね?」
愛原「そういうことだ」
リサが先に闘技場に入る。
彼女は検査着ではなく、私が差し入れしたTシャツに黒い短パンを穿いていた。
そこに腕やら頭やら足やらに、測定器が取り付けられている。
そして、反対側の大きな鉄扉が開き、そこからハンターαとγが現れた。
γは両生類を改造して造ったハンターである為、爬虫類から造ったαやβのように、鱗は無いのだが、蛙のような大きな口を開け、それで獲物を丸呑みしてしまうのが特徴だ。
1度丸呑みされると、2度と出て来れられない。
αやβは首狩りという即死攻撃を行うが、γはそれと比べれば動きが鈍いということもあり、そのような攻撃は繰り出さない。
その代わり、丸呑み攻撃が即死攻撃の代わりと言える。
高橋「ヒュー!1対2か!昔を思い出すぜ!」
愛原「高橋、うるさい」
私達はカンファレンスルームのモニタで、闘技場の様子を見ていた。
高橋「レディー……ファイッ!」
愛原「だから……」
まずは動きの素早いハンターαがリサに飛び掛かった。
リサ「わたしをナメるな!」
リサは右手を前に突き出して、掌から電撃を放った。
すぐにαが感電して、仰向けに倒れ、ビクンビクン震えている。
γは口を大きく開け、リサを丸呑みにしようとした。
γは他のハンターと比べれば、圧倒的に耐久力が強い。
だが、口を大きく開けた際、その中が弱点となる。
リサ「よっと!」
リサはサッと後ろに下がり、またもや電撃を放つ。
γに電流がまとわりつくように、火花が飛び散るが、あまり感電している感じが無い。
リサ「口の中に当てなきゃダメか……」
またもやγが口を大きく開けて、リサに向かってきた。
リサ「今度は両手!」
リサは右手と左手、両方突き出して、両手から電撃を加える。
口の周りに感電したことで、さっきよりはダメージを受けたγだったが、それでも倒れない。
ハンターα「ガァァッ!」
そうしているうちに、αが復活してしまった。
リサ「おっと!」
リサ、何を思ったか、あえてγに接近し、γの横に立った。
ハンターγ「???」
何と、γのヤツ、リサが真横にいることに気づいていないようだった。
善場「γは他のハンターと比べて視力が弱いそうです。視野も狭いので、真横に立たれると見えないようです」
だったら後ろに立てば良いと思うだろうが、何故かγはリサの方を振り向くことはなかった。
リサとは反対側を向いたり、後ろを向いたりはするのだが、例えばリサが右脇に立つと、何故かγは右を向こうとしない。
何かの習性なのだろうか?
ハンターα「ガァァッ!」
もっとも、それはγだけのこと。
αには、そんな小細工通用しない。
γは種類違いの仲間だと思うのだが、リサを攻撃したいのに、γが邪魔なので、ついにγを攻撃してしまった。
ハンターγ「ギャァァッ!」
ハンターα「ガァァァッ!」
ハンター同士の同士討ちが始まる。
リサはこれを狙っていたのか?
そして、γが大きな口を開いて、αに食らいついた。
γもそうだが、αも巨体である為、なかなか丸呑みできない。
リサ「今だ!」
リサはαの腕にしがみ付き、全身から電流を放った。
ハンターα「ギャアアアアッ!!」
まずはαが感電し、そのαを丸呑みしようとしていたγの口の中にも電流が流れ込んできて、γもついに感電した。
リサ「しばらくこれで動けないでしょ」
リサのヤツ、捨て身の攻撃をしたように見えたが、自身は全く感電していない。
まあ、電気ウナギが自分の放電で感電するわけがないのと同じか。
リサ「ねー?これで終わり!?」
研究員「えー、確認します」
研究員、ハンター2匹の生体反応を見る。
研究員「2匹とも心肺停止の状態により、戦闘続行は不可能と判断!よっと、リサの勝利!」
ハンター2匹の体からは、煙が立ち上っている。
愛原「す、凄いな、あいつ!」
高橋「人間発電機っスね。……あ、人間じゃねーかw」
善場「フム。これはイケるかも……」
善場主任も、興奮を隠しきれないでいた。
カメラで見る限りでは、リサの自我は特に失われていないようだ。
どうしてあんなことができるようになったのかまでは知らないが、悪用さえしなければ、別に大丈夫なんじゃないか?
あとは、漏電とかに気をつけるとか……。
控室に戻ったリサを私が労ってやると、リサは照れ笑いを浮かべていた。
後に特異菌とGウィルスが絡み合ったところに、『アイコール』の成分が混じり、何らかの変異を起こした故での能力ではないかと結論付けられた。
何らかとは何か、というのは引き続き研究課題となると……。
いくらメタリックで明るい照明とはいえ、ずっと地下にこもっていると、何だか感覚が狂うような感じになる。
研究員達は好きでここにいるんだろうが、確かにリサは何日もここに閉じ込められて、大変だろうなぁ。
そう思っていると、新たな実験が行われるとの情報が入った。
それはこの施設の更に下層部分にある空間だった。
善場「この下には、闘技場のような空間があります。BOWの運動能力や戦闘力を確認する為なのですが、リサの電撃がどれくらいの物なのかの実験です」
愛原「ええっ?」
善場「まだ脱走していないハンターがいますので、リサと戦わせます」
愛原「危険じゃないですか?また脱走したりしたら……」
下級BOWたるハンターが、特級BOWのリサに勝てるわけがないから、リサの命の心配はしていない。
それまでもリサは、持ち前の戦闘力でハンターを屠ったことがある。
善場「もちろん、BSAAの協力は欠かせません。BSAAに警備してもらい、万が一のことがあったら、すぐに対処できるようにしておきます」
2階席のような部分にBSAAの狙撃兵を何名か配置しておき、万が一リサが負けたり、ハンターが脱走しようとしたら、すぐにそれで射殺するようにするのだという。
リサはそれでは死なないが、ハンターなら死ぬ。
奇しくも、準備中のリサとはモニタ越しでまた会話することができた。
リサの体には、様々な測定器が付けられている。
これでは戦いにくいのではないかと思うが、ハンターの方も片足には鉄球が取り付けられており、これでだいぶ動きが遅くなるのだそうだ。
今回の目的は、リサの電撃による戦闘データの確保にあり、ハンターとの勝敗ではない。
愛原「リサ、頑張れよ!」
リサ「要するに、わたしの電撃でハンターを倒せばいいんだね?」
愛原「そういうことだ」
リサが先に闘技場に入る。
彼女は検査着ではなく、私が差し入れしたTシャツに黒い短パンを穿いていた。
そこに腕やら頭やら足やらに、測定器が取り付けられている。
そして、反対側の大きな鉄扉が開き、そこからハンターαとγが現れた。
γは両生類を改造して造ったハンターである為、爬虫類から造ったαやβのように、鱗は無いのだが、蛙のような大きな口を開け、それで獲物を丸呑みしてしまうのが特徴だ。
1度丸呑みされると、2度と出て来れられない。
αやβは首狩りという即死攻撃を行うが、γはそれと比べれば動きが鈍いということもあり、そのような攻撃は繰り出さない。
その代わり、丸呑み攻撃が即死攻撃の代わりと言える。
高橋「ヒュー!1対2か!昔を思い出すぜ!」
愛原「高橋、うるさい」
私達はカンファレンスルームのモニタで、闘技場の様子を見ていた。
高橋「レディー……ファイッ!」
愛原「だから……」
まずは動きの素早いハンターαがリサに飛び掛かった。
リサ「わたしをナメるな!」
リサは右手を前に突き出して、掌から電撃を放った。
すぐにαが感電して、仰向けに倒れ、ビクンビクン震えている。
γは口を大きく開け、リサを丸呑みにしようとした。
γは他のハンターと比べれば、圧倒的に耐久力が強い。
だが、口を大きく開けた際、その中が弱点となる。
リサ「よっと!」
リサはサッと後ろに下がり、またもや電撃を放つ。
γに電流がまとわりつくように、火花が飛び散るが、あまり感電している感じが無い。
リサ「口の中に当てなきゃダメか……」
またもやγが口を大きく開けて、リサに向かってきた。
リサ「今度は両手!」
リサは右手と左手、両方突き出して、両手から電撃を加える。
口の周りに感電したことで、さっきよりはダメージを受けたγだったが、それでも倒れない。
ハンターα「ガァァッ!」
そうしているうちに、αが復活してしまった。
リサ「おっと!」
リサ、何を思ったか、あえてγに接近し、γの横に立った。
ハンターγ「???」
何と、γのヤツ、リサが真横にいることに気づいていないようだった。
善場「γは他のハンターと比べて視力が弱いそうです。視野も狭いので、真横に立たれると見えないようです」
だったら後ろに立てば良いと思うだろうが、何故かγはリサの方を振り向くことはなかった。
リサとは反対側を向いたり、後ろを向いたりはするのだが、例えばリサが右脇に立つと、何故かγは右を向こうとしない。
何かの習性なのだろうか?
ハンターα「ガァァッ!」
もっとも、それはγだけのこと。
αには、そんな小細工通用しない。
γは種類違いの仲間だと思うのだが、リサを攻撃したいのに、γが邪魔なので、ついにγを攻撃してしまった。
ハンターγ「ギャァァッ!」
ハンターα「ガァァァッ!」
ハンター同士の同士討ちが始まる。
リサはこれを狙っていたのか?
そして、γが大きな口を開いて、αに食らいついた。
γもそうだが、αも巨体である為、なかなか丸呑みできない。
リサ「今だ!」
リサはαの腕にしがみ付き、全身から電流を放った。
ハンターα「ギャアアアアッ!!」
まずはαが感電し、そのαを丸呑みしようとしていたγの口の中にも電流が流れ込んできて、γもついに感電した。
リサ「しばらくこれで動けないでしょ」
リサのヤツ、捨て身の攻撃をしたように見えたが、自身は全く感電していない。
まあ、電気ウナギが自分の放電で感電するわけがないのと同じか。
リサ「ねー?これで終わり!?」
研究員「えー、確認します」
研究員、ハンター2匹の生体反応を見る。
研究員「2匹とも心肺停止の状態により、戦闘続行は不可能と判断!よっと、リサの勝利!」
ハンター2匹の体からは、煙が立ち上っている。
愛原「す、凄いな、あいつ!」
高橋「人間発電機っスね。……あ、人間じゃねーかw」
善場「フム。これはイケるかも……」
善場主任も、興奮を隠しきれないでいた。
カメラで見る限りでは、リサの自我は特に失われていないようだ。
どうしてあんなことができるようになったのかまでは知らないが、悪用さえしなければ、別に大丈夫なんじゃないか?
あとは、漏電とかに気をつけるとか……。
控室に戻ったリサを私が労ってやると、リサは照れ笑いを浮かべていた。
後に特異菌とGウィルスが絡み合ったところに、『アイコール』の成分が混じり、何らかの変異を起こした故での能力ではないかと結論付けられた。
何らかとは何か、というのは引き続き研究課題となると……。