[10月29日14時30分 天候:曇 福島県南会津郡桧枝岐村下見通]
私とリサは、林道の脇道に入って行った。
愛原「リサ、見覚えはあるか?」
リサ「……ダメ。全然思い出せない」
リサはパーカーのフードを取った。
変異後である為、角が2本になっている。
髪は切ったので、髪型は変異前のおかっぱと変わらない。
愛原「人間だった頃の記憶が、また薄れている?」
リサ「そうかも。多分、特異菌が弱くなったせい」
愛原「そうか……」
Tウィルスも殆ど死滅してしまい、今は最初の頃のGウィルスがリサの体を支配している。
特異菌はオマケのようなもの。
この特異菌が放電現象と関係あるのではないかと言われているが、何しろ他に例が無いので、全く分からないのである。
愛原「! 行き止まりか……」
10月も末であり、桧枝岐村では道路が冬季通行止めを迎えようとしている。
つまり、冬支度が始まろうとしている時期である。
私達が来た林道も、舗装こそしっかりされているものの、やはり冬季通行止めの措置は免れない道路である。
滅多に他の車が来ないのも、こういう時期的な理由もあるのだと思われる。
草は枯れている為、藪の中であっても、虫の姿は殆どない。
そこは季節に恵まれた。
これが夏だったら、色々な虫に私達は襲われただろう。
最悪、スズメバチとかいるかもしれない。
春のスズメバチは駆除しない方が良いらしい。
まだ繁殖前であり、女王蜂しかいない状態なので凶暴性は無く、しかも繁殖に備えて様々な虫を食べる、つまり毛虫などの害虫もバクバク食べてくれるので、毛虫や蛾の繁殖を抑えたい場合は、むしろスズメバチに食わせる方が良いらしい。
まあ、幸いスズメバチの気配は無かったが。
愛原「とはいえ……」
開けている場所ではある。
ここに家が建っていた、と言われればそんな気もするが、何だかよく分からない。
何しろ、形跡が全くと言って良いほど無いのだ。
だが、これほどに何も無さ過ぎるのも、不自然と言えば不自然だ。
アンブレラの、それも非合法部隊UBCSなら、痕跡ごと隠蔽することは可能だろう。
家は焼却するものの、すぐに消火して、、焼け落ちた家はきれいさっぱり片付ける。
死体だって、どこかに埋めてしまえば……。
リサ「……動物の臭いがする」
愛原「まあ、そりゃあ、動物の臭いはするだろうな」
何しろこんな山奥だ。
私は虫のことを気にしていたが、そんな虫を食べる動物とかも普通にこの山の中にはいるだろう。
愛原「! まさか、熊がこの近くにいるとか……?」
リサ「うん。こっちだよ!」
鬼のリサは、熊など全く恐れていない様子。
まあ、この辺にいるのはツキノワグマだろう。
北海道のヒグマほど凶暴ではないとはいえ、冬眠前のクマに近づくのは危険なのではと思う。
愛原「お、おいおい!危ないだろ!」
しかし、リサは更に奥の獣道に向かう。
そこにいたのは……。
ツキノワグマ「アウ?」
愛原「ツキノワグマだ!」
本当に熊がいた!
何やら、穴を掘っていた様子。
食べ物を探していたのだろうか?
リサ「熊の肉、美味しそう!」
リサ、右手からバチバチと火花を散らした。
愛原「熊を食べちゃいけませーん!」
バリバリバリバリバリバリバリ!
ツキノワグマ「ピィーッ!」
哀れツキノワグマ、リサの電撃を受け、仰向けに倒れてしまった。
リサ「先生!今日の夕食!」
愛原「食えるか、アホ!」
リサの血鬼術……もとい、攻撃方法に爪と噛み付き以外に、遠方からの攻撃として電撃も加わったのは強いのだが……。
愛原「ってか、これ……!」
ツキノワグマが掘っていた穴を私は見た。
そこにあったのは、何と骨だった!
最初は動物の骨だと思った。
この熊に食われた鹿とかかなと思ったのだが、どうも白骨化してから相当な時間が経っているように見える。
私は荷物の中から、折り畳み式のスコップを取り出して、もう少し穴を掘ってみることにした。
愛原「人間だ……!人間の骨だ……!」
出てきた頭蓋骨の形と、一対の肋骨の形からして、私はこの白骨死体が人間のものだと思った。
愛原「高橋、高橋、大変だ!」
私とリサは一旦、車に戻ることにした。
高橋は車の外に出て、タバコを吸っていた。
高橋「何スか?ゾンビでも出ましたか?」
愛原「出たのは熊だよ!」
高橋「マジっスか!?」
愛原「それはリサが電撃で倒してくれた」
リサ「むふー!」
愛原「そうじゃなくて、白骨死体が出てきたんだ!それも2つ!」
高橋「マジっスか!?」
私は試しに周りも掘ってみた。
すると、もう1つ頭蓋骨が出てきたことから、死体は2つ以上あるのだと分かった。
高橋「じゃあ、すぐにサツに……」
愛原「いや、その前に善場主任に連絡して指示を仰ごう」
昔のガラケーなら圏外になっていそうな場所だが、さすがに令和の今はスマホで通話ができる。
愛原「……というわけです。どうしますか?普通に警察に電話していいですか?」
善場「いえ、それには及びません。むしろ、BSAAの調査部隊に調査してもらいます。ありがとうございました。取りあえず、愛原所長方の業務としては、そこまでで結構です。BSAAと合流次第、宿舎に向かってください」
愛原「分かりました」
業務委託の民間探偵業者としては、ここまでが仕事である。
死体の調査については、公務員さん達の仕事になる。
愛原「BSAAが来るまで、ここで待機だそうだ」
高橋「うわ、絶対時間掛かるじゃないスか」
愛原「しょうがないだろ」
その通り、BSAAはヘリで来たのだが、1時間掛かった。
ただ、私からすれば、1時間でも早い方だと思う。
愛原「ここだ!ここだ!」
私は荷物の中から発煙筒を出すと、それを点けてヘリコプターに合図した。
ヘリコプターは着陸することなく、私達の上空にて旋回し、そこからロープが下ろされ、BSAAの隊員達が降下してくる。
BSAA隊員「BSAA極東支部日本地区本部隊です!」
愛原「お疲れ様です!場所を案内します!」
高橋とリサには車で待っててもらい、私がBSAA隊員達を案内する。
また熊がいたらどうしようかと思ったが、彼らの装備する銃火器を見て、その心配は無いと分かった。
そして現場に着くと、もう熊はいなかった。
愛原「これです!この骨です!」
私が指さすと、すぐにBSAAの隊員達は調査を開始した。
そして、隊長から発見した時の状況を聞かれたので、しっかり回答した。
その後はBSAAが引き継ぐと言われ、私達は御役御免となったのである。
愛原「お待たせ。それじゃ、俺達は離脱しよう」
私達は車に乗り込むと、来た道を引き返し、国道の方へと向かった。
私とリサは、林道の脇道に入って行った。
愛原「リサ、見覚えはあるか?」
リサ「……ダメ。全然思い出せない」
リサはパーカーのフードを取った。
変異後である為、角が2本になっている。
髪は切ったので、髪型は変異前のおかっぱと変わらない。
愛原「人間だった頃の記憶が、また薄れている?」
リサ「そうかも。多分、特異菌が弱くなったせい」
愛原「そうか……」
Tウィルスも殆ど死滅してしまい、今は最初の頃のGウィルスがリサの体を支配している。
特異菌はオマケのようなもの。
この特異菌が放電現象と関係あるのではないかと言われているが、何しろ他に例が無いので、全く分からないのである。
愛原「! 行き止まりか……」
10月も末であり、桧枝岐村では道路が冬季通行止めを迎えようとしている。
つまり、冬支度が始まろうとしている時期である。
私達が来た林道も、舗装こそしっかりされているものの、やはり冬季通行止めの措置は免れない道路である。
滅多に他の車が来ないのも、こういう時期的な理由もあるのだと思われる。
草は枯れている為、藪の中であっても、虫の姿は殆どない。
そこは季節に恵まれた。
これが夏だったら、色々な虫に私達は襲われただろう。
最悪、スズメバチとかいるかもしれない。
春のスズメバチは駆除しない方が良いらしい。
まだ繁殖前であり、女王蜂しかいない状態なので凶暴性は無く、しかも繁殖に備えて様々な虫を食べる、つまり毛虫などの害虫もバクバク食べてくれるので、毛虫や蛾の繁殖を抑えたい場合は、むしろスズメバチに食わせる方が良いらしい。
まあ、幸いスズメバチの気配は無かったが。
愛原「とはいえ……」
開けている場所ではある。
ここに家が建っていた、と言われればそんな気もするが、何だかよく分からない。
何しろ、形跡が全くと言って良いほど無いのだ。
だが、これほどに何も無さ過ぎるのも、不自然と言えば不自然だ。
アンブレラの、それも非合法部隊UBCSなら、痕跡ごと隠蔽することは可能だろう。
家は焼却するものの、すぐに消火して、、焼け落ちた家はきれいさっぱり片付ける。
死体だって、どこかに埋めてしまえば……。
リサ「……動物の臭いがする」
愛原「まあ、そりゃあ、動物の臭いはするだろうな」
何しろこんな山奥だ。
私は虫のことを気にしていたが、そんな虫を食べる動物とかも普通にこの山の中にはいるだろう。
愛原「! まさか、熊がこの近くにいるとか……?」
リサ「うん。こっちだよ!」
鬼のリサは、熊など全く恐れていない様子。
まあ、この辺にいるのはツキノワグマだろう。
北海道のヒグマほど凶暴ではないとはいえ、冬眠前のクマに近づくのは危険なのではと思う。
愛原「お、おいおい!危ないだろ!」
しかし、リサは更に奥の獣道に向かう。
そこにいたのは……。
ツキノワグマ「アウ?」
愛原「ツキノワグマだ!」
本当に熊がいた!
何やら、穴を掘っていた様子。
食べ物を探していたのだろうか?
リサ「熊の肉、美味しそう!」
リサ、右手からバチバチと火花を散らした。
愛原「熊を食べちゃいけませーん!」
バリバリバリバリバリバリバリ!
ツキノワグマ「ピィーッ!」
哀れツキノワグマ、リサの電撃を受け、仰向けに倒れてしまった。
リサ「先生!今日の夕食!」
愛原「食えるか、アホ!」
リサの血鬼術……もとい、攻撃方法に爪と噛み付き以外に、遠方からの攻撃として電撃も加わったのは強いのだが……。
愛原「ってか、これ……!」
ツキノワグマが掘っていた穴を私は見た。
そこにあったのは、何と骨だった!
最初は動物の骨だと思った。
この熊に食われた鹿とかかなと思ったのだが、どうも白骨化してから相当な時間が経っているように見える。
私は荷物の中から、折り畳み式のスコップを取り出して、もう少し穴を掘ってみることにした。
愛原「人間だ……!人間の骨だ……!」
出てきた頭蓋骨の形と、一対の肋骨の形からして、私はこの白骨死体が人間のものだと思った。
愛原「高橋、高橋、大変だ!」
私とリサは一旦、車に戻ることにした。
高橋は車の外に出て、タバコを吸っていた。
高橋「何スか?ゾンビでも出ましたか?」
愛原「出たのは熊だよ!」
高橋「マジっスか!?」
愛原「それはリサが電撃で倒してくれた」
リサ「むふー!」
愛原「そうじゃなくて、白骨死体が出てきたんだ!それも2つ!」
高橋「マジっスか!?」
私は試しに周りも掘ってみた。
すると、もう1つ頭蓋骨が出てきたことから、死体は2つ以上あるのだと分かった。
高橋「じゃあ、すぐにサツに……」
愛原「いや、その前に善場主任に連絡して指示を仰ごう」
昔のガラケーなら圏外になっていそうな場所だが、さすがに令和の今はスマホで通話ができる。
愛原「……というわけです。どうしますか?普通に警察に電話していいですか?」
善場「いえ、それには及びません。むしろ、BSAAの調査部隊に調査してもらいます。ありがとうございました。取りあえず、愛原所長方の業務としては、そこまでで結構です。BSAAと合流次第、宿舎に向かってください」
愛原「分かりました」
業務委託の民間探偵業者としては、ここまでが仕事である。
死体の調査については、公務員さん達の仕事になる。
愛原「BSAAが来るまで、ここで待機だそうだ」
高橋「うわ、絶対時間掛かるじゃないスか」
愛原「しょうがないだろ」
その通り、BSAAはヘリで来たのだが、1時間掛かった。
ただ、私からすれば、1時間でも早い方だと思う。
愛原「ここだ!ここだ!」
私は荷物の中から発煙筒を出すと、それを点けてヘリコプターに合図した。
ヘリコプターは着陸することなく、私達の上空にて旋回し、そこからロープが下ろされ、BSAAの隊員達が降下してくる。
BSAA隊員「BSAA極東支部日本地区本部隊です!」
愛原「お疲れ様です!場所を案内します!」
高橋とリサには車で待っててもらい、私がBSAA隊員達を案内する。
また熊がいたらどうしようかと思ったが、彼らの装備する銃火器を見て、その心配は無いと分かった。
そして現場に着くと、もう熊はいなかった。
愛原「これです!この骨です!」
私が指さすと、すぐにBSAAの隊員達は調査を開始した。
そして、隊長から発見した時の状況を聞かれたので、しっかり回答した。
その後はBSAAが引き継ぐと言われ、私達は御役御免となったのである。
愛原「お待たせ。それじゃ、俺達は離脱しよう」
私達は車に乗り込むと、来た道を引き返し、国道の方へと向かった。