[10月30日11時25分 天候:曇 福島県南会津郡南会津町 道の駅きらら289]
桧枝岐の道の駅を出た私達は再び、国道352号線を北上した。
その途中に林道へ入る交差点があるのだが、入口は警察官によって塞がれていた。
『緊急につき、全面通行止め』という看板も立っていた。
どうやら、未だにBSAAが捜査を続けているらしい。
地元警察との合同だろうか?
しかし、民間委託の私達の仕事はもう終わりだ。
その交差点を通り過ぎる。
途中で今度は国道の番号が401に変わり、それを少し進んで国道289号線との交差点を右に曲がる。
曲がるとすぐにトンネルがあるのは、こちらはバイパスだからだ。
旧道はもう少し先にあって、そちらはそちらで地元住民の生活道路として残されているが、廃業したガソリンスタンドがあったりと、旧道化の影響が出ているという。
そのバイパスと旧道が合流する辺りに、次の道の駅はある。
高橋「着きました」
愛原「はい、ありがとう」
高橋は駐車場に車を止めた。
トンネルを抜けた所にあるくらいだから、この道の駅も山に囲まれている。
愛原「早速、温泉に入ろう」
高橋「またお背中、お流し致します!」
愛原「ありがとう」
私達は車を降りた。
そして、建物の中へと入る。
リサ「先生。温泉入った後は、お昼だよね?」
愛原「まあ、そのくらいの時間にはなるな」
リサ「それなら、ここで食べる?」
愛原「ここで食べるのが無難だろうな」
リサ「やった!」
リサは何かお目当ての物でも見つけたのだろうか?
愛原「それじゃ、風呂から出たら、またここでな」
リサ「分かった」
愛原「ここも露天風呂があるようだが、女湯から大声で声を掛けないように」
リサ「う、うん。分かった……」
私と高橋は男湯に、リサは女湯に移動した。
高橋「はっ!この不肖の弟子!高橋正義が!愛原学大先生の御背中を!恐れ多くも、流させて頂きたく存じます!イヨーッ!」
ポン!(洗面器の底を叩く音)
愛原「恥ずかしいから、そういうのも禁止!」
高橋「えーっ!」
愛原「『えーっ』じゃねぇ!」
それでも私は、一応高橋に背中を流してもらうことにした。
そんな茶番という名の通過儀礼が終わって、ようやく温泉に入れた。
愛原「ふーっ!」
高橋「結構、いい旅っスね」
愛原「そうだな」
露天風呂にも移動する。
幸いもう雨は止んでいるので、雨に当たることはなかった。
愛原「しかし、さっきの隊長の話、まだ分からないところがあるな」
高橋「何スか?」
愛原「上野って医者が医療ミス起こして、東京から桧枝岐まで逃げてきたというのは、まあまだ分かる」
高橋「はい」
愛原「リサは、その上野って医者の娘ってことになるのかな」
高橋「そうかもしれませんね」
リサがもしも人間のままであるのなら、50歳くらいである。
上野という医者が桧枝岐村に流れ着いたのが50年前で、そこの未亡人と再婚したのなら、確かに年齢の辻褄は合う。
私の夢では他にも娘達が何人かいて、全員が白井に捕まったのだろう。
白骨死体は上野医師や、その妻と見て間違いない。
どうして、白井が上野達を襲ったのかということと……。
愛原「栃木の上野利恵達との関係だな」
上野医師の娘達の中に、利恵はいなかっただろう。
そうなると、別の兄弟のコか。
上野医師に兄弟がいたとして、そこから生まれた娘なのだとすれば、確かにリサとは従姉妹同士ということになる。
愛原「段々分かってきたな。あとは、白井がどうして上野医師を襲ったのかだ」
こればっかりは、本人を捕まえないと分からないか?
その白井が今、どこにいるのかが不明だからな……。
[同日12時30分 天候:曇 同道の駅]
風呂から出た後は、休憩コーナーで少し休む。
マッサージチェアがあったので、これを利用してみる。
リサ「うぅ……!触手の出入口がグリグリ……」
愛原「おい、触手なんてまだ出せるのか?」
リサ「出してみる?」
愛原「いや、ここでは出すな!」
マッサージチェアで体をほぐした後は、食事処へ。
食券方式であった。
だいたいの道の駅の食事処は、食券制度であることが多いか。
愛原「何がいい?」
リサ「わらじソースカツ丼」
愛原「了解。高橋は?」
高橋「じゃあ、俺もそれを」
愛原「分かった。俺は天ざるそばにしよう」
私は食券を買うと、カウンターに出した。
あとは、空いているテーブル席に座る。
愛原「リサ、フード被ってるけど、角が隠せないのか?」
リサ「ああ、大丈夫。癖で被ってるね」
リサがパーカーのフードを取ると、確かに2本に増えた角が隠れていた。
但し、牙は隠せないようだが、このくらいなら、まだ誤魔化しが効くだろう。
しばらくして、注文した物が運ばれてきた。
リサ「『今日のお兄ちゃんの昼食はカツ丼。刑事ドラマ風に演出してあげた』」
リサはミニチュアサイズの電気スタンドを取り出すと、それを高橋の前に置いた。
リサ「美味いか?」
高橋「何なんだよ?」
愛原「高橋、警察の取り調べ中にカツ丼食べたことは?」
高橋「いや、無いっスよ」
これが現状。
愛原「カツ丼といえば、卵とじというイメージがあるが、ソースカツも悪くなさそうだな?」
高橋「ええ、そうっスね」
尚、リサはソースカツ丼にも七味唐辛子を掛けて食べていた。
鬼は辛党だというが、どうやら本当のようである。
それでも、デザートにソフトクリームを食べたがる辺りは、完全に鬼ではないとも言えるし……。
まあ、綱渡り状態ではあることに間違いないようだ。
高橋「先生、この後は?」
愛原「会津田島に向かうぞ。車返さないといけないしな」
高橋「確かにそうですね」
当然ながら、返却の前にガソリンを満タンにしなくてはならない。
幸い街中ということもあり、そこにガソリンスタンドは何軒かあるようだ。
桧枝岐の道の駅を出た私達は再び、国道352号線を北上した。
その途中に林道へ入る交差点があるのだが、入口は警察官によって塞がれていた。
『緊急につき、全面通行止め』という看板も立っていた。
どうやら、未だにBSAAが捜査を続けているらしい。
地元警察との合同だろうか?
しかし、民間委託の私達の仕事はもう終わりだ。
その交差点を通り過ぎる。
途中で今度は国道の番号が401に変わり、それを少し進んで国道289号線との交差点を右に曲がる。
曲がるとすぐにトンネルがあるのは、こちらはバイパスだからだ。
旧道はもう少し先にあって、そちらはそちらで地元住民の生活道路として残されているが、廃業したガソリンスタンドがあったりと、旧道化の影響が出ているという。
そのバイパスと旧道が合流する辺りに、次の道の駅はある。
高橋「着きました」
愛原「はい、ありがとう」
高橋は駐車場に車を止めた。
トンネルを抜けた所にあるくらいだから、この道の駅も山に囲まれている。
愛原「早速、温泉に入ろう」
高橋「またお背中、お流し致します!」
愛原「ありがとう」
私達は車を降りた。
そして、建物の中へと入る。
リサ「先生。温泉入った後は、お昼だよね?」
愛原「まあ、そのくらいの時間にはなるな」
リサ「それなら、ここで食べる?」
愛原「ここで食べるのが無難だろうな」
リサ「やった!」
リサは何かお目当ての物でも見つけたのだろうか?
愛原「それじゃ、風呂から出たら、またここでな」
リサ「分かった」
愛原「ここも露天風呂があるようだが、女湯から大声で声を掛けないように」
リサ「う、うん。分かった……」
私と高橋は男湯に、リサは女湯に移動した。
高橋「はっ!この不肖の弟子!高橋正義が!愛原学大先生の御背中を!恐れ多くも、流させて頂きたく存じます!イヨーッ!」
ポン!(洗面器の底を叩く音)
愛原「恥ずかしいから、そういうのも禁止!」
高橋「えーっ!」
愛原「『えーっ』じゃねぇ!」
それでも私は、一応高橋に背中を流してもらうことにした。
そんな茶番という名の通過儀礼が終わって、ようやく温泉に入れた。
愛原「ふーっ!」
高橋「結構、いい旅っスね」
愛原「そうだな」
露天風呂にも移動する。
幸いもう雨は止んでいるので、雨に当たることはなかった。
愛原「しかし、さっきの隊長の話、まだ分からないところがあるな」
高橋「何スか?」
愛原「上野って医者が医療ミス起こして、東京から桧枝岐まで逃げてきたというのは、まあまだ分かる」
高橋「はい」
愛原「リサは、その上野って医者の娘ってことになるのかな」
高橋「そうかもしれませんね」
リサがもしも人間のままであるのなら、50歳くらいである。
上野という医者が桧枝岐村に流れ着いたのが50年前で、そこの未亡人と再婚したのなら、確かに年齢の辻褄は合う。
私の夢では他にも娘達が何人かいて、全員が白井に捕まったのだろう。
白骨死体は上野医師や、その妻と見て間違いない。
どうして、白井が上野達を襲ったのかということと……。
愛原「栃木の上野利恵達との関係だな」
上野医師の娘達の中に、利恵はいなかっただろう。
そうなると、別の兄弟のコか。
上野医師に兄弟がいたとして、そこから生まれた娘なのだとすれば、確かにリサとは従姉妹同士ということになる。
愛原「段々分かってきたな。あとは、白井がどうして上野医師を襲ったのかだ」
こればっかりは、本人を捕まえないと分からないか?
その白井が今、どこにいるのかが不明だからな……。
[同日12時30分 天候:曇 同道の駅]
風呂から出た後は、休憩コーナーで少し休む。
マッサージチェアがあったので、これを利用してみる。
リサ「うぅ……!触手の出入口がグリグリ……」
愛原「おい、触手なんてまだ出せるのか?」
リサ「出してみる?」
愛原「いや、ここでは出すな!」
マッサージチェアで体をほぐした後は、食事処へ。
食券方式であった。
だいたいの道の駅の食事処は、食券制度であることが多いか。
愛原「何がいい?」
リサ「わらじソースカツ丼」
愛原「了解。高橋は?」
高橋「じゃあ、俺もそれを」
愛原「分かった。俺は天ざるそばにしよう」
私は食券を買うと、カウンターに出した。
あとは、空いているテーブル席に座る。
愛原「リサ、フード被ってるけど、角が隠せないのか?」
リサ「ああ、大丈夫。癖で被ってるね」
リサがパーカーのフードを取ると、確かに2本に増えた角が隠れていた。
但し、牙は隠せないようだが、このくらいなら、まだ誤魔化しが効くだろう。
しばらくして、注文した物が運ばれてきた。
リサ「『今日のお兄ちゃんの昼食はカツ丼。刑事ドラマ風に演出してあげた』」
リサはミニチュアサイズの電気スタンドを取り出すと、それを高橋の前に置いた。
リサ「美味いか?」
高橋「何なんだよ?」
愛原「高橋、警察の取り調べ中にカツ丼食べたことは?」
高橋「いや、無いっスよ」
これが現状。
愛原「カツ丼といえば、卵とじというイメージがあるが、ソースカツも悪くなさそうだな?」
高橋「ええ、そうっスね」
尚、リサはソースカツ丼にも七味唐辛子を掛けて食べていた。
鬼は辛党だというが、どうやら本当のようである。
それでも、デザートにソフトクリームを食べたがる辺りは、完全に鬼ではないとも言えるし……。
まあ、綱渡り状態ではあることに間違いないようだ。
高橋「先生、この後は?」
愛原「会津田島に向かうぞ。車返さないといけないしな」
高橋「確かにそうですね」
当然ながら、返却の前にガソリンを満タンにしなくてはならない。
幸い街中ということもあり、そこにガソリンスタンドは何軒かあるようだ。