[10月23日07時00分 天候:晴 東京都中央区日本橋浜町 ホテル東横イン日本橋浜町明治座前・客室]
枕的に置いたスマホがアラームを鳴らす。
私は手を伸ばして、それを止めた。
愛原「ううーん……」
今回は変な夢を見ることはなかった。
枕が変わったからだろうか。
ホテルはツインルームに泊まっており、隣のベッドには高橋が寝ている。
愛原「おい、高橋、起きろ。朝だぞ」
高橋「うーん……」
私はベッドから起き上がると、高橋を起こし、バスルームへ向かった。
高橋のことだ。
家事が無ければ、ゆっくり寝てるタイプなので、私が朝の支度をしている間、2度寝するだろう。
もう分かっている。
私は顔を洗ったり、髭を剃ったり、歯を磨いたりした。
愛原「おい、バスルーム空けたぞ。お前も着替えろ」
高橋「うーっス……」
ようやく高橋は起き出した。
高橋「おはざーっス……」
愛原「おはよう。早く準備しろ。朝飯食いに行くぞ」
高橋「うっス」
高橋もまたバスルームへと入っていった。
[同日08時00分 天候:晴 同ホテル1階ロビー]
東横インはロビーが朝食会場となる。
このホテルでは、通常通り、バイキング形式となっていた。
愛原「こうしてみると、リサのバイキング山盛りが懐かしいな」
高橋「あいつ、今頃ショボい病院食ですぜ?」
愛原「なー。早いとこ退院してもらって、焼肉でも食いに連れて行ってやるか」
高橋「おっ、いいっスねぇ!」
愛原「宴会プランじゃなくて、食べ放題プランの方がいいだろう」
高橋「それなら牛角とか、安楽亭辺りっスね」
愛原「そういうことになるな」
高橋「それで、この後はどうするんスか?」
愛原「善場主任の指示通り、桧枝岐村までの足を確保するしかないだろう。東武浅草駅のトップツアーズに行くぞ」
高橋「了解っス」
[同日09時52分 天候:晴 東京都中央区東日本橋 都営地下鉄東日本橋駅→都営浅草線883H電車最後尾車内]
ホテルをチェックアウトした私達は、東日本橋駅に向かった。
ちょうどホテルは浜町駅と東日本橋駅の間にあり、ホテルからでも徒歩アクセスが可能だった(ホテルの公式サイトにも、その旨記載されている)。
〔まもなく2番線に、京成押上線直通、各駅停車、青砥行きが到着します。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕
トンネルから風を轟音と強風を伴って、8両編成の電車が入線してくる。
都営浅草線も、様々な鉄道会社からの乗り入れ車両があり、やってきたのは京急電車だった。
〔2番線の電車は、京成押上線直通、各駅停車、青砥行きです。ひがしにほんばし~、東日本橋~。都営新宿線、JR総武快速線はお乗り換えです〕
私達は最後尾に乗った。
日曜日でもそこそこ乗客が乗っているのは、観光地たる浅草や、スカイツリー(押上)に行く電車だからだろうか。
実際、観光客らしき外国人達の姿が目立つ。
〔2番線、ドアが閉まります〕
電車のドアが閉まる。
都営新宿線と違い、ホームドアはまだ無いので、電車のドアが閉まり切ると、車掌が発車オーライのブザーを鳴らす。
それで、やっと電車が走り出すのである。
都営三田線や大江戸線はワンマン運転だが、新宿線や浅草線はツーマンである。
車掌はすぐには乗務員室の扉を閉めず、ホーム中ほどくらいまで来て、ようやく乗務員室のドアを閉める。
このやり方は、ワンマン化される前の札幌市地下鉄でも見受けられた。
〔「この電車は、各駅停車の青砥行きです。次は浅草橋、浅草橋です。JR総武線各駅停車は、お乗り換えです」〕
京急電車だからか、それともその車両では古いタイプで自動放送装置が無いからなのか、車掌が肉声放送を行っている。
愛原「リサが寂しがってる」
私はスマホを見て言った。
高橋「既読スルーっスか?」
愛原「それで暴走したら、俺の責任になるからダメだ」
善場主任が説明してくれたと思うのだが、それでも納得できなかったか。
愛原「出張の準備が終わったら、そっちに行くよ」
という返信を、まずはしておいた。
今日、必ず行くということをハッキリ伝えることが、まず肝心である。
だが、なかなかリサから返信が無かった。
[同日09時56分 天候:晴 東京都台東区駒形 都営地下鉄浅草駅]
〔「まもなく浅草、浅草です。お出口は、左側です。東京メトロ銀座線、東武鉄道線はお乗り換えです」〕
愛原「おかしいな。リサからの返信がない」
高橋「既読は付いてます?」
愛原「うん、付いてる」
高橋「あいつが先生のLINEを既読スルーとは、いい度胸っスね」
愛原「検査か何か入ったのかもしれない。さすがに検査中は、スマホできないだろうから」
高橋「そうっスかね」
〔……電車は、京成押上線直通、各駅停車、青砥行きです。あさくさ~、浅草~。銀座線、東武鉄道線はお乗り換えです〕
私達は電車を降りた。
同じ浅草駅でも、都営の方は東武浅草駅からやや離れている。
それでも、つくばエクスプレスの浅草駅に比べれば全然近いが。
リサの返信が無いまま、私達は東武浅草駅に移動した。
[同日10時30分 天候:曇 東京都台東区花川戸 東武浅草駅]
旅行会社での予約が終わった。
愛原「鉄道が東武鉄道のキップだけで良かったよ」
実質的には野岩鉄道とか会津鉄道も絡むのだが、土休日は東武鉄道とJR券以外のキップは発券できないとのこと。
東武鉄道と無関係の鉄道線のキップが、という意味だ。
愛原「あとは向こうでのレンタカーと、あとは宿か……」
高橋「この費用、全部ねーちゃん達が持ってくれるんスよね?」
愛原「そりゃそうだろ。領収証は、ちゃんと取っておかないと……」
高橋「俺の免停、本当に何とかしてくれるんでしょうか?」
愛原「するだろうな。善場主任も、有言実行派だから」
そして、不言実行派でもある。
と、そこへ私のスマホにメールの着信があった。
その場合は、善場主任だ。
愛原「……マジか」
どうやらリサに異変が発生したらしい。
LINEができなかったのは、そのせいのようだ。
急いで戻るようにとのことだったので、帰りは地下鉄ではなく、東武浅草駅前のタクシー乗り場からタクシーに飛び乗ったのだった。
枕的に置いたスマホがアラームを鳴らす。
私は手を伸ばして、それを止めた。
愛原「ううーん……」
今回は変な夢を見ることはなかった。
枕が変わったからだろうか。
ホテルはツインルームに泊まっており、隣のベッドには高橋が寝ている。
愛原「おい、高橋、起きろ。朝だぞ」
高橋「うーん……」
私はベッドから起き上がると、高橋を起こし、バスルームへ向かった。
高橋のことだ。
家事が無ければ、ゆっくり寝てるタイプなので、私が朝の支度をしている間、2度寝するだろう。
もう分かっている。
私は顔を洗ったり、髭を剃ったり、歯を磨いたりした。
愛原「おい、バスルーム空けたぞ。お前も着替えろ」
高橋「うーっス……」
ようやく高橋は起き出した。
高橋「おはざーっス……」
愛原「おはよう。早く準備しろ。朝飯食いに行くぞ」
高橋「うっス」
高橋もまたバスルームへと入っていった。
[同日08時00分 天候:晴 同ホテル1階ロビー]
東横インはロビーが朝食会場となる。
このホテルでは、通常通り、バイキング形式となっていた。
愛原「こうしてみると、リサのバイキング山盛りが懐かしいな」
高橋「あいつ、今頃ショボい病院食ですぜ?」
愛原「なー。早いとこ退院してもらって、焼肉でも食いに連れて行ってやるか」
高橋「おっ、いいっスねぇ!」
愛原「宴会プランじゃなくて、食べ放題プランの方がいいだろう」
高橋「それなら牛角とか、安楽亭辺りっスね」
愛原「そういうことになるな」
高橋「それで、この後はどうするんスか?」
愛原「善場主任の指示通り、桧枝岐村までの足を確保するしかないだろう。東武浅草駅のトップツアーズに行くぞ」
高橋「了解っス」
[同日09時52分 天候:晴 東京都中央区東日本橋 都営地下鉄東日本橋駅→都営浅草線883H電車最後尾車内]
ホテルをチェックアウトした私達は、東日本橋駅に向かった。
ちょうどホテルは浜町駅と東日本橋駅の間にあり、ホテルからでも徒歩アクセスが可能だった(ホテルの公式サイトにも、その旨記載されている)。
〔まもなく2番線に、京成押上線直通、各駅停車、青砥行きが到着します。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕
トンネルから風を轟音と強風を伴って、8両編成の電車が入線してくる。
都営浅草線も、様々な鉄道会社からの乗り入れ車両があり、やってきたのは京急電車だった。
〔2番線の電車は、京成押上線直通、各駅停車、青砥行きです。ひがしにほんばし~、東日本橋~。都営新宿線、JR総武快速線はお乗り換えです〕
私達は最後尾に乗った。
日曜日でもそこそこ乗客が乗っているのは、観光地たる浅草や、スカイツリー(押上)に行く電車だからだろうか。
実際、観光客らしき外国人達の姿が目立つ。
〔2番線、ドアが閉まります〕
電車のドアが閉まる。
都営新宿線と違い、ホームドアはまだ無いので、電車のドアが閉まり切ると、車掌が発車オーライのブザーを鳴らす。
それで、やっと電車が走り出すのである。
都営三田線や大江戸線はワンマン運転だが、新宿線や浅草線はツーマンである。
車掌はすぐには乗務員室の扉を閉めず、ホーム中ほどくらいまで来て、ようやく乗務員室のドアを閉める。
このやり方は、ワンマン化される前の札幌市地下鉄でも見受けられた。
〔「この電車は、各駅停車の青砥行きです。次は浅草橋、浅草橋です。JR総武線各駅停車は、お乗り換えです」〕
京急電車だからか、それともその車両では古いタイプで自動放送装置が無いからなのか、車掌が肉声放送を行っている。
愛原「リサが寂しがってる」
私はスマホを見て言った。
高橋「既読スルーっスか?」
愛原「それで暴走したら、俺の責任になるからダメだ」
善場主任が説明してくれたと思うのだが、それでも納得できなかったか。
愛原「出張の準備が終わったら、そっちに行くよ」
という返信を、まずはしておいた。
今日、必ず行くということをハッキリ伝えることが、まず肝心である。
だが、なかなかリサから返信が無かった。
[同日09時56分 天候:晴 東京都台東区駒形 都営地下鉄浅草駅]
〔「まもなく浅草、浅草です。お出口は、左側です。東京メトロ銀座線、東武鉄道線はお乗り換えです」〕
愛原「おかしいな。リサからの返信がない」
高橋「既読は付いてます?」
愛原「うん、付いてる」
高橋「あいつが先生のLINEを既読スルーとは、いい度胸っスね」
愛原「検査か何か入ったのかもしれない。さすがに検査中は、スマホできないだろうから」
高橋「そうっスかね」
〔……電車は、京成押上線直通、各駅停車、青砥行きです。あさくさ~、浅草~。銀座線、東武鉄道線はお乗り換えです〕
私達は電車を降りた。
同じ浅草駅でも、都営の方は東武浅草駅からやや離れている。
それでも、つくばエクスプレスの浅草駅に比べれば全然近いが。
リサの返信が無いまま、私達は東武浅草駅に移動した。
[同日10時30分 天候:曇 東京都台東区花川戸 東武浅草駅]
旅行会社での予約が終わった。
愛原「鉄道が東武鉄道のキップだけで良かったよ」
実質的には野岩鉄道とか会津鉄道も絡むのだが、土休日は東武鉄道とJR券以外のキップは発券できないとのこと。
東武鉄道と無関係の鉄道線のキップが、という意味だ。
愛原「あとは向こうでのレンタカーと、あとは宿か……」
高橋「この費用、全部ねーちゃん達が持ってくれるんスよね?」
愛原「そりゃそうだろ。領収証は、ちゃんと取っておかないと……」
高橋「俺の免停、本当に何とかしてくれるんでしょうか?」
愛原「するだろうな。善場主任も、有言実行派だから」
そして、不言実行派でもある。
と、そこへ私のスマホにメールの着信があった。
その場合は、善場主任だ。
愛原「……マジか」
どうやらリサに異変が発生したらしい。
LINEができなかったのは、そのせいのようだ。
急いで戻るようにとのことだったので、帰りは地下鉄ではなく、東武浅草駅前のタクシー乗り場からタクシーに飛び乗ったのだった。