晩秋の北鎌倉を歩く③最終回
11月の3連休に武士の古都・鎌倉の古刹を訪ねた。
建長寺の鎮守・半増坊まで行って、
総門前に戻ってきたのは2時過ぎの時刻になっていた。
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これまで口にしたのはミカン二つ。さすがに空腹を覚える。
建長寺までの道筋の食事処は、どこも行列だったことは前回に記した。
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門の脇には、かの有名な「鉢の木」の本店があった。
ここは空いているようだ。しかし気楽に入れる雰囲気ではない。
メニューも会席料理で昼食代としては値が張りすぎる。
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携えた本「鎌倉百人一首を歩く」の冒頭、筆者の尾崎左永子氏は、
次のように書いている。
<「鎌倉時間」といのがある。東京などの高速度の時間とも違い、田園や山国の、少しのんびりした時間とも異なった、ゆったりとした「時の流れ」を、ここに住む人はいつか身につけてします。急がない、あわてない。しかし間の抜けるほど遅くはない。程よい速度の「息づかい」がこの街の人々には共通している。
町全体を「時」がゆったり流れている。それは、鎌倉の歴史の流れを踏まえているせいもあるだろうし、四季それぞれに「花の季(とき)」を持つ温暖な気候と、相模灘という明るい海を南に控えている地の利もあるのであろう。>
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たにしの爺、円覚寺を出てここまで、幾つかの寺社を回ってきたが、道沿い、ちょっとした横道の脇には、喫茶処とかコーヒーの看板の出ている店を、幾つも目にしてきた。どれもおしゃれで、店の周囲を香気に似た空気がただよっている。
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「鉢の木」はスルーして鎌倉方面への道をあるく。
やはりこの時間になっても、手ごろな店の前には人が並んでいる。
円応寺を過ぎて、巨福呂坂の切通しを右にカーブする手前あたりで、
左の小路の奥に「**」と記された店が見えた。
「ビーフカレーとコーヒーで1000円」の案内があった。
小路の垣根には、晩秋の午後の弱い日差しが当たっている。
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洋館風の引き戸を開けると、先客が二組いるだけだった。
カウンターには中年の女性がひとり。
西陽が差し込む窓ぎわの席に着く。
少し濃い味のビーフカレーを食べ終わるころ、
コーヒーが運ばれてきた。一日中、甘味を口にしなかったせいか、
カレー味の口になんとも言えない甘さが広がった。
客は私一人だけになっていた。コーヒーをゆっくり飲む。
ここまで女性がなのも言わないのが気になった。
注文したときも顔で頷いただけだった。
「紅葉は、少し早いようですね」と言うと、
「今年は、例年より遅いようです」と言う。
「鎌倉のいい季節で、空いているのは何時ころですか」と言うと、
「いいときは、いつでも混んでいます。夏は空いている」と言う。
こういうのを「鎌倉時間」というのだろうか。
このあと、着飾った七五三詣での親子連れでにぎわう、鶴岡八幡宮に参詣。
大石階段下の舞殿では、白無垢姿のお嫁さん、お婿さんの神前結婚式。
巫女による神楽舞、雅楽演奏の笙や笛の音が境内に響き渡っている。
外国人観光客がカメラを向けている。
式を終えた白無垢の新婦さんと並んで、カメラに収まる外国人も居る。
タニシの爺、カメラはバッテリー切れで役に立たず。
若宮大路から、ごった返す小町通を抜けて鎌倉駅にたどりつく。
ああ、疲れた。
いつの日にか、人の居ない鎌倉に行ってみたい、と思いながら帰ってきました。
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今年の更新は、これにて最後になります。
ご来場いただいたブロガーのみなさん、
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