非情なキラー・マン(殺し屋)にも友情の絆があった。
マカオの高級住宅、料理を作る美しいフランス人の妻。
かわいい二人の娘が遊んでいる。中国人の夫が帰宅した。
一家の楽しい食卓風景になるはずだった。
突然ドアが爆破され、銃弾の雨に夫は蜂の巣に。
妻は子どもを庇いながら、銃撃の応酬戦になる。
3人組みの男が子どもに非情な銃弾を浴びせる。
血しぶきが飛び散る惨劇の跡。
高級ホテルの8階、3人組の男。
メイドから掠め取ったカードキーが差し込まれる。
室内では全裸の男女が行為の最中。激しい息遣い。
女の声が高潮に達っしたとき男の背中に銃弾数発。
部屋の前を通り過ぎる1人の男。
消音銃の音を微かに聞く。出てきた3人組と会う。
衿を立てた長身のヒゲ男、顔の傷もただ者でない。
4人は見つめあったまま。やがて何事もなく解散。
5月の封切りローショーで見る機会がなかった。
2009年香港・フランス合作映画
「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」を見てきた。
ジョニー・トー監督最新作――
世界が認めた”心で泣く映画”、孤高のハードボイルド・エンタテインメント――
予告編の惹き文句である。
フランスにレストランを持っている男・コステロ(ジョニー・アリディ)は、
最愛の娘・アイリーンと家族が何者かに惨殺されたことを知らされる。
3人の殺し屋たちと手を組み、娘の復讐を誓う。
彼もまた、凄腕の殺し屋だった過去を持つ身だ。
彼はかつて頭に銃弾を受けていた。
徐々に記憶を失い始めていた……。
映画は香港を舞台に、すさまじい銃器戦が展開される。
香港映画のカリスマ・ジョニー・トー監督が求めるのは、
銃器への賛美と銃撃戦のリアリティと様式美。
月夜のキャンプ場、雨中の非常階段、ゴミの集積場
銃弾の嵐、血煙、のけぞり跳ねる男たち。
マグナム弾の銃撃音が、館内を圧倒する。
同じボスの支配を受ける殺し屋対殺し屋。
死も辞さない殺し屋同士の固い絆。
非情な世界に生きる男たちの友情。
くわえタバコで銃弾に身をさらす。
殺し屋が、殺された身内の復讐に執念を燃やす。
復讐されるべきは、お前だと言いたいところ、だがしかし、
フランスから来て主演を張るジョニー・アリディ、
寡黙で、切なさが滲む、なんともいえない魅力だ。
たにしの爺に一言、言わしてもらえば……
これほどご都合主義に出来た映画はない。
細かいストーリーの整合性など何もない。
もう一言、
過去に傷を持ち、暗い影を落とし、孤独に耐え、
心根はナイーブ……そうです。
あの市川雷蔵、鶴田浩二、高倉健なのです。
日本の任侠映画路線を張ったあの男たち。
腹にさらしを巻いて、長ドスを差しこみ、
義理と仁義に生きる、白刃の殺陣の方が、。
銃撃戦より、スタイリッシュではなかろうか。
さらに一言
この映画、封切られたときは上映館がすくなく、
足を運べなく見損なっていたが先日、上京した際、
東銀座から歩いていたら、目の前に映画村というか、
面白い一帯があった。銀座シネパトス
ご覧のように、新旧の名画が並んでいるではないか。
まさに、シネマパラダイスですね。
映画館を出ると強烈な太陽にクラッツとなりました。
隣りにあった、
おかきの「播磨屋本店」のフリーカフェで涼をとって、
しばし心地よい時間を過ごしました。
4丁目交差点の「銀座三越は」改装閉店前で、
入る人も少なく、店内はガランとしていました。
掘り出し物があるか、覗いてみようと思いましたが、
時間がなく、メトロの階段を下りていきました。