たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

安西篤子著「不義にあらず」―武家の体面は死で償われた

2018-01-30 10:44:03 | 本・読書

大活字本で池波正太郎作品を読んでいる。
鬼平犯科帳を読み終えて今は、剣客商売を読んでいる。
以前にも何回か、書いていることですが、
高齢者には、大活字本はストレスなく読めていいです。
とくに時代小説は、大活字の雰囲気に合う気がします。



図書館に行ったついでに、1巻が3分冊になっている、
池波作品のほかに、2分冊の時代小説を借りてきます。
今回、アップする「不義にあらず」もその1冊です。



安西篤子著「不義にあらず」埼玉福祉会 (2002年10月刊)。
底本は講談社刊「不義にあらず」 1990年、のち文庫。
江戸時代の武家社会の不条理に命を絶つ妻女の悲劇を描く。
花と植物の名前が付く9篇の短編からなっています。


時代小説にもいろいろカテゴリーがあります。
武家、市井人、捕物、伝奇、剣豪、股旅など。
本書「不義にあらず」は最後は死につながる。
武家の家督相続、家柄、家格、体面、面目がからんで、
死をもって尊しとする武家の暮らしが、非情に描かれている。


黄水仙|
家禄200石、御納戸役を務める中野平右衛門。
家には父半兵衛が遺していった、若い継母の澄が居た。
長年一つ屋根の下で暮らす二人は、男女の間になっていた。
その平右衛門は、40歳を超してから娶った、
若くてかわいい妻の春を心から愛していた。

ある日、継母と納屋で睦合う平右衛門を春が見てしまう。
刀架の脇には黄水仙が生けてあった。
惨劇は起こるべきして起きた。
中野家にとって、黄水仙は忌花だった
後家となった義母が妾で、妻も同居する武家の奥向き、
それほど珍しいことではなかったようです。


山吹|
お豊は、庭の山吹のそばに佇みもの思いにふけっていた。
お豊は、婚家の今里家から突然、離別され生家に戻っていた。
今里作左衛門に嫁して8年経って、子どもには恵まれなかった。
その作左衛門から婚家に戻るよう手紙が来た。
戻った夜、呼び戻したわけを聞いた。
「お前の不始末が世間に知れたからだ」という。

豊には婚家で起きた、不可抗力ともいえる不始末があった。
主の留守に若党の佐太郎に襲われ、身体が応えてしまった。
成敗するために呼んだといって、庭先には佐太郎の惨死体がった。
豊の背後で夫が大刀を振り上げた。
左衛門は若党の佐太郎が乱心して妻を襲ったとして世間体を繕った。


夏茱萸|
家禄40石の仲田三十郎には3歳になる娘えんが居る。
三十郎は父と継母の看病で蓄財を使い果たしていた。
金策のため、妻のふみを実家に行かせたが、戻っていなかった。
門の脇の夏グミの実が真っ赤に色づいている。

妻に実家への金策を何度も命じたが、首尾は叶わなかった。
三十郎は「能無し女と妻をなじった」。その夜、悲劇が起きた。
血にまみれた妻を抱き起こしこしてみたが、
どうすることもできなかった。
物言わぬ娘の口にグミの実を押し込んで……


百日紅|
竹内平馬は城下がりの午後、組頭の村尾市右衛門に呼び止められた。
平馬は商家出の小間使いの、きぬに溺れていた。
武家は家格の違う家同士の縁組は許されない。
まして、農家や商家とは縁組は許されない。

その平馬に北上五郎兵衛の娘の縁談を持ち込まれた。
きぬに暇を出さざるを得ない仕儀になってくる。
きぬはいっそ、殺してくれと哀願するのだった。
平馬は庭の百日紅の小枝をきぬの髪に差して、
行方も知れず立ち去っていた。


曼珠沙華|
祈祷師の卦で、巳年の女がたたっていると言われ、
孫右衛門の妾でもあった、女中のきのは暇を出される。
謂れのないことだと、きのは訴えるが、
荒木家では老親、長男の嫁が相次いで亡くなった。

家督を巡って兄弟も果し合いの末、死んでしまう。
何年かの後、きのの生家を訪ねた孫右衛門は、
そこに家があったという空き地に、真っ赤な曼殊沙華が。、
数本風に揺れているのを見るのだった。


秋海棠|
八重が嫁いだ今西家と生家の野沢家は先々代から昵懇の間柄であった。
八重と平三郎は惹かれ合う仲だった。祝言を待ち望んでいたが、
平三郎の長兄儀太夫の妻が離縁になり、
その後釜に八重は嫁がされてしまった。

平三郎は義弟となた。二人は夫儀太夫の目を盗む仲になってしまった。
「不義の子を宿した」八重を残して、
秋海棠の花が紅色をにじみ始めた朝、
死ぬときは一緒に、の約束を反故にして、
平三郎は兄にわび状を残して蓄電してしまう。


紫苑|
お加代は、速水平右衛門に嫁いで3年。子が授からないでいた。
夫の平右衛門は加代が嫁ぐ前から、上女中を妾にしていた。
父松本善兵衛、母きんは、娘の加代に離縁を強く迫る。
上女中は二人目の子どもができた。

お加代には優しい平右衛門が好きで、
平右衛門もまたお加代を愛しているといいながら、
妾との同居を続けている。加代が実家から帰ると、
平右衛門と妾の上女中が心中していた。
風に揺らぐ紫苑の中に加代は立ち尽くすのだった。


いろは紅葉|
三百石大御番組頭の塩川市之丞の妹の仙。
千代田城大奥に奉公に上がった。
将軍の目にとまり、お手がついて御中臈になる。
懐妊したが流産してしまった。13年後に将軍が死去する。

比丘尼屋敷に幽閉同様の暮らしを強いられることになった仙に、
ある噂がたった。出入りの若い大工と密通したという。
18年ぶりの生家に帰宅した仙は非情な城中の暮らしを訴え、
若い大工との真実を兄に吐露するのだった。
「人をこれほど弄んでよいものか」。風もないのに、
紅葉が一葉、はらりと、仙の髪に簪のようにとまった。


山茶花|
夫婦仲は良くなかったが、船越小源太には妻の菊が居た。
流産をした菊が去ったあと、
妾の奉公人やすを妻にしようとする小源太と、
口やかましい隠居の伝右衛門が面目を立てに、対立していた。
ある日、口論の果て小源太は自害してしまう。
自分の女より面目を立てることは死に勝るものであった。


たにしの爺、武家に生まれなくてよかった。――
「家」の体面や家格が死よりも優先する不条理。
救いのない「血飛沫の時代小説」短編集でした。
この作品が数多ある安西篤子作品の中で、
どのように位置付けられるのかは、全く分かりません。


安西篤子(あんざい あつこ)1927年神戸市生まれ。
1964年『張少子の話』で第52回直木賞
1993年『黒鳥』で第32回女流文学賞。1994年「神奈川文化賞」


最後までお読みくださった皆さん、
お疲れ様でした。爺も疲れました。一ヵ月費やしました
添付の写真は題名の花とは合致していません。

首都圏大雪でワラワラー1月23日は「一無、二少、三多の日」

2018-01-23 19:09:59 | Journalism

昨22日から降り始めた首都圏の雪は、
帰宅の足、とくに公共交通のバス運行と、
物流貨物、自家用自動車移動に混乱をきたしたようです。
雪に弱いトウキョウを改めて露呈しました。



ところで、1月23日は「何の日」かご存知ですか。
ひふみん(将棋の加藤一二三さん)の日ではありません。
それはね。「健康寿命」を伸ばす術を始める日です、ニャー。



年の初めの1,2,3にちなんで、1月23日は、
「一無、二少、三多の日」になっています。。
「全国生活習慣病予防月間」の健康スローガンです。



生活習慣病予防啓発を行う(一社)日本生活習慣病予防協会は、
2016年から、1月23日を『一無、二少、三多の日』として、
日本記念日協会に登録、普及・推進を図っています。



★「一無・む」は【無煙・禁煙の勧め】
タバコに三悪あり、肺がんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の最大の原因、
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)や糖尿病も悪化させる。



★「二少・しょう」は【少食・少飲(酒)の勧め】
「腹八分目に医者いらず」と言われているように、
暴飲暴食を控え、偏食をせず、三食を規則正しく食べましょう。
少飲はもちろん少酒。お酒は楽しく、飲み過ぎには注意を。



★「三多・た」は【多動の勧め】【多休の勧め】【多接の勧め】
多動=「2本の足は2人の医者」という格言があります。
身体を活発に動かすことは、健康づくりに欠かせません。
まずはよく歩くことが大切です。



多休=「快眠で疲労回復、ストレス解消」休養をしっかりとる。
自分の活動量に応じた適正な睡眠時間をとるよう心がける。
心身ともにリフレッシュすることが大切です。



多接=「多くの人、事、物に接して創造的な生活をする」
多くの人と交流し、さまざまな物、事柄に興味をもち、
接することで創造的な生活を送りましょう。
「コミュニケーション」が大切だということです。



趣味豊かに創造的な生活を送ることが健康長寿に欠かせない条件です。
爺のモットーは「好奇高齢者」好奇心を心がけています。
「三館めぐり」図書館・映画館・美術館、博物館。
そして道野辺の徘徊です。



掲載の写真は、雪解け道を転倒しないで徘徊・1万歩超。
自然公園を巡って、撮ってきた1月23日の雪の記憶です。

2等1枚、3等2枚、頂きました

2018-01-22 16:56:17 | Journalism

2018年、平成30年、戌年の年賀はがき、
ワンコがお年玉を運んできてくれました。

例年、差し出すのも、頂くのも120枚くらいです。
お年玉切手シート が1、2枚は当たっていましたが、
2等の当たりは記憶にありません。
1万本に1本の当たり比率だという。



早速、近くの郵便局に行き、手続きしてきました。
ふるさと小包など39点の中から1点選びました。
何を選んだかは内緒です。老舗の味を楽しめるものです。



ちなみに1等、現金10万円または セレクトギフト(12万円相当)は、
100万本に1本の当たり比率だそうです。



たにしの爺、生来の悪筆、乱筆で、
ワープロ、パソコン、プリンターが出るまで、
年賀状は大の苦手で、いろいろ工夫して苦労しました。
パソコンでデザインできるようになって、
年賀状が楽しくなりました。



gooブログ編集部のお題に参加して、
ネタ切れのこの時期、更新できました。
ラッキーなお題にサンキュー。
今年のwebの年賀状

馥郁と、今年初めてのロウバイ

2018-01-14 08:52:03 | 散策の詩

列島、日本海側には記録的な大雪になっています。
この大雪の中、統一テストが行われました。





毎年思うのですが、
なぜこの時期に行わなければならないのか。
試験環境に格差があり過ぎはしないか。



太平洋側の関東・東海地方は晴天になっています。
いつもの徘徊の道を行くと、
馥郁とロウバイの香りが漂っています。

鎌スタの新春が眩い。注目選手がグラウンドに共存

2018-01-11 10:11:47 | 鎌スタ

プロ野球・北海道日本ハムファイターズのファーム2軍施設、
鎌スタにメディアの注目が集まっています。



アメリカ・大リーグ行きを前に、
リハビリを兼ねたトレーニングを続ける大谷翔平選手(エンゼルス)と、
日ハムのドラ1・清宮幸太郎内野手がグラウンド入りして、
メディアのカメラと800人を超すファンの視線を集めています。



清宮選手はおばさんたちに愛されそうな、愛嬌のある笑顔がいいです。
早速、寮の入り口でサイン会をやるなど、プロ根性を見せていました。



一方、大谷選手はメジャーの風格を感じさせるような、
厳しい表情でグラウンド入りでした。



それでも、ランニングを始めると、
トレーナーと談笑しながら、ひたすら走っていました。



アメリカの大リーグで二刀流を完成させるという志には、
応援していますが、心配な面も多々あります。



過密な試合日程や移動距離、環境変化など、
厳しい試練になるでしょう。



故障リストの常連にならないことを祈るばかりです。

蒼天なれど寒風、botanical gardensは花園

2018-01-10 20:34:43 | Journalism


気象庁発表によると今週の天気概況は、
冬型の気圧配置が続き、
この冬で一番の強い寒気が流れ込むでしょう。



北海道と東北の日本海側、
北陸から九州北部は雪が降り、
大雪となる恐れがあります。



北海道と東北の太平洋側も所々で雪が降るでしょう。
関東と東海は大体晴れそうです。



近畿から九州南部も所々に雪雲が流れ込み、
平地でも雪の積もる所があるでしょう。
全国的に真冬の厳しい寒さとなりそうです。



徘徊の途中に植物園に寄りました。
花のディスプレイはお正月の雰囲気でした。
外は冬景色ですが、室内は花園でした。



今日の午前、鎌スタに行きました。
アメリカ行きを前に、
トレーニングに励む大谷選手。



合同自主トレで柔軟体操をする清宮選手。
グラウンド内で共存していました。



しばらく、大谷選手・清宮選手がグラウンドで見られます。
鎌スタグラウンドは花形選手揃い踏みです。

成田山新勝寺参りに行ってきました

2018-01-08 17:46:37 | 社会見学

例年恒例になっている交通安全のお守りを受けに、
成田山新勝寺に詣でてきました。



いつも7日に行くのですが、
今年は3連休の中日になって混雑すると思い、
5日に行きました。少し寒い日でした。
信じられないほど順調に駐車場に入れました。



境内も人出は例年になく静かでしたが、
運動部系の高校生や実業団らしき団体が、
大勢参詣に見えていました。



成田山開基1080年祭
行ってみて、今年は成田山が開かれてから、
1080年目だという事を知りました。





成田山は天慶3年、寛朝大僧正によって開かれました。
東国の乱の平定を祈願するため、ご本尊不動明王を棒持して、
京の都から関東の地へ来られました。





成田の地において御護摩の祈祷をすると、たちまち乱は鎮まった。
以来1080年、成田不動尊は全国から多くの信仰を集めています。





今年は、10年に一度開かれる成田山のお開帳の年で、
大塔婆お手綱拝掌など記念行事が執り行われます。
4月28日から5月28日まで開かれます。



この期間には、足を運んでみようと思っています。
たにしの爺、成田山徘徊の巻きですね。
参道には「たにしの剥き身」が売られていました。
哀れな姿に爺は身震いしました。



ところで成田市のゆるキャラ「うなりくん」
ゆるキャラグランプリ2017 ランキングで、
トップ得票に輝き、グランプリを獲得しています。



当市の「かまたん」は305位でしたが、
今回はランクを上げたのかな、下げたのかな。

こいつは春から、ランキング4位を記録

2018-01-04 12:27:21 | Weblog

たにしのブログ、初春にいい気分。
暮れから新年にかけて、
参加しているブログランキングで4位を記録しました。

常日頃はランキングはどうでもいい、
なぞと考えていますが、では、なぜ、
ランキングなどに参加しているのか、
なんて、言われそうですね。



まあ、人間、何かより所がないと、
継続の気持ちが萎えてしまいます。

たにしの爺の「あぶく」ごとき「つぶやき」をちょい見して、
Webを通して、どれくらいの方が通り過ぎていくのか……。

参加しているブログカテゴリーが「旅もの」なのも、
「あぶく」にはマッチしていないので、気が引けています。

まあ、爺としては「旅情報」を知るのが楽しみの一つで、
外国の街歩きや航空会社の評判記など、
また、国内温泉の穴場情報など楽しめる。
それにしても世界中、旅する人が多いことか。



たにしの爺は「徘徊」を日課にしているので、
「徘徊」も夢の旅路に似ているので、
このカテゴリーにお邪魔しています。

今年も「徘徊のあぶく記」でwebに出張ります。
通りすがりの皆様の。お目を汚します。
新年ブログ初めのご挨拶とします。

徘徊の道すがら一番、お世話になっている神社の参道です。