(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0325BpOilGas2014.pdf
(再び世界一の座を取り戻した米国!)
(4)ロシア、米国等主要国の生産量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-2-G03.pdf 参照)
ここでは2013年の生産量上位4カ国(米国、ロシア、サウジアラビア、イラン)に中国、カタール及びブラジルを加えた7か国について2000年以降の生産量の推移を見ることとする。
2000年における石油・天然ガス合計生産量は米国が1,709万B/D(内訳:石油773万B/D、天然ガス5,432億㎥、石油換算936万B/D。以下同じ)でトップであり、ロシアは1,569万B/D(658万B/D、5,285億㎥、911万B/D)であった。その後、米国は生産量が減少、一方のロシアは増加したため2002年には両国の順位が逆転した。その後両国の差は年々大きくなり2005年の生産量はロシアが1,960万B/D、米国は1,571万B/Dと両国の差は400万B/Dまで拡大した。しかし米国の生産が2005年を底に上向きに転じる一方、ロシアはその後横這い或いは微増にとどまっている。この結果2013年の生産量はロシアの2,121万B/Dに対し米国は2,185万B/Dで10年ぶりに再び米国が世界一の石油・天然ガス生産国になった。
サウジアラビアの場合は従来から石油の比率が圧倒的に高く、2000年の生産は石油が947万B/D、天然ガスは86万B/D(石油換算)で石油はガスの11倍であった。その後同国の石油生産は常時1千万B/D前後で推移する一方、天然ガスの生産は毎年前年を上回る増加を続けている。この結果2013年の生産量は石油1,153万B/D、天然ガス178万B/Dの合計1,330万B/Dに達し、石油はガスの6.5倍となり天然ガスの比率が上がっている。
カタールは2000年時点では石油と天然ガスの生産量はそれぞれ85万B/D、41万B/D(合計126万B/D)であり、石油が天然ガスを上回っていたが、その後天然ガスの生産が急速に拡大し、2006年には倍増、さらに2013年には石油換算で273万B/Dに達している。この結果、2013年の石油・天然ガスの合計生産量は2000年の3.8倍の473万B/Dを記録するとともに、石油と天然ガスの比率は石油42%に対し天然ガスは58%と逆転している。
中国は2000年以降着実に生産量が増加しており、2000年の373万B/Dから2013年には620万B/Dの1.7倍に増えている。イランも中国同様2011年までは着実に増加し、2000年の合計生産量488万B/Dが2011年には1.5倍の711万B/Dに増加した。しかしその後、核開発疑惑をめぐる欧米諸国の禁輸制裁の結果、2012年、2013年と2年連続して減少、2013年の石油・天然ガスの合計生産量は643万B/Dにとどまっている。天然ガスは全量国内消費のため生産量は微増すると見込まれるが、原油の生産は経済制裁解除の成否にかかっており今後も厳しい見通しである。
ブラジルの生産量は上記の国々に比べて必ずしも多くないが、2013年の生産量は2000年に比べて1.8倍である。これは6カ国の中ではカタールに次いで高い伸び率であり、ロシア、米国の1.3倍に比べかなり大きく今後の生産量増加が期待される。
(石油+天然ガス篇 生産量完)
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