石油と中東

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縮み続ける売上・利益・設備投資:五大国際石油企業2016年1-3月期決算速報(4)

2016-05-16 | 海外・国内石油企業の業績

 

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行)論稿集」で一括してご覧いただけます。

 

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0377OilMajor2016-1stQtr.pdf

 

 

2.2015年第1四半期以降の四半期別業績の推移
 五社の売上高、利益(全体、上流部門および下流部門)、設備投資に関する2015年1-3月期以降今期までの四半期ごとの業績推移は以下の通りである。

(1) 売上高の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-61.pdf 参照)
 2015年第2四半期をピークとして5社の売上高は4期連続で減少している。各社の2015年第2四半期売上高と今年第1四半期の売上高を比べると、ExxonMobilは741億ドル→487億ドル、Shellは740億ドル→497億ドル、BP606億ドル→385億ドル、Total447億ドル→328億ドル、Chevron404億ドル→236億ドルである。減少幅が最も大きいChevronは42%減、最も少ないTotalでも27%減であり、ExxonMobil、Shell、BP3社も30%台の減少である。

 これは言うまでもなくこの間に原油価格が大幅に下落したためであり、Shellの決算資料でこの間の四半期平均原油価格の推移を見ると55.84ドル/バレル(2015年第2四半期)→45.22ドル/バレル(同第3四半期) →38.81ドル/バレル(同第4四半期)→29.49ドル/バレル(2016年第1四半期)となっており、原油価格はこの間に半値近くになっている。各社は販売価格の落ち込みを生産量の増加でカバーしようと努力し(前項「原油・ガス生産量」参照)、売上高を価格の下落幅以下に抑えたが売り上げの大幅な落ち込みは避けられなかった。

(2)利益の推移
(2-1)全体利益水準の推移(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-62.pdf 参照)
 過去1年間の四半期ごとの利益水準は各社によって異なるものの、全体を通してみると下落傾向にあると言って良く、またExxonMobil以外の4社は1期またはそれ以上の複数期で欠損を出している。2015年第1四半期はExxonMobilの49億ドルを筆頭に5社ともに利益を計上したが、ExxonMobilのその後の利益は減少を続け今期は18億ドルにとどまっている。

 ExxonMobilと同程度の売上規模であるShellは第3四半期に74億ドルと言う大幅な欠損を記録している。その後業績は回復したが利益水準は一桁台(第4四半期:9億ドルおよび今期:5億ドル)に低迷しており、1年間を通じると利益の凋落傾向が止まらない。

 BPは5期のうち3期がマイナスであり、特に最近の2期は連続して欠損である。Chevronも同様に2期連続の赤字である。TotalはExxonMobilを除く4社と比較すると増減幅は小さいが、利益は低迷状況を続けている。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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