石油と中東

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各社とも利益が前年同期比で大幅増:五大国際石油企業2018年7-9月期決算速報(2)

2018-11-06 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0454OilMajor2018-3rdQtr.pdf

1. 五社の7-9月期業績比較(続き)

(2)総合利益 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-52.pdf 参照)

今期は5社ともに前年同期を大幅に上回る利益を計上、Chevron、BPは2倍、ExxonMobil、Shell及びTotalも1.5倍前後の増益であった。利益額が5社の中で最も大きいのはExxonMobilの62億ドルであり、前年同期(40億ドル)の1.5倍である。ExxonMobilに次いで利益が多いのはShellの58億ドルであり、Chevron及びTotalが共に40億ドルである。特にChevronは前年同期から倍増している。BPの7-9月利益は5社の中では最も少ない33億ドルであるが、同社も前年同期に比べ大幅に改善している。

 

(3)上流部門と下流部門の利益

(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56.pdf及びhttp://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-57.pdf参照)

利益を上流部門(石油・天然ガスの開発生産分野)と下流部門(石油精製および製品販売分野)に分けて比較すると、上流部門は各社とも前年同期比で2倍乃至7倍と利益が大きく伸びている。利益が最も高かったのはExxonMobilの42億ドルで前年同期(16億ドル)の3倍弱であった。同社に次いでBPが40億ドル、Chevronは前期比7倍の34億ドルの利益であった。3社に続くのがTotal(29億ドル)であり、最も少ないShellも22億ドルの利益を計上している。

 

これに対して下流部門の利益は5社中4社が前年同期を下回っている。利益が最も多かったのはBPの21億ドルであり前年同期に比べ微減であった。下流部門でBPに次ぐ利益を上げたのはShellの17億ドルであるが、同社の場合は前年同期より3割近く減少している。ExxonMobilはShellをわずかに下回る利益(16億ドル)であり、Chevron(14億ドル)がこれに続き、5社の中で下流部門の利益が最も少ないのはTotalの9億ドルである。

 

このように今期は各社とも上流部門が好調であり、下流部門の利益を大幅に上回っている。これは原油天然ガスの価格が大きく上昇したためである。歴史的に見ても五大国際石油企業は2014年に原油価格が100ドルを超えるまで上流部門の利益が下流部門を上回る時代が長く続き、その後一転して原油価格が暴落した2015~17年は下流部門の利益が上流部門を上回っていた。現在原油価格が高値で安定しているため上流部門が各社の利益の源泉になっているのである。

 

なお上記(2)総合損益は各社によって石油化学品部門あるいはその他の損益を含むため上・下流部門の利益の合計額とは一致しないケースがある。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

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