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http://mylibrary.maeda1.jp/0454OilMajor2018-3rdQtr.pdf
2.2017年第3四半期以降の四半期別業績の推移(続き)
(4)部門別利益の推移
(4-1)上流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-66.pdf 参照)
前年の2017年第3四半期の上流部門の損益が10億ドルを超えたのExxonMobil16億ドル、Total14億ドルおよびBP12億ドルであり、Shell及びChevronは一桁台の5億ドル前後にとどまった。
第4四半期は5社ともに二桁台の利益を出したが、特にExxonMobilとChevronの2社はそれぞれ84億ドル、53億ドルと大幅な増益であった。Shell、BP及びTotal3社はいずれも20億ドル前後で並んだ。今年に入るとExxonMobil及びChevronの利益は減少した一方、BPが増益となりこれら3社の上流部門の利益は30億ドル台前半で並んだ。これに対してTotalは22億ドル、Shellは19億ドルであった。
今期(2018年第3四半期)は5社すべてが前期を上回る利益を計上、トップはExxonMobilの42億ドル、次いでBP40億ドル、Chevron34億ドル、Total29億ドル、Shell23億ドルとなり、BP、Shell、Totalの3社は過去1年間で最も高い利益を計上している。Shellは総売上高で4社に水を開けているが(上記売上高の推移参照)、上流部門は他社に比べ見劣りがする。
(4-2)下流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-67.pdf 参照)
過去1年間の各社の下流部門の利益は同じような傾向をたどっており、2017年第3四半期以降利益は縮小し、今年第2四半期までほぼ連続して落ち込んだのち、第3四半期に至ってようやく上昇に転じている。但しExxonMobilを除き今期の利益は前年同期を下回る状態である。
各社ごとにその推移を見ると以下の通りである。(単位:億ドル)
ExxonMobil: 15.3 → 15.6 → 9.4 → 7.2 → 16.4
Shell: 24.1 → 11.2 → 18.1 → 11.7 → 17.1
BP: 21.8 → 17.7 → 18.3 → 14.6 → 21.1
Total: 10.2 → 8.9 → 7.2 → 8.2 → 9.4
Chevron: 18.1 → 12.8 → 7.3 → 8.4 → 13.7
過去一年間の利益の推移を上流部門と下流部門で比較すると、上流部門は増益傾向にあるのに対して下流部門は今年第2四半期まで減益、第3四半期に回復しているものの一年前の水準には達していない。これは昨年から今年上半期まで原油価格が上昇し、現在高止まりしているためと考えられる。即ち原油価格が上昇トレンドにあるときは上流部門の利益が増加または堅調に推移し、一方下流部門は原油価格上昇時に利益が圧迫され、原油価格が高止まりすると製品価格に転嫁することにより下流部門の採算も向上するためと考えられる。
(5)設備投資の推移 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-64.pdf 参照)
5社の四半期ベースの設備投資額はExxonMobilが年間を通じて5社のトップを続けている。またExxonMobilとTotalは各四半期でかなり変動しているが、Shell、BP及びChevronの3社は各社とも投資が平準化されているようである。
ExxonMobilの場合、2017年第3四半期の投資額は60億ドルで翌第4四半期には90億ドルに膨張したが今年第1四半期には49億ドルに減り、前期及び今期は66億ドルと1年前の水準に戻っている。これに対してTotalは昨年第3四半期の投資額は5社の中で最も少ない34億ドルであったがその後増加し、今期は62億ドルとほぼ倍増し、ExxonMobilに次ぐ投資額である。
Shell、Chevron及びBP3社はそれぞれ毎期50億ドル台、40億ドル台或は30億ドル台の投資を続けている。
(続く)
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