メジャーズに比べ傷の浅かったENEOSと出光興産：２０２０年４－６月期業績比較(４完)

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。http://mylibrary.maeda1.jp/0513MajorEneosIdemitu2020AprJun.pdf

２．過去１年間の四半期業績の推移(続き)

(４) 売上高利益率　(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-22.pdf 参照)
　２０１９年４-６月期の売上高利益率はChevronが最も高い１１．１％であり、これに次ぐTotal(５．４％)、ExxonMobil(４．５％)の２倍以上であった。日系企業の出光は２．４％、ENEOSは０．７％であり、メジャーズ5社のいずれよりも低い。その後メジャー各社の利益率は押しなべて前期を下回るかマイナスとなることもあり、特に今期はShell、BP、Chevron３社が▲５０％台の大きな損失率となっている。ENEOS、出光の２社は昨年末まで毎期２％以下の低い利益率にとどまり、今年に入ってからは２期連続でマイナスの利益率となっている。

(５)　上流部門の利益　(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-23.pdf 参照)
　昨年４－６月期と７-９月期のメジャー５社の上流部門の利益はExxonMobil、BP及びChevron ３社はほぼ横並びの３０億ドル前後で推移し、ShellとTotal２社は共に２０億ドル弱であったが、昨年１０-１２月及び今年１-３月の上流部門の利益は各社によって大きく変動している。１０－１２月期はExxonMobilの利益が大幅に増加、BP及びTotalもわずかながら増益となったのに対し、Chevronは大幅な減益、Shellも欠損に転落し明暗が分かれた。そして今期は全社がマイナスに陥り、欠損額もBP８５億ドル、Shell６７億ドル、Chevron６１億ドルと巨額な損失を出している。日系２社は上流部門が小さいため利益幅も小さいが、ENEOSが今年１-３月期に▲７億ドルの欠損を出した以外、両社ともわずかではあるが１億ドル前後の利益を計上しておりメジャー５社とは異なる結果を出している。

(６） 下流部門の利益　(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-24.pdf 参照)
　昨年から今年初めまでの各社の上流・下流の損益幅を見ると、上流部門はプラス６０億ドル（ExxonMobil１０-１２月期）から▲８５億ドル(BP今年４－６月期)まで大きな差があるのに比べ、下流部門はプラス２６億ドル(Shell昨年７-９月期)から▲３０億ドル(同Shell　今年４-６月期)まで差異はさほど大きくない。

　このような中、各社で比較的下流部門の利益が高く安定しているのはTotalあるいはBPであり、毎期４～１９億ドル前後の利益を計上している。ExxonMobilは下流部門の利益が安定せず今年の１-３月期は赤字である。日系２社のうちENEOSは昨年末まで数億ドル規模の利益を計上していたが、今年の第１及び第２四半期は連続して赤字となっている。出光の下流部門は経常的な赤字体質であり、５四半期のうち３期は欠損を出し、特に今年の第１、第２四半期は連続して１０億ドルを超える赤字となっている。

以上

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今週の各社プレスリリースから(8/30-9/5)

8/31 ENEOSホールディングス
人事異動について
https://www.hd.eneos.co.jp/newsrelease/20200831_02_1080071.pdf


8/31 石油連盟
石油連盟会長コメント 安倍総理の辞任について
https://www.paj.gr.jp/paj_info/press/2020/08/31-001899.html


9/2 出光興産
人事異動に関するお知らせ
https://www.idss.co.jp/content/100032286.pdf


9/3 住友商事
ノルウェーの石油・ガス関連企業EARTH SCIENCE ANALYTICS AS社への出資について
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2020/group/13820