石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ロシア経済制裁追随でChevron除く4社は深傷:2022年1-3月期五大国際石油企業決算速報 (2)

2022-05-10 | 海外・国内石油企業の業績

I. 各社の業績概要(続き)

表1-D-4-22a「2022年1-3月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。

表1-D-4-22b「2022年1-3月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。

表1-D-4-22c「2022年1-3月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。

 

(ロシア事業の撤退で42億ドルの特別損失!)

2. Shell

プレスリリース:

https://www.shell.com/investors/results-and-reporting/quarterly-results/2022/q1-2022.html

(1)売上・利益・利益率

 Shellの2022年1-3月期は売上高842億ドル、利益71億ドルで売上高利益率は8.5%であった。前期(2021年10-12月期)との比較では、売上高は▲1.3%減、利益は▲38%減であり、また前年同期(2021年1-3月期)比では売上高は1.5倍、利益は26%増である。

 

 売上高は前年同期比で大幅増加であるが、その主要因は石油価格の変動によるものである。一方、利益については価格の上昇により前年同期比では大きく増加したものの、前期と比較した場合、ロシア事業の撤退(後述参照)による特別損失を計上したため石油価格の上昇にもかかわらず利益減となっている。

 

(2)キャッシュフロー及び設備投資

 今期の営業キャッシュフローは148億ドル、投資キャッシュフローは▲43億ドルであり、フリーキャッシュフローは105億ドルであった。また財務キャッシュフローは▲90億ドルであり、この結果、3月末のキャッシュフロー残高は384億ドルとなっている。

 Shellの1-3月期設備投資は42億ドルであった。

 

(3)原油・天然ガス生産量

 Shellの1-3月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油140万B/D、天然ガス36億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は203万B/Dである。

 

(追記)対ロシア経済制裁の業績に対する影響

 Shellはロシアのサハリン2(天然ガス)プロジェクトに27.5%出資しているが、同プロジェクトからの撤退を表明、欠損評価額として▲42億ドルを計上している。またロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」向け融資で11億ドルの貸倒引当金を計上、さらにガスプロムとの北極圏資源開発でも減損を行っている。なおサハリン2プロジェクトには三井物産(12.5%)及び三菱商事(10%)も出資している。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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