石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

サウジアラムコと五大国際石油企業の2019年1-6月期業績比較 (10完)

2019-09-23 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0478AramcoVsIoc2019JanJune.pdf

 

5.キャッシュフロー(続き)

(豊かなキャッシュフローを誇るアラムコ!)

(2) 2019年1-6月のキャッシュフロー(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-6-08.pdf 参照)

 アラムコの今年上半期のキャッシュフローは営業キャッシュフロー(以下営業CF)が525億ドル、投資キャッシュフロー(以下投資CF)259億ドル、財務キャッシュフロー(以下財務CF)358億ドルであり、合計は93億ドルのマイナスであった。IOC5社(ExxonMobilは営業CFのみ開示)のそれぞれの金額は以下のとおりである。

 

(単位:億ドル)                営業CF            投資CF            財務CF            合計

Shell:                          197                 88                192                ▲83

ExxonMobil:                  144                n.a.                 n.a.                 n.a.

BP:                            121                105                 34                ▲18

Total:                           99                 64                 46                ▲12

Chevron:                     138                 53                 94                ▲ 8

 

 上記のとおりアラムコは全項目でIOC各社を上回っており、営業CFはShellの2.7倍、Totalの5.3倍である。また投資CFはBPの2.5倍、Chevronの5倍であり、財務CFもShellの2倍、BPの10倍に達する。このようにアラムコは現金または現金相当(cash or cash equivalent)の収支の幅が多く、その結果合計もマイナス93億ドルとIOC各社を上回る結果となっている。

 

(3) 期首(1月初)と期末(6月末)の残高(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-6-09.pdf 参照)

各社のキャッシュフローシートによれば期首現金及び現金相当額と期末のそれは以下のとおりである(ExxonMobilとChevronは期首期末の残高が示されていない)。なお英語の名称は各社同じであり、期首残高はCash and cash equivalents at (the) beginning of period、期末残高はCash and equivalents at (the) end of periodである。

 

 アラムコの期首残高は488億ドルであり、期中に93億ドルが減少(上記2参照)した結果、期末の残高は395億ドルになっている。IOC各社はShellが267億ドル(期首)→185億ドル(期末)であり、BPは225億ドル(期首)→207億ドル(期末)、Totalは279億ドル(期首)→267億ドル(期末)であった(ExxonMobil及びChevronは公表せず)。期中の現金(及び現金相当額)はアラムコが最も大きく減少しているが、期首の残高がShell, BP、Totalよりもかなり多いため6月末の期末残高は引き続きIOC各社を大きく上回っている。

 

(完)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

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データベース更新のお知らせ

2019-09-22 | データベース追加・更新

下記データベースを更新しましたのでご利用ください。

・サウジアラビア閣僚名簿(2019年9月22日現在)

・サウジ・サルマン国王家々系図

・サウド家第二~第五世代の主要王族

 

 

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石油・ガスの生産と消費で米国が四冠:BPエネルギー統計2019年版石油+天然ガス篇 (8)

2019-09-22 | BP統計

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

mylibrary.maeda1.jp/0479BpOilGas2019.pdf

 

(再度増産に勢いがついた米国!)

(4)ロシア、米国等主要国の生産量の推移

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/3-2-G03.pdf 参照)

 ここでは2018年の生産量上位4カ国(米国、ロシア、サウジアラビア、イラン)に中国、カタール及びブラジルを加えた7か国について2000年以降の生産量の推移を見ることとする。

 

 2000年における石油・天然ガス合計生産量は米国が1,667万B/D(内訳:石油773万B/D、天然ガス5,186億㎥、石油換算894万B/D。以下同じ)でトップであり、ロシアは1,584万B/D(658万B/D、5,371億㎥、926万B/D)であった。その後、米国は生産が低迷、一方のロシアは増加したため2002年には両国の順位が逆転した。その後両国の差は大きくなり2005年の生産量はロシアが1,976万B/D、米国は1,533万B/Dと両国の差は400万B/D強にまで拡大した。しかし米国の生産が2005年を底に上向きに転じる一方、ロシアはその後横這いにとどまっている。この結果2014年には両国の順位が逆転、米国が290万B/Dの差でトップになった。そして2015年の生産量はロシアの2,108万B/Dに対し米国は2,553万B/Dで両国の差は445万B/Dまで広がった。2016年は米国の生産量が2005年以来10年ぶりに減少したが、2017年は2,599万B/Dと過去最高を更新、2018年はさらに大きく伸びて2,965万B/Dに達した。ロシアの生産量も増加したが、米国との格差は拡がっており、2018年は米国の2,965万B/Dに対し、ロシアは2,298万B/Dであり、両国の差は700万B/D近くになっている。

 

サウジアラビアの場合は従来から石油の比率が圧倒的に高く、2000年の生産は石油が912万B/D、天然ガスは82万B/D(石油換算)で石油はガスの10倍以上であった。その後同国の石油生産は2010年までは1千万B/D前後で推移し、現在は1,200万B/D台を維持している。この間天然ガスの生産は毎年前年を上回る増加を続けており、この結果2018年の生産量は石油1,229万B/D、天然ガス193万B/Dの合計1,422万B/Dに達し、両者の構成比は石油86%、天然ガス14%となり天然ガスの比率が上がっている。

 

カタールは2000年時点では石油と天然ガスの生産量はそれぞれ85万B/D、44万B/D(合計130万B/D)であり、石油が天然ガスを上回っていたが、その後天然ガスの生産が急速に拡大し、2006年には倍増、さらに2018年には石油換算で302万B/Dに達している。この結果、2018年の石油・天然ガスの合計生産量は2000年の4倍の490万B/Dを記録するとともに、石油と天然ガスの比率は石油38%に対し天然ガスは62%と逆転している。

 

中国は2000年以降着実に生産量が増加しており、2000年の373万B/Dから2018年には1.8倍の658万B/Dと過去最高の生産量であった。但し2012年に600万B/Dを超えて以降、生産は停滞している。イランも中国同様2011年までは着実に増加し、2000年の合計生産量482万B/Dが2011年には1.5倍の705万B/Dに増加した。しかし核開発疑惑をめぐる欧米諸国の禁輸制裁の結果、石油の生産は370万B/D前後に低迷、核合意による制裁解除を受けて2017年の石油生産量は500万B/Dにアップしたが、2018年は米国トランプ政権による石油の禁輸措置により石油の生産量は472万B/Dに減少した。天然ガスは国内需要の拡大に合わせ大幅に増産されており、石油・天然ガスの合計生産量過去3年間800万B/D台を維持している。天然ガスは全量国内消費のため生産量は今後も増加すると見込まれるが、原油の生産は米国が経済制裁を強化、同盟各国にも制裁効果が及ぶため今後の生産量は予断を許さない状況である。

 

ブラジルの生産量は上記の国々に比べて必ずしも多くないが、2018年の生産量は2000年に比べて2.2倍である。これは6カ国の中ではカタールの3.8倍に次ぐ高い伸び率であり、米国の1.8倍よりも高い。

 

(石油+天然ガス篇 生産量完)

 

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サウジアラムコと五大国際石油企業の2019年1-6月期業績比較 (9)

2019-09-22 | 海外・国内石油企業の業績

 

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

 

http://mylibrary.maeda1.jp/0478AramcoVsIoc2019JanJune.pdf

 

 

5.キャッシュフロー

(1)はじめに

 キャッシュ・フロー(cash flow、現金流量)とは、現金の流れを意味し、主に、企業活動や財務活動によって実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことを言う(ウィキペディアより)。キャッシュフローは大きくは「営業キャッシュフロー」(1)、「投資キャッシュフロー」(2)、「財務キャッシュフロー」(3)の三つに分類されその合計額(4)が当該決算期間の現預金の増減となる。

 

 今年上半期の各社の決算書類における上記用語の表現形式は以下のとおりである。なおExxonMobilは投資及び財務キャッシュフローを明示していない。

 

Saudi Aramco:

(1)   Net cash provided by operating activities

(2)   Net cash used in investing activities

(3)   Net cash used in financing activities

(4)   Net (decrease) increase in cash and cash equivalents

 

Shell:

(1)   Cash flow from operating activities

(2)   Cash flow from investing activities

(3)   Cash flow from financing activities

(4)   Increase/(decrease) in cash and cash equivalents

 

ExxonMobil:

(1)   Cash flow from operations and asset sales

 

BP:

(1)   Net cash provided by operating activities

(2)   Net cash used in investing activities

(3)   Net cash provided by (used in) financing activities

(4)   Increase (decrease) in cash and cash equivalents

 

Total:

(1)   Cash flow from operating activities

(2)   Cash flow used in investing activities

(3)   Cash flow used in financing activities

(4)   Net increase (decrease) in cash and cash equivalents

 

Chevron:

(1)   Net cash provided by operating activities

(2)   Net cash for investing activities

(3)   Net cash used for financing activities

(4)   Net change in cash, cash equivalents and restricted cash

 

 

(続く)

 

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石油と中東のニュース(9月21日)

2019-09-21 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・イラン・ハメネイ師、アラムコ空爆を承認:CBS報道

・アラムコ、クライスの被害現場を報道陣に公開

(中東関連ニュース)

・米、イラン中央銀行を含む最大限の禁輸を実施

・米国防長官:サウジとUAEに駐留軍派遣

・サウジの外国人労働者、2017年以降855万人から666万人に190万人減少

・チュニジアのベン・アリ元大統領、亡命先のサウジで死亡

 

 

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今週の各社プレスリリースから(9/15-9/21)

2019-09-21 | 今週のエネルギー関連新聞発表

9/17 経済産業省 

サウジアラビアの石油生産の一部停止を踏まえた石油対策本部の設置について 

https://www.meti.go.jp/press/2019/09/20190917005/20190917005.html

9/17 出光興産 

人事異動に関するお知らせ 

https://www.idss.co.jp/content/100027341.pdf

9/17 出光興産 

機構変更に関するお知らせ  

https://www.idss.co.jp/content/100027342.pdf

9/17 Total 

South Korea: Hanwha Total Petrochemical Increases Ethylene Production Capacity by 30%  

https://www.total.com/en/media/news/press-releases/south-korea-hanwha-total-petrochemical-increases-ethylene-production-capacity-30

9/17 Chevron 

Chevron, Schlumberger and Microsoft Announce Collaboration to Accelerate Digital Transformation 

https://www.chevron.com/stories/chevron-schlumberger-microsoft-announce-collaboration

9/17 Saudi Aramco 

Aramco CEO: Saudi Aramco rapidly restores production capacity, expects stabilization of global supply 

https://www.saudiaramco.com/en/news-media/news/2019/saudi-aramco-swiftly-restores-production-capacity

9/18 Shell 

Saudi Aramco completes acquisition of Shell’s share of the SASREF refining joint venture 

https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2019/saudi-aramco-completes-acquisition-of-shells-share-of-the-sasref-refining-joint-venture.html

9/19 石油連盟 

月岡 石油連盟会長定例記者会見配布資料 

https://www.paj.gr.jp/from_chairman/data/2019/index.html#id1866

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石油と中東のニュース(9月19日)

2019-09-20 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・サウジアラムコの早期復旧で原油高値ながらも落ち着く気配。Brent $63.78, WTI $58.42

・サウジエネルギー相:2日間で生産能力の1/2回復。月末には1,100万B/Dに

・サウジに続きUAEも米のペルシャ湾有志連合に参加表明

(中東関連ニュース)

(アラムコ施設攻撃被害関連)

・サウジ国防省、ドローンとミサイルの残骸を公開。イエメンからではなく北方から飛来と説明

 

・トランプ大統領、イラン経済制裁強化を指示。プーチン大統領、ムハンマド皇太子と電話会談

・米国務長官訪サ、ムハンマド皇太子と会談

・米国務省、米国市民にサウジ渡航自粛アドバイス。アブハ地区は渡航禁止に

・仏外相、フーシ派のイエメンからの攻撃説に疑念表明

(その他一般ニュース)

・イスラエル総選挙、リクードと「青と白」の勢力伯仲で政権発足の見通し立たず

・サ日自動車高等研修所(SJAHI)と人材基金(Hadaf)が車両補修サービスで戦略パートナー関係樹立。 *

・カタール、海外投資家に5年間の居住ビザ付与

 

*SJAHIホームページ参照。 http://www.sjahi.org/Home

 

 

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サウジアラムコと五大国際石油企業の2019年1-6月期業績比較 (8)

2019-09-20 | 海外・国内石油企業の業績

 

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

 

http://mylibrary.maeda1.jp/0478AramcoVsIoc2019JanJune.pdf

 

 

5.Balance Sheetの比較:(続き)

(傑出したアラムコの財務内容!)

(2)負債・資本 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-6-07.pdf 参照)

 6社の資本(Equity)、長期負債(Non-current liabilities)及び流動負債(Current liabilities)の金額及び全体に占める比率を比較すると以下のとおりである。なおExxonMobil及びChevronは今回の半期決算報告書ではバランスシートが明記されていないため昨年2018年末のB/Sを引用している。

 

(2-1)資本(Equity)

資本が最も大きいのはアラムコの2,731億ドルであり、IOC5社はいずれも2千億ドル以下である。5社を資本の多い順に並べると、ExxonMobil(1,985億ドル)及びShell(1,963億ドル)が拮抗しており、Chevron(1,556億ドル)、Total(1,192億ドル)と続き、BPは最も少ない1,036億ドルである。アラムコを100とした場合、ExxonMobil、Shellは7割強、BPの資本はアラムコの3分の1である。

 

 また資本及び長期・流動負債(下記参照)との合計額のうち資本が占める割合をみると、アラムコの場合は72%を占めており、IOC5社の中で最も比率が高いChevronの61%を上回っており、BPの35%の2倍以上である。アラムコの財務内容が極めて優れていることがわかる。

 

(2-2)長期負債(Non-current liabilities)

 長期負債はShell(1,283億ドル)及びBP(1,227億ドル)が1千億ドルを超えており、これに次ぐのがExxonMobil(905億ドル)、Total(819億ドル)、Chevron(711億ドル)である。これに対してアラムコの長期負債は564億ドルでありShell或いはBPの2分の1以下である。

 

 全体額に占める比率はBPが42%と最も高く、他のIOC4社はいずれも30%前後であるが、アラムコは15%にとどまっている。

 

(2-3)流動負債(Current liabilities)

 流動負債が最も多いのはShellの843億ドルであり、BP、Totalが660億ドル台、ExxonMobilは571億ドル、Chevronは最も少ない272億ドルである。アラムコは504億ドルでありIOC5社と似通った水準である。合計額に占める各社の比率はTotal 25%、BP 23%、Shell 21%、ExxonMobil 17%、アラムコ 13%、Chevron 11%である。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

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石油・ガスの生産と消費で米国が四冠:BPエネルギー統計2019年版石油+天然ガス篇 (7)

2019-09-19 | BP統計

(伸びる天然ガス、ついに6割を切った石油!)

(3)1970年~2018年の生産量の推移

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/3-2-G02.pdf 参照)

 1970年から2018年までの世界の石油と天然ガス合計生産量の推移を追ってみると、1970年の生産量は6,487万B/Dであり、その内訳は石油4,808万B/D、天然ガス9,743億㎥(石油換算1,679万B/D)であった。その後1980年には合計生産量は9千万B/D近くに達し、1990年代前半には遂に1億B/Dを突破した。2000年の生産量は石油が7,500万B/D、天然ガスは2.4兆㎥(石油換算4,100万B/D)で、合計生産量は1兆1,600億B/Dであった。

 

 2000年以降も石油と天然ガスの生産量は増加し、合計生産量は2005年には1.3兆B/D、2010年1.4兆B/D、2015年1.5兆B/Dとなり、2018年は石油9,500万B/D、天然ガス(石油換算)6,700万B/D、合計1.6兆B/Dを記録している。因みに1970年から2018年までのほぼ半世紀の間、生産量が前年を下回ったのは1999年と2009年の2回だけである。

 

1970年と2018年の生産量の伸びを比較すると、合計生産量では2.5倍、石油と天然ガスのそれぞれの増加率は石油2.0倍、天然ガス4.0倍であり、天然ガスは石油の2倍のスピードで生産が伸びていることがわかる。この結果、石油と天然ガスの比率は1970年には石油74%、天然ガス26%であり、石油が天然ガスの3倍であったが、2018年には石油59%、天然ガス41%となり、石油の比率は6割を切っている。現在天然ガスについては米国におけるシェールガスを含め世界各地で開発生産が活発に行われており、またパイプライン、LNGによるサプライチェーンも急速に整備拡充されている。従って生産に占める天然ガスの比率は今後更に高まるものと思われる。

 

(続く)

 

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サウジアラムコと五大国際石油企業の2019年1-6月期業績比較 (7)

2019-09-18 | 海外・国内石油企業の業績

 

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

 

http://mylibrary.maeda1.jp/0478AramcoVsIoc2019JanJune.pdf

 

 

5.Balance Sheetの比較:

(注)アラムコとIOC5社の決算資料のうち本年上半期末(6月末)のBalance Sheet(貸借対照表)を明記しているのはアラムコ、Shell、BP及びTotalの4社である。本項ではExxonMobil及びChevronについては昨年12月末のBalance Sheetを引用している。

 

(アラムコの資産総額3,798億ドル!)

(1)資産 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-6-06.pdf 参照)

 6社の中で資産総額が最も大きいのはShellの4,089億ドルであり、次いでアラムコ3,798億ドル、ExxonMobil3,462億ドル、BP2,932億ドル、Total2,675億ドルで、Chevronが最も小さく2,539億ドルである。

 

 資産を固定資産(Non-current assets)と流動資産(Current assets)の比率で見ると、アラムコは固定資産72%、流動資産28%である。IOC5社はそれぞれShell77%:23%、ExxonMobil86%:14%、BP76%:24%、Total69%:31%、Chevron87%:13%である。アラムコと5社の間に大きな違いは見られないが、Chevronが固定資産の割合が最も大きい。

 

 金額面で見ると固定資産が最も多いのはShellの3,158億ドル、次いでExxonMobil2,982億ドル、アラムコ2,739億ドルと続いている。また流動資産が最も多いのはアラムコで同社の流動資産は1,059億ドルであり、アラムコ以外はいずれも1千億ドル未満でShellが931億ドル、最も少ないのはChevronの340億ドルでこれはアラムコの3分の1である。

 

(続く)

 

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