書きかけで公開してしまったのでその後追記完成させています。
今年10月に4号機の打ち上げが成功した準天頂衛星「みちびき」は来年18年度より本格運用が始まる。
この衛星については漠然と「国産GPS」「GPSの精度が良くなる」程度の認知しかないと思われるが、その実情をみてみると結構問題がある。
詳細は非常に技術的になるし私も専門分野ではないので、簡単に書く。
1.位置情報精度
そもそもGPSからの信号だけでは精密な位置情報は得られない。
複数の衛星との距離を信号到達速度から測定し、位置を割り出すのだが、単純な言い方をすれば衛星と地表にある大気の揺れで誤差が出る。その狂いは時に100m以上になることもある。
この誤差が現在どのくらいあるかを定点で測定し、その値を補正することでより正確な位置情報が得られる。これはかなり以前から行われている。
GPS受信器は衛星からの信号と補正信号の両方を受信し誤差数mレベルの正確な位置を表示する。
補正信号は、古くはFM多重、現在は海上保安庁のビーコンと気象衛星ひまわりから送られている。
みちびきは国内1300ヶ所の測定所で計測したより精度の高い補正情報を衛星から発信することで、その誤差を数cmレベルまで向上することができる。
但し現在の補正による誤差(数メートル)はカーナビレベルでは実用上まったく不都合はない。
カーナビは車両走行軌跡とマップデータをマッチングさせて補正する。
では、一体どのようなアプリケーションに誤差数cmが求められるのか?
一般には自動運転車と言われている。たしかに自動運転車は寸分の狂いもなく交差点を曲がらなければならない。
しかし、実際には自動運転車はGPS位置情報だけでは運行できない。地図、地形データの情報はリアルタイム情報ではない。そこが工事で規制されていたとしてもそれを回避できない。
昨日の情報をたよりに目隠しで道を歩くようなものだ。したがって自動運転車は必ずカメラやレーダーなどのセンサーを必要とする。
それらセンサーが最終判断をするのであれば、GPS位置情報はカーナビ同様概ねの現在位置を把握できれば良い。
2.衛星の補足
ビル街など周りに障害物が多いと衛星の信号は受信できない。みちびきは日本の近くだけを飛ぶので、3基あればどれかがほぼ真上にいてくれるため、そうした場所でも受信できるのが特徴。
しかし現在日本では米国のGPS、ロシアのグロナスを使えるので50基以上の衛星から信号を受信でき、必ずしも準天頂衛星が必要かというと疑問が残る。
3.規格
みちびきが発信する誤差情報は日本及びその周辺でしか受信できない。
しかも、現在のGPS信号とは違う規格の信号で発信されるためGPS機器側で対応していないとその情報は受信できない。
今使っているGPS機器の精度が向上するわけではないのだ。
現在すでにみちびき対応機器が存在するが非常に高価だ。これは普及に伴ってコストダウンできると言っているが、果たして普及するかが問題。まず、日本にしか需要がない。そして最大ボリュームゾーンであるカーナビやスマホに関しては数cmの誤差が求められていない。
強いて言えば繁華街でのスマホ歩行ナビに関して今以上の精度アップが望まれるが、これの誤差情報をわざわざ準天頂衛星から受信する必要があるのか、というのも疑問。スマホは通信機器なんだから。
我が国が自前でGPS衛星を飛ばすことについては必ずしも全否定するつもりはないが、みちびきが売り物にしている機能の有効性については疑問が残る。
今年10月に4号機の打ち上げが成功した準天頂衛星「みちびき」は来年18年度より本格運用が始まる。
この衛星については漠然と「国産GPS」「GPSの精度が良くなる」程度の認知しかないと思われるが、その実情をみてみると結構問題がある。
詳細は非常に技術的になるし私も専門分野ではないので、簡単に書く。
1.位置情報精度
そもそもGPSからの信号だけでは精密な位置情報は得られない。
複数の衛星との距離を信号到達速度から測定し、位置を割り出すのだが、単純な言い方をすれば衛星と地表にある大気の揺れで誤差が出る。その狂いは時に100m以上になることもある。
この誤差が現在どのくらいあるかを定点で測定し、その値を補正することでより正確な位置情報が得られる。これはかなり以前から行われている。
GPS受信器は衛星からの信号と補正信号の両方を受信し誤差数mレベルの正確な位置を表示する。
補正信号は、古くはFM多重、現在は海上保安庁のビーコンと気象衛星ひまわりから送られている。
みちびきは国内1300ヶ所の測定所で計測したより精度の高い補正情報を衛星から発信することで、その誤差を数cmレベルまで向上することができる。
但し現在の補正による誤差(数メートル)はカーナビレベルでは実用上まったく不都合はない。
カーナビは車両走行軌跡とマップデータをマッチングさせて補正する。
では、一体どのようなアプリケーションに誤差数cmが求められるのか?
一般には自動運転車と言われている。たしかに自動運転車は寸分の狂いもなく交差点を曲がらなければならない。
しかし、実際には自動運転車はGPS位置情報だけでは運行できない。地図、地形データの情報はリアルタイム情報ではない。そこが工事で規制されていたとしてもそれを回避できない。
昨日の情報をたよりに目隠しで道を歩くようなものだ。したがって自動運転車は必ずカメラやレーダーなどのセンサーを必要とする。
それらセンサーが最終判断をするのであれば、GPS位置情報はカーナビ同様概ねの現在位置を把握できれば良い。
2.衛星の補足
ビル街など周りに障害物が多いと衛星の信号は受信できない。みちびきは日本の近くだけを飛ぶので、3基あればどれかがほぼ真上にいてくれるため、そうした場所でも受信できるのが特徴。
しかし現在日本では米国のGPS、ロシアのグロナスを使えるので50基以上の衛星から信号を受信でき、必ずしも準天頂衛星が必要かというと疑問が残る。
3.規格
みちびきが発信する誤差情報は日本及びその周辺でしか受信できない。
しかも、現在のGPS信号とは違う規格の信号で発信されるためGPS機器側で対応していないとその情報は受信できない。
今使っているGPS機器の精度が向上するわけではないのだ。
現在すでにみちびき対応機器が存在するが非常に高価だ。これは普及に伴ってコストダウンできると言っているが、果たして普及するかが問題。まず、日本にしか需要がない。そして最大ボリュームゾーンであるカーナビやスマホに関しては数cmの誤差が求められていない。
強いて言えば繁華街でのスマホ歩行ナビに関して今以上の精度アップが望まれるが、これの誤差情報をわざわざ準天頂衛星から受信する必要があるのか、というのも疑問。スマホは通信機器なんだから。
我が国が自前でGPS衛星を飛ばすことについては必ずしも全否定するつもりはないが、みちびきが売り物にしている機能の有効性については疑問が残る。