ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

中国偽国際免許

2018年06月13日 | 雑記
この件は前にもちょっと書いたけど、メディアもSNS界隈も非論理的な意見が溢れているからもう一回。
なお、私は偽の国際免許を認めろと言ってるわけではない。そこは論点ではないことをお断りしておく。

よく見る意見は大体こんな感じだ。
「偽の国際免許で中国人にレンタカーを運転させるとはとんでもない。日本の道路法規も知らず、めちゃくちゃな運転をする中国人に無免許で車を運転させ、事故が起こったらレンタカー会社は責任を取れるのか?国は早急に対応をするべき」

この話には独立した3つの事柄が含まれているのだが、しかしこれら論調はそれをごちゃごちゃにしているのだ。

1.中国人が持ってくるフィリピンの国際免許証が偽物であるという問題。
2.日本の道路法規を知らずに慣れない中国人がレンタカーを運転するのは危険だという問題。
3.中国人の運転は荒いので、日本で運転させるべきではないという意見。

1については、前提として彼らは中国の運転免許は持っているので無免許ではない。ただ中国は国際条約に加盟していないことから国際免許が存在しないという制度の問題が根本になる。だから偽の国際免許というものが出てくる。一方、旅行者がレンタカーを借りたいという需要は存在するわけで、実際英国、ドイツを含む多くの欧州国家、カリファルニアを含む多くのアメリカ州、オーストラリア、ニュージーランド等では規定の翻訳書があれば中国の免許での運転を認めている。日本人もハワイなら国際免許は不要。
我が国が中国からの観光インバウンドを重視するなら欧米豪のような処置をして法的な問題をクリアすればいいし、それよりも偽免許問題に厳格に対処するというなら中国人のフィリピン国際免許での運転を禁止すればいい。

2についてはそのとおりだが、どこの国の人間であろうが関係ない。そもそも国際免許というものは免許証の翻訳書であり、その取得にあたって外国の交通法規の試験や講習などまったくないのだから、どこの国の人間であろうが皆日本の交通法規なんか知らずに運転している。実際、沖縄では結構外国人による事故が発生しているようだが正規の国際免許で運転している台湾、香港、韓国からの観光客で9割だそうだ。これを問題にするなら国際免許での運転は一切禁止にするべきだろう。

3については一般論として運転が荒いことは事実だが、それをもって全体に適用するのは差別的だろう。黒人は犯罪率が高いから宿泊禁止なんて言ったら大問題になる。それと本質的に同じことを言っている。

つまり、理屈的には2.3は問題とは言えない。存在している問題は1の「国際免許がどうやら偽物である」、ということだけ。運転免許自体は持っているが、制度的に必要となる国際免許が偽物だということ。
(蛇足だが、中国の免許で正式に日本で運転する方法はある。香港は中国の免許保有者に対して香港の免許を無試験で交付している。香港免許を取得しその国際免許を持ってくれば100%合法。中国人が香港免許を取得するためには2回香港に行く必要があり手間がかかるのでこの方法は一般的ではないようだ)

一番の解決策は他国のように中国の運転免許があれば運転できるようにすることだが、政府は踏み切らないだろう。
まず、中国ということで感情的な反対論が噴出する。韓国は済州島に限り中国免許での運転を認めたが、そのときもかなりの反対論があったらしい。
許可することで交通事故死者が出たりしたら叩かれる事は必至。しかも、事故というものは必ず起きる。日本人による海外でのレンタカー対人死亡事故だって発生している。そんなリスクを役所がとるはずがない。

そんなことで、問題だ、問題だというばかりで今の状況から全く何も変わらない状態が続くんだろう。


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