続き
後方、裏岩菅山
アルペンムードに一変した尾根上を踏む足元はイソギンチャクの様な霜柱が頭をもたげ枯草には霧氷がビッシリ付着して11月も初旬だと言うのに既にキンキンの冬だった。 展望は雲が多く全体に薄く煙りがちで余り良い条件とは言えないが今まで木々に隠されていた東側の景色も開け、その中には馴染みの榛名山の姿が有った。
(それにしても私の格好! どうぞ遠慮せずお笑い下さい)
今まで高度を稼がなかった分を取り戻すかの様な階段登りは思いの外、きついアルバイトだったが増々広がる景色に気を紛らわせて何とか登り切った山頂は三角点も秩父宮様の登山記念碑も社も全てが寒風の中に凍てついている。 何はともあれ強風を凌げる小屋に飛び込んだ。
が、小屋の中も頭がキーンと痛くなる程、冷えている。 ストーブで暖をとり、やっと一段落
お腹も満たされ体が温まったところで外に出てみると、まさか誰も居ないと思った山頂に若い男性が一人、寒そうに、だが満足そうに坐っていた。 何時の間にか西側の雲が切れて白銀に輝く北アルプス群が遠望され、その前に青く頚城の山々が連なっているのが見える。 この迫力がどこまで伝わるか分からなかったが大急ぎでその雄姿をカメラに収めた。 雲が左に移動すると天を衝く槍ケ岳が加わり増々雄大さを増していく景色に惜しげも無くフィルムを消費していた。
残念ながら苗場山や鳥甲山方面は厚い雲の中に在り最後まで姿を見せる事はなかったが右に目を転じて行く先に富士山の姿を捉える事が出来たのは何よりも嬉しかった。 こうして若者を交えて三人、強風に震えながらしばし眺めていたが寒さに膝がガクガク震えだし再び小屋に逃げ込んだ。
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アライタ沢で一休み
どでかいツララを持って一寸おふざけ シザーハンズでござりまする
帰路は終始、右に岩菅山が視界に在った。その名が示す様に菅笠の形で坐している。林道に降り立つまで登頂の出向かえが出来なかった分を詫びるかのように何処までも何処までも見送ってくれた。そして私達が林道に降り立った時、役目を終え安心したかの様に湧き上がるガスに姿を消した。
志賀林道より笠ヶ岳を望む、右後方に北アルプス
スキー場を張り巡らす岩菅山は自然の姿が失われた山と言うイメージが強くリストから外していた山だったが、いざ登ってみると此処が観光地のど真ん中に在る事を忘れてしまう程 寂峰の趣きに満ちた山である事に改めて奥志賀の良さが実感できた今日の山行だった。
日帰り温泉→発哺温泉は2時までの為 草津の大滝の湯で一浴