1010 Radio

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グルジア・アブハジアへのPKO派遣、原則論を通すロシア

2009-06-18 | ラジオ
グルジア・アブハジア地域に派遣されてきたPKO部隊の活動任
期が16日に切れた。
前日の国連安保理会合で延長決議を採択できなかっためだ。
これによって3ヶ月以内の撤収に向けた作業が始まる。
これは非常に大変残念な出来事と言えるだろう。
PKO部隊の活動は幾らかの停滞はあったものの、地域の安定化
にある程度寄与してきた。

とりわけグルジアとアブハジアが軍事衝突した後の90年代はそ
うだ。
安保理協議ではアメリカ、イギリス、フランスが提出した、任期延
長の決議案に対し、ロシアが拒否権を発動した。
文書の記載が昨年8月の、南オセチア紛争後に変化した地域情勢
に合致していないというのがその理由だ。

具体的にはロシアがアブハジアを独立承認しているにも関わらず、
部隊の正式名称がグルジア駐留国連ミッションとなっていることだ。

政治に関係の無い人であれば、ロシアの主張は詭弁に聞こえるだ
ろう。
しかしここに内幕が隠されている。
名称をそのままに任期を延長することは、ソ連崩壊後ほとんど存在
してこなかったグルジアの領土保全を確認し、アブハジアや南オセ
チアの独立を否定することになる。

ロシアは駆け引きをしたいわけではない。
ただ昨年両国の主権を承認した以上、この様な立場を堅持しなくて
ならないのだ。
政治軍事分析研究所のマルケドノフ氏は、カフカス地方の安全はグ
ルジア・アブハジア国境における新たな安全保障体制でのみ可能だ
。従来通りではダメなのだと語っている。
「欧州安保協力機構及び国連の派遣部隊、またその委任状は90年
代の状況に基づいている。
国際部隊には変化が求められている。別の歴史認識に基づいている
以上、価値を失ってしまっているのだ」
専門家のマルケドノフ氏は、この様に述べている。

安保理でロシアが理事国に示したのもこの一点だ。
さらにロシアは拒否権を出すだけではなく、歩み寄りのため妥協案ま
で提出している。
このことに付いてロシアのチュルキン国連大使は次の様に発言してい
る。
「ロシア側は新たな手続きで任期を延長する用意があると発言してきた。
もちろん1ヵ月ほど集中的な協議が必要だろうとは思う。友愛な政治的不
純物なしで決定するべきだったが、我々のパートナーは薬より毒を選んだ。
その点に遺憾を表明したい。昨年8月以降、何度安保理会合が開かれた
かは憶えていないが、グルジアの領土保全を支持する国から南オセチア
侵攻への非難の声が挙がったことは一度としてないのだ」
チュルキン国連大使はこの様に発言している。

もちろん15日の協議でもそんな非難の声は聞かれなかった。
ロシア外交はあくまで原則論に則った態度を示したに過ぎないのだ。

6月16日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル