中東和平に向けた努力が活発化している。
中東問題担当大統領特使を務める、ロシアのサルタノフ外務次官は
中東和平に向けたプロセスを推し進めるため、シリアとレバノンを訪
問した。
サルタノフ外務次官はシリアとレバノンで政府指導部と会談を行った。
とりわけレバノンでサルタノフ外務次官は、国内勢力間のコンセンサ
スを基礎として、レバノン情勢を正常化することにロシアは関心を抱
いていると述べた。
また次官は長期に亘る危機的状況の打開は、レバノンの全ての宗派
を納得させるものとなるべきだとの見方を示している。
今回の会談ではモスクワでの国際中東和平会議の開催に関する問題
が、中心的議題となったが、中東和平会議の招集は包括的な性質を持
つ、中東和平への道、そしてパレスチナ、シリア、レバノンなどあらゆる
方向での協議プロセスの再開に向けた、一段階となるだろうと指摘した。
さらに今回の会談では協議再開に向けた動きに、刺激を与えていくこと
で合意が交わされた。
今回のシリア、レバノン訪問を総括してサルタノフ外務次官は、中東情勢
は複雑化している。
中東和平仲介4者をはじめとした国際社会は、地域の政治情勢正常化に
向けリセットを行うという強い決意を表している一方、当事国は協議開始を
邪魔する意見の対立を解消することが出来ずにいる。
特にイスラエルとパレスチナは、依然として妥協点を見出せずにいると指
摘した。
イスラエル。パレスチナ間の対話は、2008年末に中断されたままとなって
いる。
その原因はヨルダン川西岸で、ユダヤ人入植地の建設が継続されている
ことだ。
このユダヤ人入植地の建設を、全面的に中止するよう求めるパレスチナに
対し、イスラエルは一時凍結に関する協議を行うことにしか同意していない。
こうしたなか国際仲介役は、こうした両者の対立を解消することを自らの課
題に据えている。
これに付いて先週ロシアのラブロフ外相は、ロシアの声からのインタビュー
に応えた中で次の様に述べている。
「ロシアと緊密な関係にあるイスラエルのネタニヤフ内閣は、前政権よりも
さらに厳しい立場を占めている事から、協議を再開させるための一層大きな
努力が必要となっている。
しかし我々はアメリカの特使それにロシア、EU、国連の特使達が地域で行っ
ている活動を、支持すべきだと言う考えで一致している。
一方これと並行してパレスチナ国内の、再統一に向けた作業も進められてい
る。
サルタノフ次官は、つまりこれはPLOの主流派であるファタハと、イスラム原理
主義組織ハマスの対立を取り除き、両者を接近させることだと強調している。
ファタハとハマスの合意が無ければ、パレスチナ国内の情勢を正常化させるこ
とも、政治経済を復興させることも不可能だ。
そしてこの合意が無ければパレスチナ、イスラエル間の対話も始まらないのだ」
10月20日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル