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北極海航路が世界のロジスティックスを切り開く

2011-09-28 | ラジオ
シベリア有数の港町であるドゥディンカでは、北極海を航行する船舶のための国際通行管理センターが作られた。
最初にこのセンターを通過したのは、ディーゼル電気船ザポリャールニイで、この強化された砕氷船は、コラ半島からロシア北西部や中国の上海に鉄鋼を運ぶ業務に従事している。
この船、ザポリャールニイが上海に到着するためには19日から20日掛かるが、もしもこれまで通りヨーロッパからスエズ運河を、経由するルートを取るとなれば、およそ65日間も掛かってしまう。
そのためドゥディンカに国際通行管理センターが設けられたことによって、北極海航路の整備が進み、リードタイムが短縮されることとなる。

ただ気象条件が航路に影響を与えるのも事実で、北極南極学術研究センターのソコロフ専門家は、北極圏の厳しい気象条件に付いて次のように話してくれた。
「北極海航路の問題というのは流氷が大量に存在しているということだ。確かに流氷が無くスムーズに航行できる時期もあるが、一年の内たったの1ヶ月か多くても1ヶ月半だ。それ以外の時期には砕氷船が必要となる。
ムルマンスクを母港とするロシアの原子力船団は、自らの課題をしっかりと遂行している。航行に必要な出力を十分に持っているのだ。

世界に存在する原子力砕氷船10隻のうち、なんと9隻までがロシアに所属している。2012年から2020年にかけてはさらに、5隻以上の新世代の原子力砕氷船が建造されることになっている。
エキスパートであるソコロフ氏は、外国からも北極航路への関心が高まっていると指摘している。
「国際社会は北極海航路の活用の可能性を検討している。EUも北極航路の研究を行う国際機関に資金援助を行っている。
現在、大型船舶が通過する度に多くの注目が集まっており、活用の将来性に関する分析が行われている」
ソコロフ氏は、このように話してくれた。

また北極航路は北極海の天然資源の開発にも、大きな役割を果たすと期待されている。ロシアの大陸棚にある資源は、石油換算で1000億トンに上ると見られており、石油や液化天然ガスLNGとして、アジア太平洋諸国への輸出が検討されている。
ロシア大統領府のナリシキン長官は、VORの記者に対して次のように述べている。
「アジア太平洋諸国とのエネルギー協力の発展は、ロシアにとっても戦略的な重要な意味を持っている。
アジアでのエネルギーの需要は、ヨーロッパよりも格段に急速に高まっているのだ」
ナリシキン長官は、このように述べている。

エネルギー会社は西暦2020年までに、北極海ルートを経由する輸送を6400万トン、2030年までには8500万トンにまで増やす計画を打ち出している。
その意味で北極海航路の開発は、世界のロジスティックスに新しい時代を切り開くこととになるだろう。

9月20日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル