Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

話ス・聞ク

2009-04-25 17:41:08 | 考えの切れ端
今日は、この言葉について書いていきます。

「話の内容というのはさして大切なものではないんです。
大切なのは、信頼をもって話し、共感を抱いてそれを聞く、そこにあるんですよ」
・・・『草の竪琴』P70 カポーティ 新潮文庫

カポーティの小説の中の言葉です。
これは、コミュニケーションにおいて一つの、
ある意味では特殊というか根源的な部分での理想です。
実は、話の内容というのも大事なんですよね。
情報交換、意見を戦わせて切磋琢磨することができる。
なぜ、話の内容が大切ではないとここで言っているのか。
それは、それ以前に、人間愛について述べているからです。
話をする二人の結びつきを強める効果が、
この言葉どおりの行動によって得られるでしょう。
また、話の内容に誤りや見当違いなことが含まれていても、
口論や強い批判をせずに、返答することが出来ます。
それに、「信頼をもって話し、共感を抱いてそれを聞く」ということによって、
話をするその内容に意識的にも無意識的にも攻撃や防御をちりばめることはなくなるし、
聞く姿勢に、話す人の脳の状態に自分の脳の状態も近づける効果が
生まれるんじゃないかと思います。
つまり、話す相手に対して「自分のことをわかって欲しい」というスタンスと、
話手に対して「できるだけあなたのことをわかりたい」というスタンスが出来上がる。
というところに、話の内容は二の次という意味が浮かび上がってきますね。
まぁね、内容があればなお良しなんでしょうが、そうでなくても良いんだよ、
ってわけですから、難しいことじゃないはず。
そうやって、建設的な関係というものが築けるんじゃないでしょうか。
愛につつまれた関係、幸せな関係になれるような気がしませんか。
「信頼をもって話す」ことに必要なのは、
嘘をつかないこと調子に乗りすぎないこと、
「共感をもって聞く」ことに必要なのは、
疑わないこと馬鹿にしないこと、なのかもしれません。
しかしね、これって誰に対しても、たとえば初対面の人とかに対して
して良い行為なのか、ちょっと気をつけなければいけないところがあると思います。
下手すると詐欺にあっちゃいますな。騙されてしまうかもしれない。
そういうマイナス面があるからこそ、響く言葉なのではないでしょうか。
ね、理想でしょ、一つの。
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