Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『回転木馬のデッド・ヒート』

2009-06-19 20:52:39 | 読書。
読書。
『回転木馬のデッド・ヒート』 村上春樹
を読んだ。

最近、村上春樹さんは新作の長編を発表されましたよね。
『1Q84』っていう、二冊組みの長編。すごい売れてるみたい。
このあいだ札幌に行った時に、二軒の本屋になんとなく入ってみたら、
どっちの店でも売り切れでした。重版できしだいうんぬんと書かれてもいた。
読みたいなぁとは思うけど、文庫待ちかな。村上春樹さんの本は
かなり読んでいて、残るところ僅かなのかもしれないので、
新刊で買って読んでもいいんですけどね。
『海辺のカフカ』も文庫で出るのを待ったけど、あの頃に比べて
村上春樹さんの作品に触れた頻度と度合いは深まっている。

さて、今回読んだ『回転木馬のデッド・ヒート』は、短編集です。
まぁ、短編集とはいっても、村上さん曰く、これは「話の大筋は事実」だとして、
小説と呼ぶことについて、いささか抵抗がある、なんて書かれてはいるんです。
でも、「本当?」って思っちゃうような話ですよ。創作でしょ?
そういう「お断り」自体がフィクションだろうと疑って考えてしまいます。
やっぱり文章が上手い人だと思わせられます。たまに村上春樹さんの文章や文体に
接しておかないと、なにか落ち着かないというか、物足りないというか。
春樹さんの文章を読むということは、「お手」と「おかわり」の区別がつかない犬が
ご主人の上手な教え方によって、やっとそれがわかったという時に似た、
簡単な問題へのクリアな思考をもたらしてくれるようなところも、一部あります。
そして、犬に(それも雑種に)よくあるように、また「お手」と「おかわり」を
忘れて元に戻るっていう感じもあって、また教えて~っていう気持ちになったりする。

…って、僕は犬かい。

それはそれとして、それなりの満足感を与えてくれる本です。
文庫なら読んでもいいよね、って感じだったかな。
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