Fish On The Boat

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『現代アートビジネス』

2013-10-12 00:18:31 | 読書。
読書。
『現代アートビジネス』 小山登美夫
を読んだ。

現代アートと聞くと、よくわからない構図の絵だとか、
実験的なのかなとも思える「試み」のような作品だとかが思い浮かびます。
本書に出てきたので言えば、ガムを天井から床まで伸ばして、
それが作品であるというような。
また、現代美術の世界的アーティスト村上隆さんの、顔のある花とか
ミッキーマウスみたいな耳をした子だとか、オタク系のフィギュアだとか、
きっと現代を厳しい眼で見て抽出したものから作ったのかもしれないですが、
普通のデザインとか、大量生産品だとかに感じてしまうことがあります。
(でも、アンディ・ウォーホルが缶詰のデザインがアートなのだし、
今見てそう感じるんだから、「現在」の視点が僕には足りなくて読み取れていない
という可能性が非常に高いです)

そういう現代アートとは何で、どうやって評価されて、どれだけのマーケットがあって、
どう取引されているか、というようなことを教えてくれる本が本書でした。
まるで知らない新世界だったので、とても新鮮に面白く読めました。

そんな中、「良い/悪い」「好き/嫌い」「売れる/売れない」はまったく別だと
書かれていて、はっとしましたねぇ。
また、作品の広報・宣伝がすごく大事だし、どのギャラリーに置いてもらうかも
大事なところだっていうのも、僕にはちょっと忘れている視点でした。
ギャラリーにもギャラリーの色があって、その中でどう輝けるかというのがあるんですよね。
場所を選ぶことも大事だということです。

著者はギャラリストで、アーティストとはパートナーのようにやっていく存在のようです。
商売のことも考えていて、それについても、アーティストは考えなくてはならないこともあるようですね。
ただ、小山さんのようなスタンスで(アーティストの創造する部分を大事にするスタンス)
商業面についてアドバイスなり頂けるなら、嫌味じゃないというか、世知辛くないというか、
そんな感覚でアーティストの人は考えられるんじゃないかなぁと思いました。
やっぱり、コーディネーターみたいな人は、性格と考えの基盤に何があるかなんですよね、
そこで相性がよくなかったら、物を作る側の人は不遇になるんじゃないかな。

知らない芸術家や著名人が多数出てきますし、わからない言葉も出てきますが、
それでも、さらーっと読めてしまう、面白い本でした。
帯には、「カリスマ書店員が本音で選んだ最高に面白い本第一位新書部門」と書かれていました。

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