Fish On The Boat

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『いちから聞きたい放射線のほんとう』

2014-10-17 20:35:34 | 読書。
読書。
『いちから聞きたい放射線のほんとう』 菊池誠 小峰公子
を読んだ。

震災、そして福島第一原発事故からもう3年半が経ちましたが、
いまでも放射線についてまったくわからないだとか、
不安でしょうがなくて毛嫌いしているだとか、
そういう方々はいらっしゃると思うのです。

復興のようすもよくわかりませんし、
きっと遅れているのだろうと思っています。
そして、放射線の存在によって傷を負った、
多くの日本人のこころの復興もまだ完了していないのではないでしょうか。

本書は、放射線とは何かというところから出発して、
積極的に、みなが知りたいトピックについて、
平易でわかりやすい言葉によって回答してくれます。
対談形式で、日常の言葉にちょっと専門的な固有名詞が挟まるといった程度で、
原発事故を気にかけたり、日々ニュースを見てきたけれどよくわからないでいた
というような人たちにはうってつけの本になっているように読めました。
テンポよく、うまく要約された文章のように、キーポイントをおさえて
短いセンテンスで答えてくれるので、せっかちな人だって
ちゃんと読み終えて知識を得ることができそうです。

赤ちゃんは産めるのか、被ばくによって損傷した遺伝子は遺伝しないのか、
そういった不安に対して、
「赤ちゃんはちゃんと産めます!」
「遺伝はしません!」
ときっぱりと答えてくれたところなんかは、
本書の一番の称賛に値するところかもしれない。

放射線なんていうものを理解するには、
難しい専門的な本じゃないと無理かもしれないですし、
放射能関連の本を2,3冊読んだ僕でも、この分野には、ぼやぁっとしていたりします。
それでも、実生活に影響があるのだから、と切実な人は言うまでもなく、
なんとなく知っておいた方がいいんだろうけど、読書苦手だしという人でも、
きっと読んでいけると思いながら、読了しましたし、その後には、
幾分、放射能についてクリアな視点がもたらされたような気がしています。

そんなわけで、
放射能の不安を不安のままにしていたくない人、
疑心暗鬼になりたくない人にはとくにおすすめです。
というか、みんな読んだらいいなぁと思える本でした。


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