Fish On The Boat

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『砂漠化ってなんだろう』

2014-11-20 12:58:24 | 読書。
読書。
『砂漠化ってなんだろう』 根本正之
を読んだ。

砂漠とそうでないところの、
「際」の部分をみつめるような、砂漠化の本。
おもに植生、つまりそこにどんな植物が根付いているのかを
クローズアップして、砂漠というものを説明してくれている。

2007年の本で、その当時のデータですが、
砂漠化していたり、する寸前だったり、しやすかったりする、
乾燥、半乾燥、乾燥半湿潤地帯には、8億5000万人もの人が
生活しているそうです。
そういう頼りない植生地帯に暮らすことは、そんな多くの人々が、
貧困に直結する環境に置かれてしまっているということだと思います。
本書ではその環境から脱する処方箋を記すばかりではなく、
砂漠化してしまうメカニズムを知ることで、
砂漠化をさせないようにしていこうとする志向性が強いです。

砂漠、砂漠といって、あなたの頭にはどんな景観が浮かびますか。
細かくて黄色い砂、砂、砂の景観でしょうか。
昼は暑くて、夜は寒く、緑の見受けられない土地。
しかし、どこかにオアシスと呼ばれる水たまりと緑の小さな地帯があったりする。
そういうイメージが多いと思います。
ところが、そういう砂砂漠と呼ばれる砂漠は、
全世界の砂漠の1/5に過ぎないそうです。
岩石が多かったり、硬い土地だったりして植生が貧しいという砂漠のほうが
よっぽど多いようなのです。

なぜ砂漠化するか。
自然環境の変化もそうですが、
この本では人工的、人為的な自然環境への負荷によっての砂漠化を
多く取り上げていました。
とくに遊牧民が国の方針で定住化させられて、
家畜のヤギやヒツジによってその土地が丸裸になり、
砂漠化していく過程が紹介されて、
それが悩ましい問題だと書かれていました。
また、土地のかんがいによって、塩害に見舞われて、
使えない土地になり砂漠化するという例もありました。
地下に塩類が濃くたまっているのを、
かんがいによって吸い上げられてしまったりするんだそうです。
なかなか単純なことではないみたいです。

都市砂漠として、東京副都心も取り上げられていて、
「この東京さばく~♪」なんて昔の歌がありましたが、
あれは詩的な表現だけじゃなくて、
学術的に正当な言い方でもあるんだなと知りました。

環境問題で生態系が変わる、絶滅種が増えて多様性が低下する、
などが言われることですが、
そういうことを突き詰めると砂漠化だと思うので、
それを防ぐということは、環境破壊に歯止めをかけることなので、
ちょっと知っておくのもいいんじゃないかなと思っての読書でした。
そんでもって読んでみると、
みんなに読んでもらいたくなるものなんですよねぇ。


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