Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『せんせい。』

2015-04-09 10:45:55 | 読書。
読書。
『せんせい。』 重松清
を読んだ。

学校の先生が主役や大事なわき役となって登場する
六篇の物語集。短編集です。

重松さんの書く話は、
年を取って読むたびに沁みる度合いが深まるように感じます。
人生経験の多寡によって、印象が変わるような小説なのかもしれない。
今作も、ぐんと沁みて、目に涙が滲んで、
その熱さを感じるような作品が多かったです。

また、読みながら、自分と教師という関係について、
振り返りさせられるようなところもあるんです。
僕はそういえば中学校は野球部で補欠だったけれど、
ぞんざいな扱いだったなぁとか思いだすわけです。
それで、その顧問の教師と20年以上たって、
道端で出くわしたことがあるのですが、
きっとあの先生は、この小説で書かれている
先生のように自問して悩んだりはしないだろうなぁと
残念に思いもしました。

そして、不当な窮地に立たされている、
つまり端的なもので言えばいじめだけれども、
そういう立場に立たされた子どもを思うと、
憤りとともにどうにかしてやりたいなと強く感じます。
そこを、うまく小説で、現実の苦みもとりいれた内容で書いているのが、
重松さんなんですよねえ。
本作では、とくに、「ドロップスは神さまの涙」という作品が
ぐぐぐっときました。

重松さんはもうメジャーな作家ですが、
もっと大メジャーになって読まれると
もっといいよなと思わせられる人です。


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