読書。
『かわいそうだね?』 綿矢りさ
を読んだ。
表題作と「亜美ちゃんは美人」の2編を収録した文庫版です。
女流作家のえがく「女性の世界」の小説なので、
オトコからすればある意味、「秘密のベールの内」をのぞくような
読書体験になるのですが、
しかし、そういう「女性世界のおもしろさ、新奇さ」で売る作品ではなく、
その内容・中身に価値があるので、人間学を深めているような、
それも女性学を深めているような感覚を持ちながら楽しめました。
綿矢さんは、初期の『インストール』や、
以前読んだ『勝手にふるえてろ』にくらべると、
完全に目が据わっている印象をうける小説家になられたようだ。
もうこれでいくしかないのだ、と腹をくくったように読めました。
そして、才能もあるんだけど、
才能で書くというのを乗り越えたような書き方にも見える。
表題作のほうは、いわゆる三角関係ですが、
そういうところよりもぼくはわりと構造のほうに目が行ってしまって、
挟まれる主人公・樹里恵の仕事のシーンのシークエンスが、
どうしてあそこまで軽く流さずに描写するのかが気になったのです。
最後まで読み終えると、やっぱりあのシークエンスがあったから
クライマックスが映えたかなと思えるのです。
山と谷の部分でいえば、谷であり、ジャンプ台なんですよね、
そこで谷の部分でありながらも濃密さを高くしてる。
そういう筆力と計算が功を奏しているように読み受けました。
「亜美ちゃんは美人」のほうも面白かったです。
こちらも出し惜しみせずに、100ページくらいのなかに、
長編のために引き延ばせそうなパーツをちりばめているように読めた。
高校のシーンもそうだし、大学のシーンもそうだし、
もったいないくらい、おいしい部分をドンと使っています。
女子カーストしかり、美人の亜美ちゃんに怯えをみせたからこそ信用できた
山岳部の連中と彼らとの関わりしかり。
そして、そういうおいしいパーツを使いながら、
後半のバーでのやりとりや亜美ちゃんが部屋にくるところなどで、
著者は自らの腕っぷしをみせてくれるんです。
そういうところは力が入っていて深みと強さがあります。
おもしろい哲学が見えるんですよね。
そしてラストは堂々と盛り上がっています。
やるなぁって思う。
ぼくも短いのを三作品書いてみたことがありますが、
やっぱり作品の後半の部分はこの小説に限らず、
どんなものでもたいていは参考になりますし、
すごいな、そこなんだよな、って勉強になる。
アタマではちょっとわかってきている。
それはそれとして。
ぼくはさいきん、乃木坂46の生田絵梨花さんを、
びっくりするくらいほんとうにすきになったのですが、
「亜美ちゃんは美人」に照らして考えると、
美人のいくちゃん(生田さん)にたいして、苦い思いをしてしまう、という。
むやみに他人のこころを探るのはよくないんですが、
どうなんだろうと腕組みをしてしまいます。
それと、こんな名言的な一文もありました。
一部改変してありますが、こんなのです
________
自分自身が満たされれば、友人への嫉妬もなくなるのだ。
________
そうなんだよね、嫉妬があるとき、なくなるときって。
『かわいそうだね?』 綿矢りさ
を読んだ。
表題作と「亜美ちゃんは美人」の2編を収録した文庫版です。
女流作家のえがく「女性の世界」の小説なので、
オトコからすればある意味、「秘密のベールの内」をのぞくような
読書体験になるのですが、
しかし、そういう「女性世界のおもしろさ、新奇さ」で売る作品ではなく、
その内容・中身に価値があるので、人間学を深めているような、
それも女性学を深めているような感覚を持ちながら楽しめました。
綿矢さんは、初期の『インストール』や、
以前読んだ『勝手にふるえてろ』にくらべると、
完全に目が据わっている印象をうける小説家になられたようだ。
もうこれでいくしかないのだ、と腹をくくったように読めました。
そして、才能もあるんだけど、
才能で書くというのを乗り越えたような書き方にも見える。
表題作のほうは、いわゆる三角関係ですが、
そういうところよりもぼくはわりと構造のほうに目が行ってしまって、
挟まれる主人公・樹里恵の仕事のシーンのシークエンスが、
どうしてあそこまで軽く流さずに描写するのかが気になったのです。
最後まで読み終えると、やっぱりあのシークエンスがあったから
クライマックスが映えたかなと思えるのです。
山と谷の部分でいえば、谷であり、ジャンプ台なんですよね、
そこで谷の部分でありながらも濃密さを高くしてる。
そういう筆力と計算が功を奏しているように読み受けました。
「亜美ちゃんは美人」のほうも面白かったです。
こちらも出し惜しみせずに、100ページくらいのなかに、
長編のために引き延ばせそうなパーツをちりばめているように読めた。
高校のシーンもそうだし、大学のシーンもそうだし、
もったいないくらい、おいしい部分をドンと使っています。
女子カーストしかり、美人の亜美ちゃんに怯えをみせたからこそ信用できた
山岳部の連中と彼らとの関わりしかり。
そして、そういうおいしいパーツを使いながら、
後半のバーでのやりとりや亜美ちゃんが部屋にくるところなどで、
著者は自らの腕っぷしをみせてくれるんです。
そういうところは力が入っていて深みと強さがあります。
おもしろい哲学が見えるんですよね。
そしてラストは堂々と盛り上がっています。
やるなぁって思う。
ぼくも短いのを三作品書いてみたことがありますが、
やっぱり作品の後半の部分はこの小説に限らず、
どんなものでもたいていは参考になりますし、
すごいな、そこなんだよな、って勉強になる。
アタマではちょっとわかってきている。
それはそれとして。
ぼくはさいきん、乃木坂46の生田絵梨花さんを、
びっくりするくらいほんとうにすきになったのですが、
「亜美ちゃんは美人」に照らして考えると、
美人のいくちゃん(生田さん)にたいして、苦い思いをしてしまう、という。
むやみに他人のこころを探るのはよくないんですが、
どうなんだろうと腕組みをしてしまいます。
それと、こんな名言的な一文もありました。
一部改変してありますが、こんなのです
________
自分自身が満たされれば、友人への嫉妬もなくなるのだ。
________
そうなんだよね、嫉妬があるとき、なくなるときって。