読書。
『東大准教授に教わる「人工知能ってそんなことまでできるんですか?」』 塩野誠 松尾豊
を読んだ。
人工知能の研究者である東大准教授と
博識なビジネス戦略家の対談本。
最近、劇的に伸びてきている印象の人工知能の分野。
将棋の世界でトップ棋士を打ち破ることが当たり前になったり、
アメリカではクイズ王がその得意なクイズで人工知能に負けたり、
はたまた、ビッグデータの解析だ、ディープラーニングだ、
仕事を奪うだの、人間を超えるだの、そのうち人間を支配するだの、
いろいろと注目を集めていますよね。
人工知能は、それを作っていく時に、
まず人間に似せるか違うものにするかの選択肢があるといいますが、
人間に似せるほうを選んだ場合、
人工知能の研究が人間自体の研究にもなっていく、それもかなり深いところまでも。
ゆえにその研究者が人間の認知だとか脳や心理に、
相当通じるようになる。
これは人間をいろいろ総合的に知るのに良い、
面白い分野だと思いました。
優秀な人工知能の登場により、
教育が変わり、
交通が変わり、
医療が変わりなどしていくだろうと予測されています。
つまり、社会が変わっていき、
常識も劇的に変化していくだろうと見通されていました。
本書の対談によって、
それらが浮いた話などではなく、
現在と地続きで、近く到来する未来、
それも議論されているものとの誤差はそれほど大きくはなさそうな形でやってきそうだ、
とその理路や知識情報からうまく納得させられるようにそう感じました。
とはいえ、いつも未来というものは、
予想したそのものの通りにはいかず、
けっこう違うものとなって現実になっていくような気がします。
はたして、本書で語られたことがどこまで実現するか
本当のところはわかりませんが、
AIの研究がどういう道筋の上にあるかを知るにはうってつけだと思いました。
また、面白かったのは、
AIに対して、宇宙派と地球派という二種類の態度があるというところ。
地球派は、あくまで人間が主役で、AIを人間がうまく使っていこうとする。
一方、宇宙派は、生物の進化において人間が最終形態ではなく、
人間はAIを生みだしたのちそのヒエラルキーの頂点をAIにゆずるものだ、
つまり、人間はAIを作り出すための過程としての存在である、
AIを作るために生まれたのだ、とする。
僕はこの宇宙派の考えは「もしかして??」としてあたまに浮かんでいたので、
やっぱりそういう考え方ってあるんだね、
それも、大きな派閥として二分されているうちのひとつとしてあったんだね、
と大きく頷きました。
AIが今以上に進化したときに、
いったい、宇宙派と地球派のどちらが正道になるかわかるでしょうが、
2045年問題の話もあるくらいですし、
それはそう遠い未来でもないかもしれないですね。
まあ、AIが進化して人間を脅かすのではないかという不安を持つ前に、
地球人口の大きな増加などによる気候変動、気温上昇の環境問題を
どうにかしなければならないんじゃないか、とは思うのですが……。
本書は、対談者のお二人とも知的であるし、
飛び出す言葉や概念も新しくて便利なものだったりして、
そういうのを読み知るだけで頭の中がクリアになったような気さえしてきます。
このようなのが、読書による端的な知的体験というものでしょう。
文庫化されてもいるようなので、
興味のある方は手に取ってみてください。
『東大准教授に教わる「人工知能ってそんなことまでできるんですか?」』 塩野誠 松尾豊
を読んだ。
人工知能の研究者である東大准教授と
博識なビジネス戦略家の対談本。
最近、劇的に伸びてきている印象の人工知能の分野。
将棋の世界でトップ棋士を打ち破ることが当たり前になったり、
アメリカではクイズ王がその得意なクイズで人工知能に負けたり、
はたまた、ビッグデータの解析だ、ディープラーニングだ、
仕事を奪うだの、人間を超えるだの、そのうち人間を支配するだの、
いろいろと注目を集めていますよね。
人工知能は、それを作っていく時に、
まず人間に似せるか違うものにするかの選択肢があるといいますが、
人間に似せるほうを選んだ場合、
人工知能の研究が人間自体の研究にもなっていく、それもかなり深いところまでも。
ゆえにその研究者が人間の認知だとか脳や心理に、
相当通じるようになる。
これは人間をいろいろ総合的に知るのに良い、
面白い分野だと思いました。
優秀な人工知能の登場により、
教育が変わり、
交通が変わり、
医療が変わりなどしていくだろうと予測されています。
つまり、社会が変わっていき、
常識も劇的に変化していくだろうと見通されていました。
本書の対談によって、
それらが浮いた話などではなく、
現在と地続きで、近く到来する未来、
それも議論されているものとの誤差はそれほど大きくはなさそうな形でやってきそうだ、
とその理路や知識情報からうまく納得させられるようにそう感じました。
とはいえ、いつも未来というものは、
予想したそのものの通りにはいかず、
けっこう違うものとなって現実になっていくような気がします。
はたして、本書で語られたことがどこまで実現するか
本当のところはわかりませんが、
AIの研究がどういう道筋の上にあるかを知るにはうってつけだと思いました。
また、面白かったのは、
AIに対して、宇宙派と地球派という二種類の態度があるというところ。
地球派は、あくまで人間が主役で、AIを人間がうまく使っていこうとする。
一方、宇宙派は、生物の進化において人間が最終形態ではなく、
人間はAIを生みだしたのちそのヒエラルキーの頂点をAIにゆずるものだ、
つまり、人間はAIを作り出すための過程としての存在である、
AIを作るために生まれたのだ、とする。
僕はこの宇宙派の考えは「もしかして??」としてあたまに浮かんでいたので、
やっぱりそういう考え方ってあるんだね、
それも、大きな派閥として二分されているうちのひとつとしてあったんだね、
と大きく頷きました。
AIが今以上に進化したときに、
いったい、宇宙派と地球派のどちらが正道になるかわかるでしょうが、
2045年問題の話もあるくらいですし、
それはそう遠い未来でもないかもしれないですね。
まあ、AIが進化して人間を脅かすのではないかという不安を持つ前に、
地球人口の大きな増加などによる気候変動、気温上昇の環境問題を
どうにかしなければならないんじゃないか、とは思うのですが……。
本書は、対談者のお二人とも知的であるし、
飛び出す言葉や概念も新しくて便利なものだったりして、
そういうのを読み知るだけで頭の中がクリアになったような気さえしてきます。
このようなのが、読書による端的な知的体験というものでしょう。
文庫化されてもいるようなので、
興味のある方は手に取ってみてください。