TakaPの数学日記

数学を教えていて感じたことや日常の感想などを記録しました。

数学A 集合 ド・モルガンの法則

2010年05月09日 11時01分31秒 | 数学
 離任式で久しぶりに卒業生に会うと、数学の授業で数学Aが難しいようだ。集合の単元らしい。中学校のときのように計算をするだけではなく集合というと論理が大事になるので、物事を論理的に考えなくてはならない。

 例えばド・モルガンの法則など。

(A∪B)の補集合=(Aの補集合)∩(Bの補集合)

これがド・モルガンの法則。
補集合を表す上線が表現できないので、「補集合」という言葉を使う。
この法則を証明せよと言われたらどうする?教科書などでは図で説明しているようだが・・・。

この証明を集合論の本などで見ると、

証明

x∈(A∪B)の補集合 であるから
xはA∪Bに属さない要素全体
「A∪Bに属さない」ということは「『AまたはB』に属さない」ことと同値であるから
「Aに属さない」かつ「Bに属さない」ことと同値
したがって、
xは「Aに属さない」かつ「Bに属さない」要素全体
すなわち、 x∈(Aの補集合) かつ x∈(Bの補集合)
であるから x∈(Aの補集合)∩(Bの補集合)

と、論理で証明していた。
論理が分からないと、この証明は分からない。


で、私なりに証明を考えてみた。ああ久しぶり!
背理法を使っているので、こちらでも分からないかも・・・、

証明
x∈(A∪B)の補集合 とすると
  x∉A∪Bである。

 さてxはAに属するか、属さないかの2つに1つである。
  もしx∈Aと仮定すれば、A⊂A∪Bであるから、x∈A∪Bでなければならないが、これはx∉A∪Bに反する。
  したがってx∈Aではない。2つに1つのうち一方が正しくないのだから
  つまりx∉Aである。・・・(1)  (この論理法を「背理法」という)
          
 xとBについても同様にして、x∉B・・・(2)

(1)、(2)からx∉Aかつx∉B
すなわち、 x∈(Aの補集合) かつ x∈(Bの補集合)
であるから x∈(Aの補集合)∩(Bの補集合)

したがって、 (A∪B)の補集合⊂(Aの補集合)∩(Bの補集合)

これで証明の前半が終わる。
後半は(Aの補集合)∩(Bの補集合)⊂(A∪B)の補集合を示せばよい。
それには、x∈(Aの補集合)∩(Bの補集合)として、x∈(A∪B)の補集合 であることを導く。

 ここで使われている論理に「背理法」を使っているので高校1年生の諸君にとっては難しかろう。
そういう事情で、教科書や参考書はベン図を使う。

ところで証明の後半はどうやるのかお分かりだろうか?

つづく
コメント
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