中学1年のときにわが家にもついにテレビが登場。
当時のお金で7万円。これを月賦で購入。もちろん白黒テレビ。
わが家ではテレビとラジオが同居していた。
そして中学2年の時だったろうか。
理科の先生が中心になってトランジスタラジオの組み立てキット
の紹介をしていた。トランジスタを2石使ってスピーカーを鳴らす
というものだった。当時のお金で2000円。今の2万円の価値だった。
何しろ週刊誌やラーメンが35円の時代である。
親に頼み込んで組み立てキットを申し込み、手に入れると自宅
で半田づけをし組み立ててみた。
組み立てが終わり、スイッチを入れたが、うんともすんとも
しなくて焦った。
実は、ラジオを買った生徒たちを放課後理科室に集めて、皆んなで
教え合いながら作るということにもなっていたのだが、待ち切れ
ずに自宅で勝手に組み立ててしまったのだ。
泣く泣くそこに持ち込んでみたら、トランジスタの付け方がめちゃクチャ
だったことが分かった。菊池君と言う他クラスの友人が教えてくれた。
菊池君の家にはよく遊びに行ったものだ。
トランジスタにはコレクタ(C)、ベース(B)、エミッタ(E)という極
があり、この3つを間違えて半田づけしたのだ。
説明書を読み、半田を外して付け替えた。トランジスタは熱に弱く
半田づけを素早くやらないとトランジスタが壊れてしまうというの
で心配だった。
この組み立てキットはプリント基盤に部品を半田づけするのだが、
それだけではなく、ジャンパー線といって、ビニール線
をプリント基盤の指定された所をつなぐように半田づけで
配線もしなくてはならない。
そんなことも見落としていたようだ。
半田づけの最終チェックをしてスイッチを入れ、選局ダイアル
を回すと、スピーカーから音声が流れたのだ。

鉱石ラジオの時とは違った感動があったことを覚えている。
ますます私はラジオ少年の道を歩んで行った。
つづく