10月17日にウエスティンホテル東京で開催されたカリフォルニアワイン試飲会でのセミナーが非常によかったので、少し補足しながら紹介したいと思います。

テーマは 「ソノマの多様性」
講師は、Sonoma County Vintners (ソノマ郡ワイン生産者協会)のHonore Comfort(オナー・コンフォート)会長でした。
カリフォルニアワインの産地といえば、真っ先に出てくるのは、ナパとソノマではないでしょうか?
華やかなナパに比べて、いつもその後ろに控えめに存在しているのがソノマ、というイメージが強いですが、ソノマのことをよく知れば知るほど、どんどん惹かれていきます。
ソノマ郡はサンフランシスコの北に位置し(車で1時間ほど)、ブドウ栽培地域は太平洋に面した海岸線から内陸まで広がっています(2万3500ha)。
ソノマ郡の海岸線は100kmにもわたるため、ブドウ畑は海からの影響を大きく受けます。
海からの影響というのは、風と霧のことです。
カリフォルニア州の太平洋沿岸では、海岸線から50kmくらいの幅で寒流(カリフォルニア海流)が流れていますが、海流の表層には南に回り込む北風(偏西風の一部)が吹いているため、北からの海流が南向きに引きずられます。
これを埋め合わせするため、沿岸のすぐのところから深くなっている海底から冷たい海水が湧き上がってきます(沿岸湧流)。こうした条件の場所は世界でも4箇所しかないのだとか。
そのため、カリフォルニアの沿岸付近の水温は低くなり、海面上の冷たい空気と霧が、内陸の温まった空気の上昇に引っ張られるように流れ込んでいきます。
風と霧が入り込むポイントは3つ
1)ロシアン・リバー・ヴァレー、2)ペタルマ・ギャップ、3)サンパブロ湾の北側
午後3時くらいから海岸線に出始めた霧は、PM6時になると3つのポイントから入り込み、夜になるとソノマ郡一帯を覆ってしまいます。
朝の9時頃になると霧が晴れ始め、昼までには霧が晴れてきます。
冷たい霧に覆われると、夏でも12~18℃くらいまで気温が下がります。
そのため、昼間は暑くても、夜や早朝は上着必須。レストランでは、暖炉に火を入れたり、ガスストーブを配置したりということも珍しい光景ではないようです。
よって、霧が早く入り込み、遅くまで残っている場所ほど涼しい時間が長くなります。
*ソノマのAVAを “涼しい順” に並べると下記のようになります
Green Valley > Russian River Valley > Sonoma Coast > Carneros > Bennett Valley > Chalk Hill > Sonoma Mountain > Sonoma Valley > Rockpile > Dry Creek Valley > Alexander Valley > Knights Valley

ソノマ・コースト(1,3)、カーネロス(2)、ロシアン・リバー・ヴァレー(4,5,6)のピノ・ノワールを比較
海に近い1、霧が入り込みやすい2は、クールな印象がよく現れています。
同じAVAでも、畑の場所で個性の違うワインになっているのがわかります。

ブドウ生育期の昼間は日照に恵まれ、雨も少なく、夜間に気温が下がる ということは、ブドウにとっては最高の環境です。
酸を保ちながら糖度がゆっくり上がり、ハングタイムが長くなるため、複雑味のあるフレーバーのブドウを得ることができます。
よって、もっと内陸に位置して気温が高くなるナパとは違う個性のワインとなります。
ワインへの影響は、海からの冷たい空気と霧だけではありません。
海底のプレートとプレートがぶつかり、海底火山の噴火などもあり、海岸線から内陸に向けてぐいーっと土地が寄せ上げられました。
その後の侵食で削られた箇所もあり、山脈あり、谷あり、平地あり、と、地形も地質も多様で、狭い範囲でさまざまなマイクロクライメットを生み出しています。
つまり、ソノマでは、場所と土壌タイプに適したブドウが選ばれて植えられています。
霧の動き方、地形、土壌タイプ を知っていると、ソノマのワインが見えてきます。
とはいっても、そこまで辿り着くのは大変ですが(笑)

明日は以前ソノマを訪問した時の画像をいくつか紹介したいと思います

テーマは 「ソノマの多様性」
講師は、Sonoma County Vintners (ソノマ郡ワイン生産者協会)のHonore Comfort(オナー・コンフォート)会長でした。
カリフォルニアワインの産地といえば、真っ先に出てくるのは、ナパとソノマではないでしょうか?
華やかなナパに比べて、いつもその後ろに控えめに存在しているのがソノマ、というイメージが強いですが、ソノマのことをよく知れば知るほど、どんどん惹かれていきます。
ソノマ郡はサンフランシスコの北に位置し(車で1時間ほど)、ブドウ栽培地域は太平洋に面した海岸線から内陸まで広がっています(2万3500ha)。
ソノマ郡の海岸線は100kmにもわたるため、ブドウ畑は海からの影響を大きく受けます。
海からの影響というのは、風と霧のことです。
カリフォルニア州の太平洋沿岸では、海岸線から50kmくらいの幅で寒流(カリフォルニア海流)が流れていますが、海流の表層には南に回り込む北風(偏西風の一部)が吹いているため、北からの海流が南向きに引きずられます。
これを埋め合わせするため、沿岸のすぐのところから深くなっている海底から冷たい海水が湧き上がってきます(沿岸湧流)。こうした条件の場所は世界でも4箇所しかないのだとか。
そのため、カリフォルニアの沿岸付近の水温は低くなり、海面上の冷たい空気と霧が、内陸の温まった空気の上昇に引っ張られるように流れ込んでいきます。
風と霧が入り込むポイントは3つ
1)ロシアン・リバー・ヴァレー、2)ペタルマ・ギャップ、3)サンパブロ湾の北側
午後3時くらいから海岸線に出始めた霧は、PM6時になると3つのポイントから入り込み、夜になるとソノマ郡一帯を覆ってしまいます。
朝の9時頃になると霧が晴れ始め、昼までには霧が晴れてきます。
冷たい霧に覆われると、夏でも12~18℃くらいまで気温が下がります。
そのため、昼間は暑くても、夜や早朝は上着必須。レストランでは、暖炉に火を入れたり、ガスストーブを配置したりということも珍しい光景ではないようです。
よって、霧が早く入り込み、遅くまで残っている場所ほど涼しい時間が長くなります。
*ソノマのAVAを “涼しい順” に並べると下記のようになります
Green Valley > Russian River Valley > Sonoma Coast > Carneros > Bennett Valley > Chalk Hill > Sonoma Mountain > Sonoma Valley > Rockpile > Dry Creek Valley > Alexander Valley > Knights Valley

ソノマ・コースト(1,3)、カーネロス(2)、ロシアン・リバー・ヴァレー(4,5,6)のピノ・ノワールを比較
海に近い1、霧が入り込みやすい2は、クールな印象がよく現れています。
同じAVAでも、畑の場所で個性の違うワインになっているのがわかります。

ブドウ生育期の昼間は日照に恵まれ、雨も少なく、夜間に気温が下がる ということは、ブドウにとっては最高の環境です。
酸を保ちながら糖度がゆっくり上がり、ハングタイムが長くなるため、複雑味のあるフレーバーのブドウを得ることができます。
よって、もっと内陸に位置して気温が高くなるナパとは違う個性のワインとなります。
ワインへの影響は、海からの冷たい空気と霧だけではありません。
海底のプレートとプレートがぶつかり、海底火山の噴火などもあり、海岸線から内陸に向けてぐいーっと土地が寄せ上げられました。
その後の侵食で削られた箇所もあり、山脈あり、谷あり、平地あり、と、地形も地質も多様で、狭い範囲でさまざまなマイクロクライメットを生み出しています。
つまり、ソノマでは、場所と土壌タイプに適したブドウが選ばれて植えられています。
霧の動き方、地形、土壌タイプ を知っていると、ソノマのワインが見えてきます。
とはいっても、そこまで辿り着くのは大変ですが(笑)

明日は以前ソノマを訪問した時の画像をいくつか紹介したいと思います

