ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

「シャルル・エドシック」のロゼシャンパーニュと日本茶を比較試飲

2017-03-16 17:58:12 | ワイン&酒
昨日に引き続き、シャンパーニュの話題をもうひとつ。

先週、シャンパーニュの Charles Heidsieck シャルル・エドシック から
最高醸造責任者のシリル・ブラン氏が来日し、興味深いセミナーが行なわれました。




シャルル・エドシックのロゼシャンパーニュと日本茶の老舗「一保堂」(創業1717年)がコラボし、両者を比較テイスティングするというものです。



シリル・ブラン
1969年、シャンパーニュ地方アイ村生まれ。
ヴーヴ・クリコのワインメーカーを経て、2015年よりシャルル・エドシックの最高醸造責任者に就任。

シリルさんは、日本に来るたび、よく日本茶を飲んでいました。
ワイングラスを手にすると回す習慣のあるシリルさんは、日本で宿泊したホテルの朝食バイキングでも、日本茶を手にした時に、つい日本茶の茶碗を回してしまったとか(笑)

そんなこともあり、ある時、日本茶とシャンパーニュって、つくり方の点でも似ているのでは?と思うようになり、今回のセミナーに至ったそうです。



たしかに、茶もブドウも、栽培場所を選び、注意深くしつらえられた畑から生まれます。
茶葉も、寒冷地で育ったものは、香りがいいそうです。

収穫時期は異なりますが、どちらも手摘みでていねいに収穫され、その後の過程も注意深く手を掛けられ、シャンパーニュは40~50ものワインを並べてテイスティングしながらアッサンブラージュを、茶葉の場合は「合組(ごうぐみ)」と呼ばれるブレンドを経て、ひとつの銘柄となります。



「人生の時間を、より豊かに楽しめるものがお茶です。土から育ち、人の五感でつくり上げるお茶は、シャンパーニュと同じ」と、一保堂 広報担当の足利さん。

たしかに、シャンパーニュとお茶は本当によく似ています。



今回はシャルル・エドシックのロゼシャンパーニュ2種と一保堂のお茶2種の比較試飲です。


左より)
一保堂 煎茶「くき煎茶」 (希望小売価格 900円、税抜)
Charles Heidsieck Rose Reserve NV (同9,500円)
一保堂 抹茶「雲門の昔」 (同4,000円)
Charles Heidsieck Rose Vintage 2006 (同13,000円)




お茶は湯で普通に淹れて、器ごと冷やし、シャンパーニュと同じ温度で提供されました。



煎茶「くき煎茶」はもわもわとしていて、色は淡いたまご色。口当たりはソフトで、フルーティー。甘み、うま味があり、ほのかな塩味も感じました。タンニンの余韻が心地よく口の中に残ります。

シリルさんは、「春の香り、花、ゆず、グレープフルーツの香りを感じたそうで、口に入れると、ベジタルでドライな印象があり、余韻の中にリフレッシュする後味、トニックのような刺激的な味もある。どんどんお代わりして飲みたい、嬉しくなるような味」という感想でした。

「くき煎茶」と比較したのはロゼ・レゼルヴです。フルーツのアロマが豊かで、口の中でもフルーツ感がいっぱいに広がります。思ったよりも酸とタンニンがしっかりありますので、フードに合わせるのも良さそうです。




抹茶「雲門の昔」は鮮やかな色!香りはやや青っぽく、若さを感じます。濃度もあり、味わいはまろやかでクリーミー。生のナッツっぽさも感じました。

シリルさんは、「見るからに厚みがあるのを感じる。パプリカやほうれん草、野菜っぽさがある。驚くほどテクスチャーがクリーミーで、発酵が始まった牛乳のような乳酸っぽさを感じる。時間をかけて楽しみたいお茶で、日曜日の朝、ゆっくり準備し、ゆっくり楽しみたい。シャンパーニュは毎朝飲むわけにはいかないし(笑)」とのこと。

この濃密な抹茶と比較したのは、ロゼ・ヴィンテージ2006。レゼルヴよりも色が濃く、香りも濃密で複雑です。泡のキメが細かい!骨格がしっかりとし、酸の厚みもあり、うま味、複雑味があり、余韻が長いです。
これこそ、手をかけた料理と一緒に楽しみたいシャンパーニュです。



Charles Heidsieck Rose Reserve NVCharles Heidsieck Rose Vintage 2006

ロゼ・レゼルヴは、ピノ・ノワール40%、シャルドネ35%、ピノ・ムニエ25%。
これは2008年がベースで(80%)、20%は比較的若いリザーヴワインが使われています。
ピノ・ノワールの赤ワインを6%ブレンドしてロゼの色を出しています。

ロゼ・ヴィンテージ2006は、ピノ・ノワール63%、シャルドネ37%。
グラン・クリュとプルミエ・クリュのみ、15のクリュから選別したブドウが使われます。



シャルル・エドシック は非常にユニークなシャンパンハウスです。
シャンパンハウスとしては初めてアメリカをターゲットとし、誰もが成し得なかった大きな成功を収めたのが、まだ20代の若者だったシャルル・エドシックです。

彼は、“クレイエール”と呼ばれる採石場を購入して熟成貯蔵庫とするなど、いつも革新的、行動的な人でした。



クレイエールの中で、この角度から見たシルエットが、ボトルの形になっています。

シャルル・エドシックは、日本市場においてはしばらく途絶えていましたが、2015年9月から再度入ってくるようになりました。

しかしながら、シャルル・エドシックのシャンパーニュは世界中で人気で、しかも、生産本数は少ないので、供給が追い付かない状況だとか。

見つけたら買っておきたいシャンパーニュです

※シャルル・エドシックのシャンパーニュについては、2015年9月の日本再上陸の際に詳しく書いた記事がありますので、参照してください。
コチラ

(輸入代理店:日本リカー株式会社)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする