まもなく春のお彼岸を迎えます。今日は真冬並みの寒さですが、暦の上ではすっかり春。
春は卒業の季節ですが、新しい始まりの季節でもあります。
お祝いの席も多いですが、お祝い向けのワインといえば、やはり“シャンパーニュ”
泡立ちが華やかで、口当たりもよく、白かロゼなので、赤ワインが苦手という人も、シャンパーニュならウエルカムに違いありません。
とはいえ、シャンパーニュは、最初の乾杯~♪で終わってしまうことが多いと思います。
それは大変残念なことです。
シャンパーニュは、乾杯だけでなく、その後の料理から最後のデザートまで、ずっと楽しめるワインなんです。
1本のシャンパーニュで最初から最後まで通すことももちろんできますが、一皿ずつ違うシャンパーニュを合わせることもできます。
昨年末のことになりますが、シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会 日本事務局の主催による「ブラインドテスティングディナー」を取材しました。
食前からデザートまで、すべての料理それぞれにシャンパーニュをペアリングさせました。
その際は銘柄は明かされませんでしたが、ここでは最初に種明かしをします。
指南役は、銀座レカン」のシェフソムリエを経て独立され、現在はワインテイスターとして活躍されている大越基裕さんです。
大越さんによると、「マリアージュのポイントは、味わいを同調させること」
味を付け足すことは難しいけれど、“同調”はそれほど難しくないと言います。
例えば、柑橘のニュアンスとか、やさしい味わいとかを同調させます。
また、一般的に、泡のあるワインには、カリッとしたテクスチャーのものが合い、軽い脂質のあるものも良く、レモンなどの酸味を加えると合わせやすくなるといいます。
では、実際にペアリングしてみましょう。
1)HENRI GIRAUD Blanc de Craic (希望小売価格 税抜 10,000円)
2)BILLRCART-SALMON Brut Reserve NV (同 7,500円)
1本目を、アペリティフ盛り合わせとアミューズブーシュに合わせます。
アペリティフ盛り合わせ
鯖のリエットとグラニースミス(リンゴ)のコルネ/リ・スフレ 菜の花/鱈プランタード
ワカサギ じゃが芋/パンフスレ カニ、アボカド、セミドライトマト/サボイキャベツチップ/雲丹とキャビアタルト
アミューズブーシェ
くぬぎ鱒タルタル 自家菜園二十日大根 燻製クリーム シトロンコンフィ
HENRI GIRAUD Blanc de Craicはシャルドネ100%。甘い熟れたアロマがブリオッシュを思わせ、味わいもコクがあり、ふくよかで、こっくりしています。アペリティフに合わせるにはリッチな味わいですね。
カリッとして脂があるもの―じゃが芋を外側に巻いたワカサギのフリットは、条件ピッタリ!
パンスフレ(四角い揚物)、鱈のプランタードのコロッケも同様です。
グラニースミス(リンゴ)はいいですが、鯖のリエットはやや生臭くなるかもしれません。
ウニはバッチリ合いました!
アミューズブーシュの鱒のタルタルの方は生臭みはありません。レモンが利いています。
二十日大根がサッパリしておいしく、シトロンコンフィも甘酸っぱくておいしく、シャンパーニュに合いました。
次のBILLRCART-SALMON Brut Reserve NVには帆立のポアレを合わせました。
帆立のポアレ 天然平茸 天然クルミ ラルド 根セルフィーユ 花穂 ゆず
シャンパーニュの構成は、シャルドネ30%、ピノ・ノワール25%、ピノ・ムニエ45%。
ステンレスタンクのみで発酵、熟成。低温でゆっくり発酵させています。
泡立ちの勢いがよく、アタックは軽やかでデリケート。酸がしっかりあり、スッキリとしてエレガントな味わいで、白い果肉の果実、若い洋梨を思わせます。
根セロリのピュレが甘くクリーミーなので、今回のビルカールにはもったり気味かも。ゆずはいいアクセントになっています。
ホタテの甘みとはよく合い、クルミの香ばしさがさらにマリアージュを引き立てます。
3)GEOFFROY 1er Cru Cumierres Expression Brut NV (同 5,800円)
4)MAILLY Grand Cru Blanc de Noirs (同 7,500円)
GEOFFROY 1er Cru Cumierres Expression Brut NVは、シャルドネ10%、ピノ・ノワール40%、ピノ・ムニエ50%。
フォアグラに合わせました。
フォアグラナチュール カルバドスとバニラ風味のフォアグラパウダー
ルレクチェ ゴマチュイル
GEOFFROY 1er Cru Cumierres Expression Brut NVは色がやや濃いめで、骨格がしっかり、かっちりしています。酸の厚みがあり、キリッとしています。全体的にザックリとした感じがあり、マニッシュな印象を受けました。
この酸の厚みが、フォアグラのねっとりした感じとよく合い、オトマのマリアージュです。
ルレクチェ(洋梨)の甘さがバランスを取っています。
ゴマパウダーは口の中でもっさりするので、これはちょっと微妙かも。
鮟鱇 チョリソー 自家菜園人参 オレンジ 黒オリーブ レモンタイム
MAILLY Grand Cru Blanc de Noirsは、ピノ・ノワール100%。
色は濃いめ。アロマは最初は控えめながら、アタックは複雑味があります。オレンジ、オレンジの皮のビターなニュアンスがあり、料理に使われているオレンジとの同調性はバッチリ。ワイン自体に力があり、骨格がしっかりしているのが素晴らしいと思いました。
鮟鱇はもう少し塩が利いている方が、力強いシャンパーニュと合います。スパイシーなチョリソーとの組み合わせは良かったです。
パンとバター、ブリオッシュと一緒でもおいしく、コンテチーズにもよく合うと思います。
5)PERRIER-JOUET Belle Epoque 2006 (同 22,000円)
メインの肉料理は、ベル・エポックと。
シャルドネ50%、ピノ・ノワール45%、ピノ・ムニエ5%。熟成は6年。
川俣軍鶏ロティ 黒トリュフ カブ
PERRIER-JOUET Belle Epoque 2006の風味はバター系。外側は少し硬く、冷たさがある。酸はしっかり厚みがあり、ややストイック。スモーキーなニュアンスもあり。最初に飲んでも最後に飲んでも味わいは安定し、変化が少ない。アロマは豊かでスパイシー。実にいいシャンパーニュです。
軍鶏は肉質がしっとりで味が濃い。外側はパリッとしているので、ワインのテクスチャーとよく合います。ソースがおいしい!
6)DEMOISELLES Brut Rose NV (同 8,240円)
デザートには、シャルドネ85%、ピノ・ノワール15%のロゼシャンパーニュを。
ピノ・ノワールはグラン・クリュのブジー村のブドウを使っています。
ミカンとマスカルポーネのプレデセール
バラとイチゴのデセール
バラ色のロゼシャンパーニュは、その外見でさらに気分が華やぎます
ベリー系の果実味がチャーミング。ジューシーでみずみずしい味わいが、フルーツのジューシーな酸味とよく馴染みました。
プレデセールのミカンがフレッシュで、サッパリとして、それがこのロゼシャンパーニュによく合いました。
イチゴのデセールの方にはショコラブラン(ホワイトチョコ)が使われているのですが、イチゴは文句な合いく、ショコラブランにもガトー生地の方にも合いました。
今回の6種のシャンパーニュのドサージュは、上から番号順に、7g、7-8g、8g、8g、9g、10-11g/Lで、最後のロゼシャンパーニュが最も甘さが強くなっています。
この甘みがデザートの甘みとよく同調しています。
ただ甘みがあるだけでなく、甘みとバランスの取れたキレイな酸がちゃんとあることもポイントです。
今回は、銘柄という先入観のないブラインドで、シャンパーニュの味わいそのものと料理を合わせました。これはワクワクしました。
こんなふうに、レストランでお皿に合わせてソムリエに選んでもらうのは最高に贅沢ですが、本数を絞れば、家庭でもしっかり楽しめます。
例えば、軽快でスッキリ飲めるエスプリ系のブラン・ド・ブラン、ボディに厚みがあり、複雑味があってこっくりした味わいの熟成シャンパーニュ、チャーミングでしっとりとした味わいのあるロゼシャンパーニュの3本を順番に、というのはいかがでしょうか?
普段ならスティルワインでペアリングをするところを、すべてシャンパーニュに置き換えてみるのも、特にお祝いの席などでは特別感があって喜ばれること間違いないと思います。
シャンパーニュを飲む時のグラスを色々と変えてみるのもオススメです。
上の画像のグラスは、左から、2)、3)、4)、5)のシャンパーニュで使用しました。
左は1)、右は6)のロゼシャンパーニュに。ロゼ用はかなり大きい!
シャンパーニュには、通常は左のようなフルート型のグラスを使うことが多いですが、今回はシャンパーニュごとに違う形のグラスで楽しみました。
スティルワイン用の大きめグラスを使うと、ワインがよく開き、スティルワインのように楽しめます。
もう、すぐにでも試してみたくなったのでは?(笑)
この春は、料理とシャンパーニュのマリアージュをぜひとも楽しんでみてください
春は卒業の季節ですが、新しい始まりの季節でもあります。
お祝いの席も多いですが、お祝い向けのワインといえば、やはり“シャンパーニュ”
泡立ちが華やかで、口当たりもよく、白かロゼなので、赤ワインが苦手という人も、シャンパーニュならウエルカムに違いありません。
とはいえ、シャンパーニュは、最初の乾杯~♪で終わってしまうことが多いと思います。
それは大変残念なことです。
シャンパーニュは、乾杯だけでなく、その後の料理から最後のデザートまで、ずっと楽しめるワインなんです。
1本のシャンパーニュで最初から最後まで通すことももちろんできますが、一皿ずつ違うシャンパーニュを合わせることもできます。
昨年末のことになりますが、シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会 日本事務局の主催による「ブラインドテスティングディナー」を取材しました。
食前からデザートまで、すべての料理それぞれにシャンパーニュをペアリングさせました。
その際は銘柄は明かされませんでしたが、ここでは最初に種明かしをします。
指南役は、銀座レカン」のシェフソムリエを経て独立され、現在はワインテイスターとして活躍されている大越基裕さんです。
大越さんによると、「マリアージュのポイントは、味わいを同調させること」
味を付け足すことは難しいけれど、“同調”はそれほど難しくないと言います。
例えば、柑橘のニュアンスとか、やさしい味わいとかを同調させます。
また、一般的に、泡のあるワインには、カリッとしたテクスチャーのものが合い、軽い脂質のあるものも良く、レモンなどの酸味を加えると合わせやすくなるといいます。
では、実際にペアリングしてみましょう。
1)HENRI GIRAUD Blanc de Craic (希望小売価格 税抜 10,000円)
2)BILLRCART-SALMON Brut Reserve NV (同 7,500円)
1本目を、アペリティフ盛り合わせとアミューズブーシュに合わせます。
アペリティフ盛り合わせ
鯖のリエットとグラニースミス(リンゴ)のコルネ/リ・スフレ 菜の花/鱈プランタード
ワカサギ じゃが芋/パンフスレ カニ、アボカド、セミドライトマト/サボイキャベツチップ/雲丹とキャビアタルト
アミューズブーシェ
くぬぎ鱒タルタル 自家菜園二十日大根 燻製クリーム シトロンコンフィ
HENRI GIRAUD Blanc de Craicはシャルドネ100%。甘い熟れたアロマがブリオッシュを思わせ、味わいもコクがあり、ふくよかで、こっくりしています。アペリティフに合わせるにはリッチな味わいですね。
カリッとして脂があるもの―じゃが芋を外側に巻いたワカサギのフリットは、条件ピッタリ!
パンスフレ(四角い揚物)、鱈のプランタードのコロッケも同様です。
グラニースミス(リンゴ)はいいですが、鯖のリエットはやや生臭くなるかもしれません。
ウニはバッチリ合いました!
アミューズブーシュの鱒のタルタルの方は生臭みはありません。レモンが利いています。
二十日大根がサッパリしておいしく、シトロンコンフィも甘酸っぱくておいしく、シャンパーニュに合いました。
次のBILLRCART-SALMON Brut Reserve NVには帆立のポアレを合わせました。
帆立のポアレ 天然平茸 天然クルミ ラルド 根セルフィーユ 花穂 ゆず
シャンパーニュの構成は、シャルドネ30%、ピノ・ノワール25%、ピノ・ムニエ45%。
ステンレスタンクのみで発酵、熟成。低温でゆっくり発酵させています。
泡立ちの勢いがよく、アタックは軽やかでデリケート。酸がしっかりあり、スッキリとしてエレガントな味わいで、白い果肉の果実、若い洋梨を思わせます。
根セロリのピュレが甘くクリーミーなので、今回のビルカールにはもったり気味かも。ゆずはいいアクセントになっています。
ホタテの甘みとはよく合い、クルミの香ばしさがさらにマリアージュを引き立てます。
3)GEOFFROY 1er Cru Cumierres Expression Brut NV (同 5,800円)
4)MAILLY Grand Cru Blanc de Noirs (同 7,500円)
GEOFFROY 1er Cru Cumierres Expression Brut NVは、シャルドネ10%、ピノ・ノワール40%、ピノ・ムニエ50%。
フォアグラに合わせました。
フォアグラナチュール カルバドスとバニラ風味のフォアグラパウダー
ルレクチェ ゴマチュイル
GEOFFROY 1er Cru Cumierres Expression Brut NVは色がやや濃いめで、骨格がしっかり、かっちりしています。酸の厚みがあり、キリッとしています。全体的にザックリとした感じがあり、マニッシュな印象を受けました。
この酸の厚みが、フォアグラのねっとりした感じとよく合い、オトマのマリアージュです。
ルレクチェ(洋梨)の甘さがバランスを取っています。
ゴマパウダーは口の中でもっさりするので、これはちょっと微妙かも。
鮟鱇 チョリソー 自家菜園人参 オレンジ 黒オリーブ レモンタイム
MAILLY Grand Cru Blanc de Noirsは、ピノ・ノワール100%。
色は濃いめ。アロマは最初は控えめながら、アタックは複雑味があります。オレンジ、オレンジの皮のビターなニュアンスがあり、料理に使われているオレンジとの同調性はバッチリ。ワイン自体に力があり、骨格がしっかりしているのが素晴らしいと思いました。
鮟鱇はもう少し塩が利いている方が、力強いシャンパーニュと合います。スパイシーなチョリソーとの組み合わせは良かったです。
パンとバター、ブリオッシュと一緒でもおいしく、コンテチーズにもよく合うと思います。
5)PERRIER-JOUET Belle Epoque 2006 (同 22,000円)
メインの肉料理は、ベル・エポックと。
シャルドネ50%、ピノ・ノワール45%、ピノ・ムニエ5%。熟成は6年。
川俣軍鶏ロティ 黒トリュフ カブ
PERRIER-JOUET Belle Epoque 2006の風味はバター系。外側は少し硬く、冷たさがある。酸はしっかり厚みがあり、ややストイック。スモーキーなニュアンスもあり。最初に飲んでも最後に飲んでも味わいは安定し、変化が少ない。アロマは豊かでスパイシー。実にいいシャンパーニュです。
軍鶏は肉質がしっとりで味が濃い。外側はパリッとしているので、ワインのテクスチャーとよく合います。ソースがおいしい!
6)DEMOISELLES Brut Rose NV (同 8,240円)
デザートには、シャルドネ85%、ピノ・ノワール15%のロゼシャンパーニュを。
ピノ・ノワールはグラン・クリュのブジー村のブドウを使っています。
ミカンとマスカルポーネのプレデセール
バラとイチゴのデセール
バラ色のロゼシャンパーニュは、その外見でさらに気分が華やぎます
ベリー系の果実味がチャーミング。ジューシーでみずみずしい味わいが、フルーツのジューシーな酸味とよく馴染みました。
プレデセールのミカンがフレッシュで、サッパリとして、それがこのロゼシャンパーニュによく合いました。
イチゴのデセールの方にはショコラブラン(ホワイトチョコ)が使われているのですが、イチゴは文句な合いく、ショコラブランにもガトー生地の方にも合いました。
今回の6種のシャンパーニュのドサージュは、上から番号順に、7g、7-8g、8g、8g、9g、10-11g/Lで、最後のロゼシャンパーニュが最も甘さが強くなっています。
この甘みがデザートの甘みとよく同調しています。
ただ甘みがあるだけでなく、甘みとバランスの取れたキレイな酸がちゃんとあることもポイントです。
今回は、銘柄という先入観のないブラインドで、シャンパーニュの味わいそのものと料理を合わせました。これはワクワクしました。
こんなふうに、レストランでお皿に合わせてソムリエに選んでもらうのは最高に贅沢ですが、本数を絞れば、家庭でもしっかり楽しめます。
例えば、軽快でスッキリ飲めるエスプリ系のブラン・ド・ブラン、ボディに厚みがあり、複雑味があってこっくりした味わいの熟成シャンパーニュ、チャーミングでしっとりとした味わいのあるロゼシャンパーニュの3本を順番に、というのはいかがでしょうか?
普段ならスティルワインでペアリングをするところを、すべてシャンパーニュに置き換えてみるのも、特にお祝いの席などでは特別感があって喜ばれること間違いないと思います。
シャンパーニュを飲む時のグラスを色々と変えてみるのもオススメです。
上の画像のグラスは、左から、2)、3)、4)、5)のシャンパーニュで使用しました。
左は1)、右は6)のロゼシャンパーニュに。ロゼ用はかなり大きい!
シャンパーニュには、通常は左のようなフルート型のグラスを使うことが多いですが、今回はシャンパーニュごとに違う形のグラスで楽しみました。
スティルワイン用の大きめグラスを使うと、ワインがよく開き、スティルワインのように楽しめます。
もう、すぐにでも試してみたくなったのでは?(笑)
この春は、料理とシャンパーニュのマリアージュをぜひとも楽しんでみてください