箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

この子、本当は・・・

2018年04月18日 10時53分14秒 | 教育・子育てあれこれ



子どもの可能性を信じて励ますことは必要です。

それは、4月9日の始業式で私が生徒に話したこと、「自分の可能性を広げよ」でも触れています。

子どもは、可能性を秘めています。だから、失敗してもいいから、チャレンジしなさいと言っています。

ただ、この可能性には、注意が必要です。

中学生の親御さんと話していて、ときどき気になることがあります。

それは、

「いまこの子はこんな子ですが、本当は頭のいい子なんです」

「今回は友だちによくないことをしましたが、本当は親切な子なんです」

「いまは、このように反抗していますが、家では本当に素直な子なんです」
・・・・・・。

この「本当は」という表現を聞いたとき、私は一抹の不安を覚えます。

たしかに、子どもの可能性を信じて「本当はこの子は、こんな点があるのです」となるのはわかります。

しかし、私がいう秘めた可能性というのは、周りの人にもわからない、本人も知らない場合も多いものを言っています。

さらに、危惧するのは、本当は頭がよく、人に親切で、素直な子を期待されて、それに近くない自分を子ども自身が感じとることです。

親が求める理想像になれていない自分を感じて、そこに思春期が重なり、大人に反発する。

子どもは、「いまの自分」が受け入れられていないと感じます。

親にも受け入れてもらえない、欠点だらけの自分を、子ども自身が受け入れることはありません。

そうではなくて、いまちょっと学習につまずいている、友だちに迷惑をかけた、素直になれなくて反抗する。でも、あなたが大好きなんだ。

この親の気持ちが、子どもに伝わることのほうが、いかに大切かと私は思います。

ただ、中学生は大人の本音を見抜きますから、口先だけ言ったのでは伝わらないでしょう。

その場合は、「腹が立って。なかなか、好きな気持ちになれないこともあるけど、努力するからね。だって大切なわが子だもの」と正直に伝えることでしょう。