子どもの可能性を信じて励ますことは必要です。
それは、4月9日の始業式で私が生徒に話したこと、「自分の可能性を広げよ」でも触れています。
子どもは、可能性を秘めています。だから、失敗してもいいから、チャレンジしなさいと言っています。
ただ、この可能性には、注意が必要です。
中学生の親御さんと話していて、ときどき気になることがあります。
それは、
「いまこの子はこんな子ですが、本当は頭のいい子なんです」
「今回は友だちによくないことをしましたが、本当は親切な子なんです」
「いまは、このように反抗していますが、家では本当に素直な子なんです」
・・・・・・。
この「本当は」という表現を聞いたとき、私は一抹の不安を覚えます。
たしかに、子どもの可能性を信じて「本当はこの子は、こんな点があるのです」となるのはわかります。
しかし、私がいう秘めた可能性というのは、周りの人にもわからない、本人も知らない場合も多いものを言っています。
さらに、危惧するのは、本当は頭がよく、人に親切で、素直な子を期待されて、それに近くない自分を子ども自身が感じとることです。
親が求める理想像になれていない自分を感じて、そこに思春期が重なり、大人に反発する。
子どもは、「いまの自分」が受け入れられていないと感じます。
親にも受け入れてもらえない、欠点だらけの自分を、子ども自身が受け入れることはありません。
そうではなくて、いまちょっと学習につまずいている、友だちに迷惑をかけた、素直になれなくて反抗する。でも、あなたが大好きなんだ。
この親の気持ちが、子どもに伝わることのほうが、いかに大切かと私は思います。
ただ、中学生は大人の本音を見抜きますから、口先だけ言ったのでは伝わらないでしょう。
その場合は、「腹が立って。なかなか、好きな気持ちになれないこともあるけど、努力するからね。だって大切なわが子だもの」と正直に伝えることでしょう。