箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

ちがっているからクラス

2018年04月29日 07時59分01秒 | 教育・子育てあれこれ



いまの生徒たちは、グループのどこかに所属して、そこからはみ出したくないと思う傾向があるということは、以前にも何回か述べています。

そして、自分の意向よりも、グループの「こうしよう」というきめごとを優先しがちです。

自分だけが、グループの方向に異を唱えるのにはかなりの勇気がいります。

グループ内の「同調圧力」が強いからです、

自分の本音を言って、「何、この子」と思われないように気を遣っている程度は、保護者の方の中学生時代の比ではありません。

とくに、友だち関係が新しくなる今頃の時期は、それで疲れている生徒も多いのではないかと思います。

ためしに、お子さんに友だちづきあいについて、尋ねてみてください。

「疲れている」と答える子も多いと想像します。

しかし、この「同調圧力」の問題は、子どもの世界だけではありません。大人も同じです。

子どもの世界の問題は、大人社会の反映です。

こんな話があります。

ある女性は、やりがいのある仕事に従事し、充実した毎日を過ごしています。

しかし、この女性にはある悩みがあります。

その職場には同年齢の仲良し女子4人グループがあります。

4人はランチを一緒にする機会が多いのですが、このグループでは、週末も一緒に行動することが多く、「みんなで映画を観に行こう」となります。

この女性は、職場では一緒にいたいけど、休みの日までいたいわけではない。

「今週は忙しかったので、家でゆっくりしたいな」と思っても、グループの決定に従ってしまいます。

イヤイヤ行くので、心から楽しめず、一人だけ機嫌が悪くなってしまうのです。

グループに従うは、人一倍他者の心理を気にします。そして、自分の感情よりも相手からどう思われるかを気にしてしまいます。

「空気を読む」のはたいへんです。生徒のグループの場合は、「空気を読まない」ことがきっかけとなり、いじめが始まることもあります。

ただし、私の経験上言います。
中学生の場合は、一定程度、クラス集団が成長してくると、仲間関係が広がり、グループの意向の圧力は小さくなってきます。

一人ひとりが自立に向かうからです。



「あんな雲はなければいい。

何気なく言ったひとことに

傷ついているだれかがいる

教室の片隅で」


これは、「あの空」の歌詞の一部です。


いま、音楽の時間に、ふたたび、この曲のコーラスをしています。1年生も歌いながら、歌詞の意味を考えています。

実際の「あの空」を聴いてください。クリックすると映像に切り替わります。

「あの空」コーラス視聴


それでも、いじめは起こりえます。

しかし、取り組むことで、いじめが起こっても、深刻な事態になりにくいのです。

あの子はあの子。私は私。違っているからこそクラスなんだ。こう思い、お互いを尊重しあえる仲間関係を育んでいきたい。

「いじめZERO」活動には、こんな思いを託しているのです。