
みなさんの中には、歳をとることを嫌がる人がいるかもしれません。
中学生を見ていると、若い子たちがうらやましく思えることも、たしかにあります。
それは、否定しません。
でも、歳をとるのが楽しいと思えることもあります。
一つ歳をとることで、新しい自分が現れ、過去の自分を塗り替えていくのです。
こう考えれば、歳をとるのはマイナスではない。
私は、7年前に五木寛之さんの『下山の思想』を読み、その思いを強くしました。
みんな、山を登るのに一生懸命になります。がむしゃらで、まわりの景色を見る余裕のないことが多くなります。
しかし、山を降りるときには、登るときには気がつかなかった、はるかかなたに見える光り輝く海の美しさを見る余裕が生まれます。
山を降りるときには、足元に咲く高山植物の花の美しさにも気づき、足を止めます。
それらを楽しむ余裕があります。
登山が成長期のがむしゃらなときとすれば、下山は成熟のときです。
このように考えると、山を降りることは、けっしてマイナスではない。
これが、下山の思想です。
私ぐらいの年齢になると、体力も少し衰え、病気のことも心配しなければなりません。
でも、歳を重ねることはマイナスには、あまり思いません。
歳を重ね、自分を塗り替えてきたからこそ、中学生にアドバイスができます。
教職経験の浅い教員にも、経験を通して話ができます。
歳を重ねるのは、成熟に向かうということです。
最近、このように思うのです。