ゴミ

　いつもの駐車場に監視カメラがつけられた。
　数日前に来た時は電線の工事をしている最中で
　「自販機の電源がどうかしたのかな？よく売れるからもっと自販機を増やすのか？」
　くらいなことしか思わなかったのだが。
　自販機の傍らの空き缶専用のごみ箱はしょっちゅう溢れ、入りきらなかった空き缶やペットボトル、捨てる場所のない弁当の食べ殻がその付近に放り出されている。
　持って帰れよな、弁当の食べた後くらいは。どうせクルマで来てんだろ？
　「カブで、ピクニック気分で弁当持ってやって来た」
　、なんて奴は、そんなパックの弁当なんて持って来ないんだぜ！カッコ悪いもん。
　ちゃんと弁当箱に入れて持ってくるし、洗ってまた使うんだから。
　今日、いつもの長老連の話の中で「監視カメラが～」の言葉が聞こえた。
　その視線の方向を見ると、先日工事をしていたミニ電柱みたいなやつに、以前にはなかったカメラらしき筒形の物がくっついているのが見える。
　その下で作業服を着ている人が数人。中に格好だけ作業服を着ているけど明らかに作業員ではない人が一人。
　みんなで打ち合わせのような、点検のようなことをしている。
　
　野次馬根性の塊りだから
　「見て来よう」
　と言い残してそちらへ行き、声を掛ける。
　「監視カメラが付いたんですか。この間、何かしてると思ったら」
　作業員には見えない作業服の人。作業用のジャンパーは着てるけど、いかにも役所の職員。開けたジャンパーの下はカッターシャツにネクタイ、確かネームプレートを首からぶら下げていた。
　この点検が終わり次第作動させるらしい。
　「やっぱりいろいろと問題があるんですか」
　トイレもない、ダムのほとりの駐車場だ、夜はさぞかし不用心。犯罪行為でも心配されたか？そのためのカメラ設置？
　こちらとしては「不用心」くらいのことしか頭になかった。そうでなければ、ただ単に「空き缶や弁当の食べ残し、たばこのポイ捨て等が酷過ぎる」くらいなこと。
　
　「市の方できれいにしてくれているのに、すぐに汚れる。何でですかね。以前はネットで呼びかけて年に一、二回、バイク乗りが集まって掃除をしてたらしいけど。ボランティアで。それが二、三日で　すぐゴミだらけになる」
　市職員らしい人の返事。
　「今もしてもらってるようです。市の方でも週に一回、清掃に来てるんですが、なかなか追いつかなくて」
　「結構、大きい物の不法投棄があるもんですから」
　手を広げ気味にして言う。
　「バイクじゃないですね。そんなの持って来れないから」
　犯人は誰だ。粗大ゴミ捨てにくるなんて。

　このトイレも何もない駐車場。それはそれで素敵なところだと思うんだけどな。
　ごみで溢れてしまっていたら台無しだ。