バイクが面白いものだと思ったのは、原付講習会の受講を終えた頃だった。
そこから先は石見人(いわみじん)の逆上(のぼ)せ性の故か、それともあの「熱しやすく冷めやすい」性格のためか、もう坂道を転がり落ちるようにバイクにハマった。
何しろバイクは坂道に限らず、平坦な道でも上り坂でもかまわず転がる。それに乗ってる者のテンションは上がるけど身体的な疲労はない。
テンションが上がった分、神経は疲れるからよく眠れるし、ほどほどの振動のおかげで腹が減る。
よく食べてよく寝るし、それなりの運動になっているからか、体重はやや減少気味で身体の調子も良くなる。
早く乗りたいから早く目が覚める。休みの日などは5時前には起きていて、もうじっとしていられない。
当然、6時頃には出る準備が終了している。
その頃、西村由紀江がブームになっていて、朝の番組を持っていた。彼女の曲を聴きながら、「今日はどこまで行こう」と毎週思っていた。
「明日は折角の日曜日だ。なら、今晩はちょっと羽目を外して飲もう」
「今日は折角の日曜日だ。なら、昼前から酒を飲んだっていいだろう」
そして昼過ぎから、うたた寝をして、目が覚めたら既に三時前。
そういう生活をしていたのが百八十度方向転換。
「酒は夜まで飲まない。飲んだらバイクに乗れなくなる」
それ以外にも大きな変化があった。
何しろ通勤で乗るのだ、行きも帰りも。
仕事を終えて片づけをして
「さて、帰るか」
だったのが、まず、バイクに乗る準備をしなきゃならない。
クルマのキーを指先でくるくる回しながらと言うのとはわけが違う。
(昔のことです、スマートキーはなかった・・・と思う)
「鍵」は家の出入りの時だけだったのに、今度は違う鍵を出す。
ライディングジャケットを着て、ブーツをはいて、ヘルメットをかぶりストラップを留め、グローブをしてバイクにまたがる。
「やれやれ。さて帰るか」
こんなセリフは浮かばない。
「右良し、左良し!エンジン良し。出発!」
指差し声出し確認こそしないけれど、何となくバスに乗り、電車に乗って行き来していた時と違って
「『自分の意志で』『バイクで』移動する」
、というのを乗るたびに意識するようになった。
仕事上のことで落ち込むことがあっても、自棄酒やギャンブルで憂さ晴らしをする気にならない。
バイクに乗れば気分は昂揚する。
「ぶっ飛ばし」たり、「盗んだバイクで走りだ」すことは、あの世への一本道をひた走ることにしかならない。
こんなに面白いものを、そう易々と手放してたまるか。
そこから先は石見人(いわみじん)の逆上(のぼ)せ性の故か、それともあの「熱しやすく冷めやすい」性格のためか、もう坂道を転がり落ちるようにバイクにハマった。
何しろバイクは坂道に限らず、平坦な道でも上り坂でもかまわず転がる。それに乗ってる者のテンションは上がるけど身体的な疲労はない。
テンションが上がった分、神経は疲れるからよく眠れるし、ほどほどの振動のおかげで腹が減る。
よく食べてよく寝るし、それなりの運動になっているからか、体重はやや減少気味で身体の調子も良くなる。
早く乗りたいから早く目が覚める。休みの日などは5時前には起きていて、もうじっとしていられない。
当然、6時頃には出る準備が終了している。
その頃、西村由紀江がブームになっていて、朝の番組を持っていた。彼女の曲を聴きながら、「今日はどこまで行こう」と毎週思っていた。
「明日は折角の日曜日だ。なら、今晩はちょっと羽目を外して飲もう」
「今日は折角の日曜日だ。なら、昼前から酒を飲んだっていいだろう」
そして昼過ぎから、うたた寝をして、目が覚めたら既に三時前。
そういう生活をしていたのが百八十度方向転換。
「酒は夜まで飲まない。飲んだらバイクに乗れなくなる」
それ以外にも大きな変化があった。
何しろ通勤で乗るのだ、行きも帰りも。
仕事を終えて片づけをして
「さて、帰るか」
だったのが、まず、バイクに乗る準備をしなきゃならない。
クルマのキーを指先でくるくる回しながらと言うのとはわけが違う。
(昔のことです、スマートキーはなかった・・・と思う)
「鍵」は家の出入りの時だけだったのに、今度は違う鍵を出す。
ライディングジャケットを着て、ブーツをはいて、ヘルメットをかぶりストラップを留め、グローブをしてバイクにまたがる。
「やれやれ。さて帰るか」
こんなセリフは浮かばない。
「右良し、左良し!エンジン良し。出発!」
指差し声出し確認こそしないけれど、何となくバスに乗り、電車に乗って行き来していた時と違って
「『自分の意志で』『バイクで』移動する」
、というのを乗るたびに意識するようになった。
仕事上のことで落ち込むことがあっても、自棄酒やギャンブルで憂さ晴らしをする気にならない。
バイクに乗れば気分は昂揚する。
「ぶっ飛ばし」たり、「盗んだバイクで走りだ」すことは、あの世への一本道をひた走ることにしかならない。
こんなに面白いものを、そう易々と手放してたまるか。