「免許を取ったら、自動二輪を買う」。
そう決めてしまうと、またすぐにカタログを持って来て、どれにしようか考える。
原付の免許を取って、中古車を買うのはこわいから、新車を買った。
原付とは言え、新車だ。大事なことだから2回言いました。これはお約束。
数か月後に今度はもっと大きなバイクを買う。勿論これも新車だ。
金持ち。
勿論そんな訳はないから、二台も持っていられない。そんな余裕はない。
で、原付の方は下取りと言うことで、手放すことにした。
僅かな期間とは言え、この原付で二泊三日の予定でツーリングに出たこともある。その二日目の朝、信号待ち後に42キロほど出して白バイにつかまる。
白バイにとって、信号からのスタート時、原付は「飛んで火に入る夏の虫」。
信号脇に待機していたようで、夏の虫になってしまった。
宿を決めてなかったから、適当なところで二日目の宿を決めることにしていたけれど、出発早々これ。
だからすっかりやる気をなくしたこともあってか、適当に走っているうちに、もう帰ろう、と思い始め、
「日付が変わってもいいや、別に」
、と、すっかり投げやりになって帰ることにした。
やる気がなくなる、と言うのは良いことが一つもない。良いことを見つけることすらできなくなるから。
雨になった。曇り止めは数時間で効かなくなった。
当時は「道の駅」なんてなかったし、ドライブインも主要幹線道路にしかない。
雨の中、荒れた凸凹の路面に原付の細いタイヤを取られ、何度ヒヤッとしただろう。
家に帰りついた時は、日付が変わる寸前だった。そこから先は覚えてない。
疲れ切って、明くる日は昼近くまで寝ていたように思う。
遡って、原付に乗り始めて一週間ほどの時。
突き当りの丁字路をどっちに行こうかな、と停まってちょっと悩んだ。
右側に曲がったら、2、30メートル先のパトカーが目に入った。窓から左手が、手招きしている。
何だろうと思って招かれるままに行くと
「ここは右折禁止です」。
「呼ばれたから来たんですけど」
「押して来れば良かったんですけどね。表示板が見えませんでしたか?」
「さあ」
「ありますよ」
「・・・・・」
その時の違反と挫折ツーリングの違反とで、初心者講習受講者の資格ができた。
もうすぐ卒検と、いう頃。雨の日に仕事から帰ってきたら、講習会の知らせが届いていた。
「忘れた頃にやって来る」と雑誌に書いてあった講習会の知らせは思ったより早く来た。
あの苦い思い出が蘇った。もう一度いやな思いをしなければならないのか。
講習会場は通っている最中の、窓から見える教習所だった。
乗車予約をしてない講習指定日に、自動車学校に行く。
顔見知りになった教官連に
「あれ?」「今日、予約してました?」
などとニヤニヤ顔で言われる。知ってるくせに。
案の定、講師は彼ら。
まあ、乗ることのなかったスクーターに久し振りに乗れたからイイ、としよう。 原付講習の時よりましなスクーターだったし。
そのバイクを手放す。
上に書いた、悪い、嫌な思い出は、みんな楽しかった思い出になっている。
ほんの数ヶ月なのに。
そう決めてしまうと、またすぐにカタログを持って来て、どれにしようか考える。
原付の免許を取って、中古車を買うのはこわいから、新車を買った。
原付とは言え、新車だ。大事なことだから2回言いました。これはお約束。
数か月後に今度はもっと大きなバイクを買う。勿論これも新車だ。
金持ち。
勿論そんな訳はないから、二台も持っていられない。そんな余裕はない。
で、原付の方は下取りと言うことで、手放すことにした。
僅かな期間とは言え、この原付で二泊三日の予定でツーリングに出たこともある。その二日目の朝、信号待ち後に42キロほど出して白バイにつかまる。
白バイにとって、信号からのスタート時、原付は「飛んで火に入る夏の虫」。
信号脇に待機していたようで、夏の虫になってしまった。
宿を決めてなかったから、適当なところで二日目の宿を決めることにしていたけれど、出発早々これ。
だからすっかりやる気をなくしたこともあってか、適当に走っているうちに、もう帰ろう、と思い始め、
「日付が変わってもいいや、別に」
、と、すっかり投げやりになって帰ることにした。
やる気がなくなる、と言うのは良いことが一つもない。良いことを見つけることすらできなくなるから。
雨になった。曇り止めは数時間で効かなくなった。
当時は「道の駅」なんてなかったし、ドライブインも主要幹線道路にしかない。
雨の中、荒れた凸凹の路面に原付の細いタイヤを取られ、何度ヒヤッとしただろう。
家に帰りついた時は、日付が変わる寸前だった。そこから先は覚えてない。
疲れ切って、明くる日は昼近くまで寝ていたように思う。
遡って、原付に乗り始めて一週間ほどの時。
突き当りの丁字路をどっちに行こうかな、と停まってちょっと悩んだ。
右側に曲がったら、2、30メートル先のパトカーが目に入った。窓から左手が、手招きしている。
何だろうと思って招かれるままに行くと
「ここは右折禁止です」。
「呼ばれたから来たんですけど」
「押して来れば良かったんですけどね。表示板が見えませんでしたか?」
「さあ」
「ありますよ」
「・・・・・」
その時の違反と挫折ツーリングの違反とで、初心者講習受講者の資格ができた。
もうすぐ卒検と、いう頃。雨の日に仕事から帰ってきたら、講習会の知らせが届いていた。
「忘れた頃にやって来る」と雑誌に書いてあった講習会の知らせは思ったより早く来た。
あの苦い思い出が蘇った。もう一度いやな思いをしなければならないのか。
講習会場は通っている最中の、窓から見える教習所だった。
乗車予約をしてない講習指定日に、自動車学校に行く。
顔見知りになった教官連に
「あれ?」「今日、予約してました?」
などとニヤニヤ顔で言われる。知ってるくせに。
案の定、講師は彼ら。
まあ、乗ることのなかったスクーターに久し振りに乗れたからイイ、としよう。 原付講習の時よりましなスクーターだったし。
そのバイクを手放す。
上に書いた、悪い、嫌な思い出は、みんな楽しかった思い出になっている。
ほんの数ヶ月なのに。