2010.02/21 (Sun)
勝海舟が馬から落ちた。
さほどの勢いでもなかったのだが、海舟は転がったまま、動かない。
周りの者が慌てて
「先生!大丈夫ですか!」と駆け寄って抱え起そうと手を伸ばしたら、
「待て、触らんでいい」と本人の声。
そして、少し間を置いて、むっくりと起き上がった。
「大丈夫ですか?」
「ああ、何ともない」
安心したと同時に、少々腹も立ったから
「だったら、どうして、すぐに起きないのですか」
と聞くと、
「もし怪我をしていて、慌てて起きようとすると、怪我をもっとひどくするものだ。だから、転がったまま、身体の具合を確かめていたのさ」
心配して抱え起こそうとした人は、海舟の、この言い草を、「照れ隠し」、「強がり」、ととったようです。
実際、海舟は強情っぱりで、言い訳としか思えないような強弁を、よくやっています。
ただ、後に見直すと、海舟は間違ったことは言ってないのです。
その時には、大ぼらに見える、或いは大袈裟に見える言い草も、実は筋が通っていて、感情のままに思いつきで言ったものはない。
頭のキレることは幕府随一。
もう故人となって随分になりますが、澤井健一という武術家がいました。 シナで「国手」とよばれた意拳の王向斎、その日本人ではただ一人の弟子です。日本では「太気至誠拳法(太気拳)」と名乗って、弘流に努めていました。
この、澤井師範、朝、目が覚めると、絶対に飛び起きたりはしない。
まず、指を曲げたり伸ばしたり、から始めて、手首、肘、肩という風に、末端から体幹まで時間をかけて異常がないか確かめながら、よく身体をほぐし、それからおもむろに起き上がることを自らに課していたそうです。
「目の前の問題に拘泥せず、常に目的を念頭に置いて行動する。」
「緊急時、我を忘れて慌てふためくことなく、冷静に所定の行動を執る。」
政治も日常生活も同じでしょう。
海舟の言を強がりと採って海舟を笑うか、
「なるほど」と採って何かを得るか。
勝海舟が馬から落ちた。
さほどの勢いでもなかったのだが、海舟は転がったまま、動かない。
周りの者が慌てて
「先生!大丈夫ですか!」と駆け寄って抱え起そうと手を伸ばしたら、
「待て、触らんでいい」と本人の声。
そして、少し間を置いて、むっくりと起き上がった。
「大丈夫ですか?」
「ああ、何ともない」
安心したと同時に、少々腹も立ったから
「だったら、どうして、すぐに起きないのですか」
と聞くと、
「もし怪我をしていて、慌てて起きようとすると、怪我をもっとひどくするものだ。だから、転がったまま、身体の具合を確かめていたのさ」
心配して抱え起こそうとした人は、海舟の、この言い草を、「照れ隠し」、「強がり」、ととったようです。
実際、海舟は強情っぱりで、言い訳としか思えないような強弁を、よくやっています。
ただ、後に見直すと、海舟は間違ったことは言ってないのです。
その時には、大ぼらに見える、或いは大袈裟に見える言い草も、実は筋が通っていて、感情のままに思いつきで言ったものはない。
頭のキレることは幕府随一。
もう故人となって随分になりますが、澤井健一という武術家がいました。 シナで「国手」とよばれた意拳の王向斎、その日本人ではただ一人の弟子です。日本では「太気至誠拳法(太気拳)」と名乗って、弘流に努めていました。
この、澤井師範、朝、目が覚めると、絶対に飛び起きたりはしない。
まず、指を曲げたり伸ばしたり、から始めて、手首、肘、肩という風に、末端から体幹まで時間をかけて異常がないか確かめながら、よく身体をほぐし、それからおもむろに起き上がることを自らに課していたそうです。
「目の前の問題に拘泥せず、常に目的を念頭に置いて行動する。」
「緊急時、我を忘れて慌てふためくことなく、冷静に所定の行動を執る。」
政治も日常生活も同じでしょう。
海舟の言を強がりと採って海舟を笑うか、
「なるほど」と採って何かを得るか。