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抜き書き帳『金子光晴』その12

2016年04月19日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
【329ページ】
みんなで阿片を試煙しようということになった。----ランプに灯をつけ、片手の指さきでキャラメル状の阿片を飴状に溶かし、ふとい煙管の中頃にくっついている算盤球状の吸い口の穴になすりつけて、ジ、ジと音をたててふすぼるその煙を煙管の管を通して吸いこむというしかけである。----

【336ページ】
私は、上海の街をあてもなく、すみからすみまでほうつきあるいた。「上海へは大勢人が来たが、金子さんのようにすみずみまで歩いた人ははじめてや」と、内山先生が感心していた。

[ken] 当時の上海では、普通に阿片吸引が行なわれていたのですね。煙を吸い込むということでは、たばこと同じですが、何事もほどほどに、嗜好品としては「たばこぐらいでちょうどいい」と思います。また、336ページの内山先生とは、内山完造(うちやま かんぞう、1885年1月生まれ、1959年9月逝去)さんで、1930年代以降、上海を中心として書店経営に成功し、日中文化人交流の懸け橋役を担い大きな影響を与えました。
本人は中国永住を決めていましたが、新政府によって追放を余儀なくされ、帰国後日本で書店経営を続け、現在も神田神保町の「内山書店」に引き継がれています。私も学生時代に何度か足を運んだことがあります。金子光晴さんが「街をあてもなく、すみからすみまでほうつきあるいた」というのは、私の目標とするところであり、これからも心がけていきたいと思っています。
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