![]() | 檀 (新潮文庫) |
クリエーター情報なし | |
新潮社 |
☆☆☆
「火宅の人」の作者、檀一雄の奥様への一年余にわたるインタビューを元に
沢木耕太郎が檀一雄の愛人との交情を、妻の立場から語った形ですすめられる。
夫が愛人の元へ走った妻、残された家と子供たち、
家事に追われ、お金の工面に追われ、ただあくせく走りつづけた人生。
私は檀ヨソ子であり、「家宅の人」の桂ヨリ子のモデルである。
でも決して「貧しかったけれど、不幸ではありませんでした」、と。
あなたにとって私は何だったのか。私にとってあなたはすべてであったけれど。
と言わせる、檀一雄、・・・・男女の仲、夫婦とは、奥深いものですな。
檀からの手紙の中に、《なるべく仲良く一緒に、乗りかかった船とおきらめて、
死ぬまで信じ合って生きてゆきたいものですね》と、言いながら
《若し又、私に愛人ができた節も、私はあなたと離婚はいたしません》と、
いけしゃしゃと綴っている、この心境、
けっして作家だから許されるものではないだろうが、
反面この一途さが、魅力なんでしょうな。
沢木耕太郎、得意のノンフィクションとフィクションの際で揺らぐ作品でおます。
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