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今月の岸城の短歌会で金川宏先生が紹介していただいた女流歌人の中で一番、興味のあった平岡直子さん。先生がお持ちのこの歌集お借りしました。
じっくり読むと、やはり難解・・難しい言い回しに、少し戸惑い気味です。
気になった歌は、
・茶封筒〈がん検診のおしらせ〉 の字は宝石にたとえたら何
・水からも生きる水しかすくわないわたしの手でよかったら、とって
・きみの骨が埋まったからだを抱きよせているとき頭上に秒針のおと
・腹ばいで読むとき歌はくるくると全方角に散っていく花
・手をつなげば一羽の鳥になることも知らずに冬の散歩だなんて
・テレホンカードをもう使えないのだときみは花屋でもないわたしに言った
・セーターはきみにふくらまされながらきみより早く老いてゆくのだ
・なにもないように見えてもドアノブを意識しながらゆくべきだろう
・弟のしゃがみこむ道 野良猫に毎日ちがう名前をつける
・公園のスプリンクラーをあふれだす虹を見ながら友だちが泣く
・行き先の字が消えかけたバス停で神父の問いに はい、と答えた
・春と言えばワンピース。ワンピースと言えば夏。夏が終われば秋。
・ゆきゆきて春夏秋冬抱くならきれいな角は捨ててから来て
・理科室で人体模型を見た記憶なんてないけどわたしでも好き?
・できたての一人前の煮うどんを鍋から食べるかっこいいから
・臓器は提供しませんとドナーカードにサインしてからキッチンに立つ
・真夜中の水族館が海底に似ていることをどこで知ったの?
・ボタン自身にいくつもの小さな糸穴が開いているんだ振り返ったら
・観客はじゃがいもと言われたじゃがいもの気持ちを考えたことがあるのか