ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

上野鈴本演芸場・三月中席

2019-03-12 21:21:21 | 江戸落語


上野鈴本演芸場・三月中席

一、春風亭正朝・・・・・・・「ふだんの袴」

元々は一朝さんの出番で、正朝さんが代演。
東京では、急遽の代演多々ありますな・・・・。

噺は江戸落語らしい「ふだんの袴」、上方でもちょうちょく見かける様にはなりましたが、
未だにレアな噺。  チョイ役でも侍がでてくる噺、江戸は侍社会だったんですな。
上方では、うどんを食べたり、芋を食べたりが仕草芸ですが、
お江戸は煙草、それも煙管での仕草が必修科目なんですな。

二、柳亭市馬・・・・・・・・・「雛鍔」

市馬さんの登場、持ち時間15分の中でラクゴを一席。
でてくるなり、マクラもなしにお屋敷で植木屋が仕事を・・こんな入り方かっこいい。

これもまず上方では聞く機会のない噺。
嬉しいですな、こうして江戸落語のカタログを開ける様な噺が聴けるなんて。

お屋敷で遊んでいた幼い若様が一文銭を拾って「なんだろう、お雛さまの刀の鍔かな」
と、さすがに良家のお坊ちゃま、銭を知らないと・・・
そのあと我家に帰ってやんちゃ息子に聞かせると・・・・・・・・・。

縮めて「雛鍔」落語らしいお題、
あと「妾馬」「夢八」「夢金」「猫災」「猫定」「茶金」広く言えば「笠碁」辺りもそうか。
落語のお題って、符牒ぽっくて、粋ですよね。

こんな噺がそれも市馬さんで、始まって、早い出番で聴けるなんて幸せ。

三、ジキジキ・・・・・・・・・「音曲漫才」

めおと楽団ジキジキ、江戸の寄席の楽しみに、色物の多様さが・・・。
でてくるくるなり、全国温泉巡りと、音曲にのせて各地を紹介。

奥さんの方は、昔のミスワカサばりの巨漢、
ギターを持った旦那はぴろき風の今風のかっこイイ男。

姉さん女房的に進行、歌も上手いしギターも上手いし、
筋たての形ができれば、おもしろいもんになるのに・・・・・。

たまたま、今回が、ダイジェスト版的でつかみどころが無かったのか、残念。


四、宝井琴調・・・・・・・・・「小政、少年時代」

今、個人的に興味の湧いてきた講談。
大政、小政、森の石松がでてくる、清水の次郎長伝。
その中でも、小政の少年時代、次郎長に出会い、その後子分にして貰うまで。

講談の良さ、どんな噺、どんな小さなエピソードまで、講談になる。

今の、国会なんぞの方が奇天烈な出来事が多そう、テレビなんぞ無かった時代、
世の人夕刊代わりに、講談で世の中の出来事知ったんでしょうな。

今が江戸時代なら「ピエール瀧の葛藤」、来月なれば「新元号の決まる裏ばなし」など、
タイムリーに講談になったんでしょうな。


五、桃月庵白酒・・・・・・・「馬の田楽」

本日一番の、秀逸の高座。

白酒さんの「馬の田楽」。
でも、上方の田楽とは、大いに違う。最初に入ったところで寝てしまう江戸版。
上方では、その間は近所の悪がきが馬と遊ぶ様が、そして馬子が出てきてからの
そのガキどもとのやりとり、上方ではココガキモで、馬を追いかけて行ってからはオマケ。

でも、声の張りといい、いいまわっし、風格もありながら、滑稽さもたっぷり、
あと二席、三席、聴いてみたくなりますな、トリイホールでちょくちょく演られているようで、
次回は、都合をつけてお伺いせねばでおます。


六、アサダ二世・・・・・・・「奇術」

アダチ龍光さんのお弟子さん。
師匠の匂いはありながら、龍光さん、もっとお喋りの間、絶妙だった様な。

師弟で教えられるのものと、教えらねないものがありますな、
芸事には「守・破・離」という言葉を聴いたことがありますが、
「守」真似・型破り」、「破」アレンジ、「離」自己流・型なし・・・・・・と。

難しいもんですな。

七、春風亭百栄・・・・・・・「ホームランの約束」

こんな落語好きです。

病気の子供をお見舞いに来た野球選手、心の声を口にだすとこんな話に。
ベットの子供も負けてはいない、本音を声に出すと・・・・。

世の中の美談、すべて建前の世界で自らの心からの動きではなく、
所詮周りの目を意識した行為・・・・・。

何か、奥の深いところで人間とは何かと問われているような、
こんな、あるある、本音の部分晒しだすことで笑いになるんですな。

笑いとは、不思議でおます。


八、柳家小菊・・・・・・・・・「粋曲」

お腹の具合が悪いので、4階のトイレへ行って帰ってくると終わり。
時間が詰まっていたので、5分足らずの高座、
小菊さん素敵な高座姿だけはちょいと拝見させていただきました。


九、柳亭左龍・・・・・・・・・「野ざらし」

でも、これだけの演者さんなのに、入りは少な目、もったいない。

噺は「野ざらし」、上方では、この形と「骨つり」の形と、色んなバージョンがあります。

本日の幇間がでてくるのは初めて、イイ 女の代りにべらべら喋る男が・・・、
「いったい、おまえは誰だい」「へえ、新朝という幇間で」
「なに、新町の幇間、しまった昼間のは馬の骨だった」のサゲ。

幇間(太鼓)で、そして「馬の骨」とは、素性のはっきり市内人物のこととか・・・。

そういえば、マクラで猫が少なく、野良犬も少なく、三味線や太鼓の革にも困りつつあって、
馬の革も大太鼓なんかは、馬の革なんかも使って入るんですよと、
今から思えば、サゲの理解を深める為の予備知識を・・・親切。

日頃途中で終わることの多い、「野ざらし」、
上方では出てきても石川五右衛門の幽霊の形、
良いもの、見せてもらいましたで・・・・・。

上野鈴本演芸場・2019年三月中席
2019年3月12日(火)午後7:00
上野鈴本演芸場

一、春風亭正朝・・・・・・・「ふだんの袴」
二、柳亭市馬・・・・・・・・・「雛鍔」
三、ジキジキ・・・・・・・・・「音曲漫才」
四、宝井琴調・・・・・・・・・「小政、少年時代」
五、桃月庵白酒・・・・・・・「馬の田楽」
仲入り
六、アサダ二世・・・・・・・「奇術」
七、春風亭百栄・・・・・・・「ホームランの約束」
八、柳家小菊・・・・・・・・・「粋曲」
九、柳亭左龍・・・・・・・・・「野ざらし」


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« たむら・東日本橋~2019.03.12 | トップ | 東京バッソ・馬喰町~2019.03.13 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

江戸落語」カテゴリの最新記事