ウチの「でこっ八」ムルティプラちゃん・・・ あまりにユニークな見た目・・・ っていうか見慣れないものを見かけるとまずブルガリア人は否定から入ります(笑)
ヴェリカばあちゃん(といっても60代ですが)はこの車を見るや、
「ルクソズナ・コラなんか買っちゃって~!!」
「ルクソズナ」とは、高級、ぜいたく、という意味です。えっ!? 10年落ち、走行13万キロ以上の中古のムルティプラちゃんがぜいたくな車?
「だってデカイもん」とのこと・・・ まぁ、それをねらって買ったんですけどね。
そういえば前の車フェリシアちゃんを買ったときもそうでした。98年式のタイプを2006年くらいに買ったのに、当時50代の友人イヴァンカに
「なんて高い車を買ったのっ?!」とビックリされたものでした。日本でいうと「マーチ」とか「ヴィッツ」みたいな「主婦のお買い物カー」クラスの車でも、こちらでは高級車に見えるらしい・・・
さらにヴェリカは、
「この車、ジプか?」・・・ ジプ・・・つまりは「ジープ」のこと。(ちなみにブルガリア語でジープを複数形にすると「ジポベ」になります・笑) ジープも、ラーダ・ニーバからトヨタのランクル、さらにはポルシェのカイエンまでピンからキリまでありますよ。でも、庶民がこの言葉を使うのは、「ジプ」=「マフィオルスカ・コラ」(マフィアの乗るヤツ)という意味も込められています。まっ、ブルガリア人のおばあちゃんの目には新しく見えただけで、イタリアではタクシーに使われる車ですから、多くの人にはそう見えることはないと思いますけどネ。
でも、ソフィアはともかく、ブルガリアの地方に住む場合はこの「ジプ」っぽい車に乗ってる人は気をつけないといけないかも。ヴェリコ・タルノヴォに住んでいた友人はヒュンダイ・サンタフェ(日本だとトヨタのLAV4くらいかな?)に乗っていたら地元民からマフィア扱い!! 韓国車でもああいうSUV的な形の車だとそういわれてしまうんです・・・ ホントにマフィアが乗ってたら悪さしないだろうけど(恐ろしくて手出せないよね)、外国人が乗っているとすぐに目をつけられて鍵穴にイタズラされてしまいます。
ちなみに最近、中国の自動車会社「長城」がブルガリアの地方都市ロヴェチに進出してきたそうです。昔、ロヴェチでは共産体制つながりでソ連の車「モスコビッチ」を作っていたんだそうですが、今はそこでは自転車しか作っていなかった・・・ そこに進出してSUVを作り始めたらしい・・・ なんでも150人くらいの中国人がロヴェチのホテルに住んでいる、とか。時々町の中でも「メイド・イン・ロヴェチ」(!!)と書かれたジープっぽい車やピックアップトラックが走ってることがありますよ。でも、ブルガリア人にはこの「メイド・イン・ブルガリア」もマフィオルスキなジプなんでしょうか?
とにかくブルガリア人の中で車といえば「VWゴルフ」!! 交通事故で亡くなった若者が事故ったであろう愛車が墓石に描きこまれていることがあるのですが、たいがいゴルフ・・・ さすがに1型はめったに見なくなりましたが2型は今でもバリバリ現役!! おそらく1980年代~90年代の車がまァ~多い多い!! ソフィア市内ではさすがにモスコビッチ、ラーダ、トラバントは少なくなりましたが、地方ではぜんぜん普通!!
お年寄りを乗せる機会が多いので大きめの車を買ったのに、当のお年寄りからは「高すぎる」(値段じゃなくて乗り降りするのに、ですが)と、いまいち不評・・・ でも、いっぺんに6人乗れて、荷物や車椅子なんかさえもきっちり載せられちゃうから乗ってみるとうれしそう・・・ ヴェリカにも「今度乗せてあげるよっ!」というと、ちょっとうれしかったみたいでした。こりゃ、みんなをドライブに連れて行ってあげないとイカンな~