ワイン、ビールなどのアルコール飲料もさることながら、ジュース、サイダーのソフトドリンク類もたくさん、そしてバラエティーに富んだ価格で売られているここブルガリア。子供たちや若い人たちはもちろん、街の「のんべえ」のおっさんたちもウオッカなどの強いお酒の「チェーサー」にコーラやファンタを飲んでいます。
近所の何でも売っているミニ・マルケット(コンビニのようなお店=ただし対面販売。店員に欲しいものを言って出してもらわなければなりません。)にかわいい15歳くらいのモミーチェ(女の子)が入ってきて、
「イスティンスカ・コーラ、ありますか?」
「イスティンスカ」とは、「真実の、本物の」という意味です。ん?本物のコーラ?? ここブルガリアでは「コーラ」と銘打ったコーラっぽい炭酸飲料がいろいろあるのですが(なんと粉ジュースまである!)、彼女の欲しかったのは「コカ・コーラ」か「ペプシ・コーラ」だったようです。昔、共産体制化ではこの「イスティンスカ・コーラ」は年に一回(それこそクリスマス。共産体制化ではあってはならないはずのものですが・・・)しか飲めないぜいたく品だったとか・・・ 今でも、「アリアナ」という庶民向けのビールは2Lで2レバ(140円)、ペプシ・コーラは1.5Lで1.6レバ(115円くらい)です。こうなると、味は違ってもベラボーに安い「コーラもどき」で我慢したくなると言うもの・・・ちなみにこれらの偽コーラの類、3Lで70ストティンキ(50円くらい)からあります。どこが違うか、というと・・・ぜんぜん違う!! 色もうすい!味も香りも弱い! 炭酸も弱い!というわけで、まったく別物と言っていいでしょう。先入観を捨てると、なんとも花の香り(それこそブルガリアのバラのような!?)がして結構美味しくも思えるのですが。
こういう炭酸飲料は結構地元で作られているようで、ここ田舎町ペルニックでも作られているそうです。昔、ブルガリアではイギリスの「シュウェップス」社と提携して「シュウェップス」をライセンス生産していたそうです。でもだんだん本物のシュウェプスとは似ても似つかないものになってしまったのでライセンスを打ち切られたんだとか・・・なんともブルガリアらしい話です。(「こっちのほうがおいしい、だからいいんだ!」なんていったんだろうなあ・・・) そういうわけか炭酸飲料らしき飲み物一般のことをみんな「シュヴェップス」と呼んでいます。
春から初夏にかけてそこらじゅうどこにでも咲いて甘い香りを放つ「リパ」(またはブス)というハーブ(?、花の木)があるのですが、この花を砂糖と一緒にペットボトルに入れておくとガスが出て炭酸ぽくなります。この手作りジュースもまた「シュヴェップス」と呼ばれています。そのせいでしょうか、これら地元系の炭酸飲料、ラベルの表記ははちゃめちゃです。「イスティンスカ」っぽくするために英語表記があるのですが、その下に書いてあるブルガリア語表記とイラストはまったく関係なかったりしてね・・・(ちなみにこの写真、英語でオレンジって書いてあるのに絵とブルガリア語ではリパとレモン。「どっちやねん!」とつっこみを入れながら飲んだら・・・やっぱりブルガリア語表記のほうが正しかった。)
飲んでみてはじめて分かるブルガリアの炭酸飲料のフレーバー!! 暖かくなったらどんどん試してみよう!!