MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『有頂天家族』

2013年07月05日 | BOOKS
 七夕である7月7日より、京都テレビなどでアニメの放送が始まるという『有頂天家族』。

『有頂天家族』 森見登美彦 著 幻冬舎

 新婚当時、偽電気ブラン工場近くに住んでいた私としては非常に身近に感じずにはいられない物語。
 表紙イラストの瓦の多い街の風景は、私が知る10数年前~現在の叡電出町柳界隈には存在しないのですけれど、しごく懐かしい感じがして好きです。
文庫版は狸たち+蛙の表紙です。)


 それにしても、息子たちが思春期に入った今、母としてこの物語を読むと、狸の母がなんともうらやましい。
母の趣味につきあって一緒に出掛けてくれて、母がピンチの時には駆けつけてくる息子たち。
 父を失ったからとはいえ、なんて素敵なことでしょう。
 マザコンと言えなくもないですが、でも、狸ですからねぇ。人間とは違いますからねぇ。
 
 弁天様のなんとも捕まえづらい性格も、俗を離れている感がして、息子の恋人にはしたくないですけれど、女としては分かる気もいたします。

 そして、一番の悪役の叔父さんも、出来のいい兄へのコンプレックスと、好きな人は連れ合いに先立たれても自分の方を向いてくれないという切なさ。
 狸たちのこの人間臭さゆえに、人間が読む物語となりうるのでしょうねぇ。

 
<関連サイト>
TVアニメ『有頂天家族』公式サイト
森見登美彦日誌「この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ」

<追記>
 第2部がなかなか単行本にならないうちに、『有頂天家族 公式読本』が先月発売されたそうです。(第1部と第2部をつなぐ短編「冬の女神と毛玉たち」を収録)

ちなみに、京都テレビ(KBS)での放送時間は、7月7日からの毎週日曜夜10時(22:00)~です。

<追記その2>
 ちょうど昨日読んだ、動物行動学者・故 日高敏隆先生の『犬とぼくの微妙な関係』(青土社)に、タヌキの夫婦・家族の生態があって面白かったです。
 まず同棲して性格の相性を確かめてから「男女の仲」になること。オスが出産に立ち会うこと。出産を終えたメスがエサを探す間、オスが赤ちゃんを守り続けること。
 そして、秋に子離れが済むと、年の暮には新しいカップルの組み合わせになること。
 年の暮といえば『有頂天家族』では、ちょうどあの忘年会シーズン。……なんだかちょっと考え込んでしまいました。
 表紙イラストは妻の日高喜久子さんによる、月下のタヌキ。
  
 タイトルには「犬」とありますが、犬だけでなく、いろいろな動物について多くの雑誌に掲載されたものをまとめた本になってます。
それぞれ違う雑誌なので、同じ話題が何度も出てくることもありますが、「利己的遺伝子」の話など面白いです。
コメント
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